これまでの日記 / こだまの(新)世界 / weakly news / words and phrases POMERA 2023-2024 .2023/01/17 2ヶ月ぶりか。前回パスワードを変更して忘れてしまい、30分以上思い出すのに時間がかかった。ついでにデータをSDカードに移しておく。 久しぶりに心に余裕ができたのでいろいろ書いておこうかと思ったが、時間が無いのでごく簡単に。 11月はその後フォルマン先生が来た。日本生命倫理学会ではいくつかの報告を掛け持って忙しかった。11月末から12月上旬にかけてスパロー一家が来てくれて忙しかったが楽しかった。そういえばサバレスキュとクリスジンジェルも来たんだった。 12月は授業もあり、あっという間に終わった。土日もシンポや講演で忙しかった。RISTEXの合宿もあった(大屋さんと米村さんが公開口論したがあいにく別件でその場におらず見られなかった)。良かったのは年末にオックスフォード哲学者奇行が紀伊國屋書店のじんぶん大賞の6位に入ったこと。東京ドームホテルで泊まったときには加藤尚武先生にお会いして伝記について相談できたのもよかった。娘にはクリスマスプレゼントとWacomの液タブを買ったが、どのぐらい使うか。 年が明けてからは臨床倫理入門テキストの編集作業とか数研出版の仕事とかいろいろ〆切をこなしていた。それでやたらと忙しかったが、先日の共通テストの副責任者業務のときにこまごまと仕事をして、かなり仕事が片付いて心に余裕ができた。武藤先生の手伝いで政府の分科会にELSI提言を出していろいろ批判を受けたり(よい展開にもつながったようだ)。 うーん、やっぱりまだ心の余裕がないな。もう少し落ち着いてから、あるいは落ち着くためにここに書くべし。 .2023/01/18 今日も朝からオンラインで外国人(全員豪州の人だと思ってしゃべっていたら、3人のうち2人はニューヨーカーだということがわかって恥ずかしかった)としゃべったり、いろいろ予算の打ち合わせをしたりしてコ心が落ち着かない。これから授業。英語は今年は比較的達者にしゃべれている気がする。どんどん上達するように心がけよう。 加藤先生の伝記や、翻訳のチェックもしないといけない。 .2023/01/23 週末は娘とフェリーで別府へ。別府で泊まらず、フェリーで2泊(弾丸ツアーというそうだ)。まあそれなりに楽しく過ごしたが、月曜日になるとまた朝は娘は不機嫌。大変だな。 昨日、住宅ローンの完済手続をする。とりあえず払い終わったのはよかった。ここからどうするかな。 今日はデータ倫理のシンポ。共同発表者の某M上さんが直前までスライドを修正して送ってくれないので困る。共同研究はできないな、という感じだが、私を含め、みないろいろ長所と欠点がある。 .2023/02/08 昨日は大学院入試の件で一件勘違いして大事になるところだった。東大の某君が不合格だと思って、聴講生試験を勧めたところ、合格しているというので確かめたら、京大の某君が不合格なのだった。私が受験番号をよく確認していなかったからだ。水谷先生いつも事前に確認していたのはこういうことかと納得する。しかし、昨日そのことに気付かなかったら、二次試験で大変だったろう。とりあえず気付いてよかった。 自分の文章について、昨日気付いたこと。筒井康隆を読む前に、ポケットジョークという、海外のブラックユーモアのシリーズものを読んでいたんだった。これと星新一の影響が大きいのかも知れない。もっとおもしろい文章を書けるようになろう。 自分の文章修行はなんだろうかと考えると、卒論のときに奥野さんに「おばあちゃんにでもわかる文章を」と言われたのを覚えているが、東大で入門・医療倫理Iを作るときに瀧本さんに「文章がテキストっぽくない(論証的になっている)」と言われて自分なりに考えて、キーワードの説明が中心のテキスト的に書くようになったことがある。また、現代用語の基礎知識で字数を切り詰める訓練をしたことも大きかった気がする。今、星新一の明治の人物伝を読んで、改めて他人から文章を学んでいる感じ。とにかく自分の文体を作ること。 今年の豊富は、やりたいことリストを作ることと、手抜きせず100%以上の力で仕事をすることだな。