タグ別アーカイブ: ファンク入門

ファンク入門(9) ニュージャックスイング

私は60年代なかばの生まれなので、80年代末〜90年前半のNew Jack Swingとか好きなんですが、久しぶりにGuyのGroove MeのPVなんか見てみたりすると、このリズムの秘密みたいなのがわかったかんじ。
このバンドのテディー・ライリーとかJam & Lewisとかこういうニュージャックスイングってリズム流行らせたわけです。上の方でチキチキうるさくて、ベースがドンっドッツドッドッドて裏で入ってくるハネた16がニュージャックスイング。
ファンクってのはOn 1だ、とにかく小節の頭で強くダウンするのだ、って強調してきたわけですが、このリズムは一拍目はアップな感じなんですよね。踊ってる連中はみんな拍で上向きの勢いを感じて、拍の裏で落ちてくるみたいな感じ。Hip Hopの連中もヨーヨーってやるときに手が上に上がるんですよね。こういうのおもしろいですね。


ファンク入門(8) マーヴィンゲイの一人ファンク

マーヴィンゲイ先生のファンクも聞いておきましょう。72年ぐらいはこうクールでかっこいいファンクやってる。T Plays It Cool。

でも80年代になると完全に変態「〜 Lady」三部作をどうぞ。
まず名盤Midnight Loveの最初の曲Midnight Lady。

この一人でリズムボックで作ってるリズムが暴力的ですごいっすよね。なんというか重力とかそういう自然なものじゃなくて、電気とか使ったモーターみたいなもので強制的に前後に動かされてる感じがする。もちろんわざとですわねえ。変態。
Sanctified Lady

変態。

もう変態すぎる。

どうも80年代に入ると先生は薬とかであっちの方がぜんぜんだめになってて、ベッドルームに女の子二人つけれこんであれしてもらってそれをビデオにとってあとで楽しむぐらいしかできなかったとか。薬とかやめましょう。

こんな変態も60年代後半にはこんなすばらしい歌歌ってたんですよ!70年代〜80年代というのかいかにあれな時代だったかがわかるというものです。

 


ファンク入門補遺

(消えてしまってるけど、Roberta Flack先生のReverend Lee)

有名な曲ばっかり並べちゃったから、あんまり有名じゃない70年代のを1曲だけ。これはすごいよ。こんなファンクネスはないってくらいすごい。ロックの影響を受けてるけど、とにかく抑制がすごい。

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ファンク入門(7) ファンク90年代

まあここらへんまで来るともう私にはリアルタイムなんですが、2曲ぐらいか。まあここらへん語りはじめるとキリがないというか。90年代にファンクはヒップホップとかと融合してまあ「ファンク」という枠はなくなる感じ。でもまあ1拍目!っていうJBの身体感覚がずーっと続いているのがわかると思います。あと抑制ね。

とりあえずファンク入門おしまい。あとはいろいろ聞いて踊ってください。常に1拍目と抑制を忘れずに。

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ファンク入門(6) ファンク70年代後半〜80年代

まあ75年から10年ぐらいはファンク全盛時代ですわね。

いくつか典型を。

オハイオ・プレイヤーズ。

Tower of Power。これは白人バンド。ベースのロッコ・プレステアがかっこいいんだ。ココココココココってミュートして16分音符で弾きまくる。オークランドってどこにあるか知らんけど。

ロッコ先生がなにをしているのか知りたい人はこのシリーズを見ましょう。

プリンス様も出てくるけどYoutubeにはないので、かわりにThe Time。これのキーボードとベースの人はのちにジャネット・ジャクソンとかプロデュースするJam & Lewis。映画『パープル・レイン』からですね。かっこよすぎる。この映画は必ず見ましょう。

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ファンク入門(5) ファンクの発展

まあJBとスライ以降はもうなんでもあり。

ジャズミュージシャンもスライ先生の影響でファンクをはじめます。

ハービー・ハンコック先生のカメレオン。ちょっと長くてジャズとか聞いてない人にはつらいかも。ハンコック先生はファンクを単純化して、スネアドラムの2拍4拍のバックビートをずらしたりして(1回目がふつうより16分音符1個分早い)独特のギクシャクしたリズムを出してる。シンセベースも好まれました。ふつうのベースよりエッジが立つから。

ハンコック先生がマイルスデイビスのバンドを首になってからいろいろやってたんですが売れなくて困っていた、と。でウェインショーター先生から誘われて創価学会に入会。毎日勤行を繰り返す日々。そんなある日、夢枕に日蓮先生とスライ先生二人がいっしょに立っていたという。「これだ!」。ハンコック先生はそこからヒントを得てこのファンクを開発したと言われいます。ほんとかどうかは知らん。大作先生が立ってたらどうなっていたのかもしらん。まあとにかくハンコック先生はライブとかでも自分でこのベースライン弾くんですが、すごいファンクネスでたまらんです。

