「レイプ神話」での性的動機 (7) だらだら

んでまあ、もうちょっとコメントしておくと、実際のところは「レイプとセックスは無関係」みたいな言い方をする人はあんまりいないんですよね。レイプとセックスは関係があるのはまあ主流派フェミニストの人も認めるはずですわ。我々のなかの一部の人は社会のルールとか、他人の苦しみ悲しみ迷惑なんかをあんまり考えない。そういう人々は、この相手とセックスしてみたいとなれば、相手の同意とか社会のルールとかを無視してそうしようとするわけです。そういう人は、欲しいものは万引するだろうし、お金がほしければ強盗するだろうし、お金払えば、そして払えればその相手にお金払うだろう。暴力はいやだ女が泣いてるところは見たくないっていう大多数の人間の一部が、お金払うのもいやだとなればらうまく誘惑しようとするだろうし、まあまじめにおつきあいしてプロポーズしてセックスしてもらう人もいるでしょう。まあそんなもん。

ポイントは、先のポストでも指摘したように、我々がなにかの「原因」を指摘しようとするときは、さまざまあるなかから、我々が対処しやすい要因をピックアップして「原因」と呼ぶことがあるってことですわね。フェミニスト主流派は、おそらく、「性欲が原因である」というのは対処しにくいので、「レイプ文化」が原因なのだ、あるいはポルノが原因なのだ、ってことにする理由がある。そっちだったらこれからなんとかすればなんとかなるかもしれませんからね。「レイプ神話」自体がレイプの原因だってのもよく言われるわけですが、これは(少なくとも)加害者のそうした神話に似た思い込みがレイプの要因の一つであり(これはある程度実証されている)、この神話を撲滅することなら可能かもしれないからですわね。「女性は実はレイプされたがっている」「薄着の女は誰とでもいいからセックスしたがっている」という思い込みを撲滅すれば、まあそういうふうに思いこんでレイプする加害者を減らせるかもしれない。まあそういうふうに理解したいな、と。

もうひとつは、レイプの主要な動機がセックス、つまり性欲だからといって、別にレイプはしょうがないってことにはならんわけですよね。これも誰もが認めることなわけで、そういうのでは「レイプの原因は性欲ではなく支配欲」とかって言ってもあんまり意味はない。そもそも性欲をなくすのが難しいように、支配欲とかってのがあるとしてもそれをなくすのだって難しい。性欲は自然で、支配欲は文化的なものだ、みたいな思いこみがあるのかもしれないけど、我々は自分の欲求を簡単に作ったりなくしたりできないのだから、むしろコントロールする方法を学ばなきゃならない、ぐらいの話だと思いますね。まあ「文化的に男性は支配欲を身につけるように学習させられているので、その文化を解体するべきだ」とかってのはあるかもしれないんですが、具体的にどういうことを意味しているのかはよくわからない。「文化を変える」っていうのは直接的にはすごく難しくて、我々ができるのは正しい知識を広めたり(教育や啓蒙活動)、あるいはせいぜいインセンティブやサンクションを工夫したりすることですわね(たとえば逮捕率の向上、被害者非難の軽減、重罪化)。

それにそもそもそもそも、「支配」はともかく、我々がレイプを称賛するような文化をもっているとも思えないですしねえ。実際、SNSや掲示板見ても、レイプ犯みたいなのはほんとうに邪悪な存在か情けない存在として馬鹿にされてるように私には見えますね。裁判員制度になって性犯罪重く罰されるようになったとかって話で、これって我々は性犯罪を本当に嫌っているという印のように見える。

まあこのレイプを許容する「レイプ文化」とかってものが存在するのかどうか、ってのは今アメリカあたりではものすごくホットな話題ですね。主流派フェミニストvs.非主流派フェミ・男性の権利運動なんかが激しく争ってます。これとアメリカ全体のポリティカル・コレクト要求の高まりがいっしょになって、なんかすごいことになってますわ。日本でも近いうちにそうなるでしょう、っていうかSNS見ればそうなってる気もする。

まあ「レイプは性欲が原因」だとか「支配欲が原因」だとか、神話だとか神話じゃないとかって、あんまり単純に考えてSNSで広めるよりは、まずはレイプや痴漢、セクハラに関する事実をしっかりたしかめ広めて、その対策をみんなでぼちぼち考えたいですね。どういうときに加害しやすくなるのかとか(アルコール、性的に興奮しているとき)、どういうときに被害受けやすくなるのかとか。

下の本はいわゆる「レイプカルチャー」とその対策について激しく主流派フェミニストを攻撃していておもしろかったです。まあこっちも全部うのみにするのはだめですが、反主流派フェミっていう問題意識はおもしろいので英語読める人はどうぞ。


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