P-Funkっていうのは70年代後半から80年前半ぐらいまでにジョージ・クリントン先生がやってたFunkadelicやParliamentというバンドとかその他周辺バンド・アーティストの総称。大人数でいろんなことをやる。ダンスフロアを占拠しておったらしいです。とにかく曲が長い、がかっこいい。ズズズズズ。とにかくこういうのを聞きながら一人で部屋で踊り狂うようになるとファンク中級。

ライブだとこんな感じ。Flush Lightって曲はスタジオ版も探して聞いてみてください。シンセベースがかっこよすぎる。ふつうのベースより低い音域使ってるので、ベーシストたちはそれに対抗するために弦を1本増やすことになってしまいました。

もうステージ上は変態大集合ですね。客席も黒人ばっかり。白人はサタテーナイトフィーバーとかでビージーズとかおしゃれに踊ってたときに、黒人のみなさまはこんな感じ。会場中マリファナとかがモウモウとしていたそうです。よい子のみんなはマリファナやドラッグは真似しちゃいけません。白い衣装のジョージ・クリントン先生のリズムのとりかたに注目してください。とにかく1拍目!

ファンクと抑制の関係を知ってもらうために、P-Funkをもう2曲。どっちもアルバムの最初の曲なんですが、抑制されてますよね。白人だったらジャーンっていってはじまりそうだけど、黒人ファンクはこういう感じ。盛り上ってるところも盛り上りまくならない。走らないでむしろ足ひきずってる感じ。重い。

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ファンク入門(4) スライの密室ファンク

入門(3)であげた Thank Youなんかはスライ先生が調子よかったときで開放的な明るさがあるわけですが、先生はその後ドラックづけになってどろどろになります。かなりやばかったみたいでどんどんバンドメンバーやめてきます。ドラッグはぜったいやめましょう。

でもまあそういうなかでThere’s a riot going onとかFreshとかって名盤を作成するわけです。ここらへんのアルバムは非常に内省的になっていて魅力的。

Freshの最初の曲In Timeを聞いてみましょう。

ドラマーはアンディー・ニューマーク先生にかわってます。さらにリズムマシンが導入されていて、ポコポコチキチキいってるのはマシン。ニューマーク先生は絶妙のタイミングでハイハットをシパッシパッ!ピシ!とやっててシビれる。ここらへんになるともうステージの上では演奏不可能じゃないっすかね。密室というか録音テープの上だけで音楽が構成されている感じですね。

ファンクに必須の抑制ってのがよくかってもらえるんじゃないかと思います。

名曲 Family Affairも聞いてくだしあ。

歌ってるのはスライ先生じゃなくてThank Youでスラップベースを開発したラリー・グラハム先生。こういう内省的な曲でも、ドッどどっ、ドどどっ、って感じで1拍目が強調されています。これがファンク。

前に紹介した「アンソロジー」に重要な曲は入ってるけど、この2枚はアルバム全体が名盤なので買いましょう。

ちなみにここらへん以降スライ先生は完全にドラッグ廃人。2000年ぐらいに復活かとか言われたけどもちろん無理。ドラッグから逃れられる人はおらんのです。

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ファンク入門(3) スライのファンク


では次に、スライ&ファミリー・ストーンのファンクです。

このかっこよさを見よ。バンドが男女、黒人白人入りまじっていて、カラフルですよね。JBの「黒人です」てのとはちょっと違うロック風味も入っている。

音楽的には「一発もの」と呼ばれるものです。Sex Machineはコード2個だったけど、2個でできるなら1個でもできるんではないか。E7 1個でいいのではないか、というわけです。もうなんにも進行しないでおなじところでずっとじりじりやる。さすがに途中でギタだけになるブリッジは挟んでますが、まあずっとE7。(あれ、オリジナルはE7なんですがこの演奏はホーンのソロとか入ってるからかF7でやってますね。いや、曲の部分はやっぱりE7。)

もうコード進行とか西洋文明はいらんのではないか、1発でアフリカにもどろうではないか、みたいなそういう思想があるのかもしれんです。

リズム的にはJBのものよりさらに細分化されて16分音符が意識されている。日本では16ビートとか言われてるけどなんかおかしくて、16th feelといいます。ドラムはエイトビート(8th feel)、ベースは16thフィール、ホーンやギターやキーボードやタンバリンは16thだったり8だったり。4分音符中心、8分音符中心、16音符中心の感覚が重なっていてどろどろしたファンクになる。JBの比較的シンプルな単純なのとはちょっと違ってきます。JBのよりこっちのやりかたのほうがいろいろ簡単でおもしろいものができるので主流になります。マイルスデイヴィスがこれ聞いて自分のバンドをこう感じにした話は有名ですよね。
こういうの聞くと私は足と腰と肩とか体の各部分が別々に動いてぎくしゃくした感じになって猛烈に気持ちいです。
あとベースが人差し指や中指で弦をはじくんじゃなくて、親指で弦をひっぱたく「スラップ」ってのが使われてます。この演奏法はこの曲から有名になった。
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ファンク入門 (2) JBファンクの和声的側面

James Brownファンクのリズム的側面の次は、コード進行について考えてみましょう。
JB先生の一番有名な曲 Sex Machine です。
この曲はたった二つのコードでできてます。Ab7とEb7。
最初のダッダッダッダッダッダッダッダッの8発がAb7で、そのあと延々Eb7が続き、「ブリッジに行っていいか?いいか?ブリッジ行っていいのか?いいのか?いいのか?ほんとにいくぞ?いくぞ?」ってやったあとにAb7に行って猛烈な解放感がある。もう延々なんか我慢してたものを放出する感じっすわね。これはAb7に対してEb7がドミナントという関係にあるからなんですが、コード進行の詳しい話はまたあとでやります。
ふつうの曲は最低3つはコードを使います。トニック(主和音)=I(1度)、ドミナント(属和音)=V(5度)、サブドミナント(副属和音)=IV(4度)かIIm(2度)。ブルースのような単純な形式でもIとIVとVと3つある。これが西洋古典音楽の基本です。でもこの曲はたった2つしかない。これがミソです。
まあとにかくこのEb7のところのジリジリした感じと、「ブリッジ」の部分の解放感を味わうのがこの曲のキモです。ファンクっていうのは元気いっぱい、猛烈、全力の叫びみたいな印象をもたれることがありますが、それはファンクではないです。ファンクはあくまで抑制されコントロールされている。JBはたしかに雄叫びがあげますが、本当に叫んでいるのはほんどなくて、つねにコントロールされてます。いつも全力にはならずになにか残っているところがある。先に進まないで同じところでジリジリする。ブリッジの部分の解放感も一瞬で、すぐにもどる。ブルースやファンクといった黒人音楽はそういう抑制がなによりもキーなのです。白人のオーケストラ音楽、あるいはヘビメタみたいに、「ドッカーンジャーン」ってやって「きもちいー」なんてのはない。
コードの話にもどると、最初にAb7とEb7と書きましたが、これは実際出されている音はAb(9)とかAb9、Eb(9)とかEb9とか表現されることもある形です。ふつうの単純なロックやソウルだと7thコードはG7(ソシレファ)のような形で使われるんですが、JBはさらにその上に1音エクステンション(テンション)足してG7(9) (ソシレファ*ラ*)の形でつかう。この9th(9度)の音もファンクな感じです。
ちなみにこういう9thとか13thの音とかは(V7のようなドミナントの場合)緊張感があるので日本ではテンション tension って呼ばれることがあるけど、実は必ずしも緊張感をもたらすものではなくて和音を拡張して豊かな音にしているので、エクステンション extensionで呼ばれます。まあ濁った感じになる。
さて、コードが二つしかないというのはどういうことか?実は2個だけだと、その曲のキーが確定しないのですわ。ふつうの西洋音楽だと、 I – IIm7 – V7 – I (C – Dm7 – G7 – C)のようにしてCメジャーの曲だ、とわかるわけだけど、2個しかないと I7とIV7なのか、V7とI7の曲なのかがわからない。メロディー(?)ラインからも判断がつかない。そこでこの曲はずっと解決しないままで最後までいってしまします。最後に「クィットするぜ!」ってやってダッダッダッダッダッダッダッダッってやっても解決した感じがしないっしょ?下品な言いかたになるけど残尿感みたいなのがある。こういうの、クラシックやロック、あるいはジャズとかとは根本的に違う考え方でできているわけです。
その次のSuper Badも同じようなもんで、Dmと G7の二つのたったコードでできてますね(ちゃんと確認してないけど)。この二つのコードからすればCメジャーとかが連想されるんだけどそれが実際に弾かれることはないのでやっぱり宙吊り。


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ファンク入門(1) JBのファンク

ファンクというジャンルは、ソウルブラザーNo.1のジェームズ・ブラウン(JB)先生が開発したということになっております。音楽的な特徴は16分音符フィール(16th feel)とか、ちょっとハネてるとか、4拍子と8thと16thがまざってるポリリズムだとかってのがあるんですが、とにかく1拍目を強調することっすね。あとはどうでもいいっちゃーどうでもいい。

まずはJB先生の代名詞ともなった名曲”Sex Machine”のころのバンドメンバーで、のちにP-Funk一派をひっぱることになったブーチー・コリンズ先生のレクチャーを見ましょう。

ユーノウ、1拍目さえ出してりゃいいわけです。ユーノウ、これがファンク。ロックは2拍4拍が大事で、「ちっちっダっちっちっちっダっち」「ダダダダズダダダ」だけどファンクは「ドンちっちっちっち」。

これがよくわかる音源があって、どうもyoutubeとかにないみたいだからあれだけど上げちゃいましょうか。

名曲”Cold Sweat”のリハとボツテイクの最初です。最初はメリハリがなかったバンドが、JB先生が「ブン!ばっばっばっ」て指示するとバッチリになるのがわかります。あのサウンドはJB先生の身体感覚そのまんまなのですよね。これがファンクだ!

ではJB先生の体の動きに注目しながら鑑賞してください。体全体は4つを刻んでいて特に1拍目を強くダウンで感じてます。しかし体の各部分はその半分の8つでチキチキ感じてるところがある。これがあの独特のフィールになるわけです。これ以降のファンクはもっと複雑になるんですけどね。

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