どうしても「このぐらいでよいか」と8割ぐらいのところでやめてしまうところがある(こないだの道徳的進歩の手抜きの文章など)。もっと突き詰めて、多くの人に理解されなくても考え抜いたことを書くようにしないといけない。 そういえばamazonで別アカウントを作ってそちらでKindle Unlimitedに入ってしまった(既存のアカウントではUnlimitedはやめた)。そうすると低級な快楽に従っていろいろ見てしまい、匿名の力は恐ろしいなと思う。本当に匿名かはわからないが。しかし時間の無駄。 .2023/02/10 院試は無事に終了。勘違いして東大の受験生に一次に落ちて残念だったけど聴講生試験を受けてね、というメールをしてしまい、ひんしゅく。というか、新聞沙汰になりかねないな。もう少し慎重に、ダブルチェックしてやること。 いろいろ他人と仕事をすると返事が来なくて辛いことが多いが、とにかくやるべきことをやろう。ここらへんはストア派的な発想で、自分の意にならないことについてあまり悩むのはやめよう。 グラムパーソンズの曲を聞いて(#1)、自分の中のユーモアだけでなくロマンチックな部分も抑圧しているな、と気付く。年齢相応というのに縛られている。詩も書くべきだな。 .2023/03/07 結局上記の東大の受験生は来なさそうだ(東大の院に行くのだろう)。先日、聴講生試験をして、定年退職した高齢男性を二人とも落とそうかと思ったが、高齢者差別のような気がして、結局一人の受験生は合格にした。もう一人は長く倫理にいるが学んでいるようには思えないので、申し訳ないがご退場いただくことにした。 2月中旬に韓国のイルハックリー先生が京都に遊びに来ていたので会った。今度3月に会えると良いが。 安井さんとは口論をしながら卒論指導をしている感じ。感情的になる人なので、こちらも感情的になってしまう。ただ、娘とよく喧嘩しているので、感情的になりつつも議論できるようになってきた。何事も慣れだな。 予餞会も無事に終了。無事に育ってほしい。 先週は集中治療医学会でパネリストと講演。京都宝ヶ池の国際会館の第一会場という巨大なホールで講演ができたのは気持ちよかった。それ以外はとくに感想なし、というか、樋口先生たちの終末期医療の議論は本当によくないと思う。ちゃんと本を書こう。 先週末は東京一橋講堂でAI医療の科研のシンポ。村上祐子さんと会えてよかった。高口さんと共同発表で、発表は高口さんにやってもらったが、その過程でいろいろ学んだ。そのあと、朝日の尾澤さんという記者と喫茶店でマスク解禁の話。 昨日は御池クリニックで人間ドック。ポリープとか何か出てくる気がするな。これがあったので上記科研シンポでは懇親会に出られず。 今日は京大オリジナルと出口先生が企画した企業向けの哲学セミナーで講演。無料ということもあり、200名ぐらい来ていたが、前の立ち止まって考えるの二匹目のドジョウを狙っている感じのようだな(今回はもうけを出したいようだ)。午後は台湾NTUのダニエルツァイ先生と協力してオンラインシンポ(コロナ禍のデジタルアプリについて)。日本勢の発表は韓国人のヤンさん以外は英語があまり得意でなく、今一つだったが、まあ何事も修行だろう。 しばらく前からニーチェを勉強しているが、その過程でパウル・レーについても勉強する機会があり、勉強になった。私はこういう「偉大な人物の陰に隠れた人物」が好きなのかも知れない。詩や星新一も重要だが、アフォリズムも作ってみようと思ったり。 今週末は赤林先生の最終講義と、加藤先生のインタビュー。質問事項を送らないと。来週はオランダ二国間セミナー。早く発表の準備をしないと。 小門さんは阪大の文学部に移るそうだ。めでたい。神戸薬科大にまたポストが出るということでもあるな。 ちょっとイルハックリー先生にもらった酒を飲みながら過去一ヶ月を見直して落ち着く。明日からも頑張ろう。 .2023/03/08 昨日の酒はかなり強くて酔っ払った。 今朝、ひさしぶりにREBECCAのRasberry Dreamsを聴く。ボーカルうまいな。やはり今聴くとマイケルジャクソンの曲のギターとかマドンナのボーカルを思わせる。そういう時代だったんだよな。Moonやその他のゆっくりめの歌はどれも今ひとつ。とはいえ、こういう曲が好きだった頃もあったことを否定はできない。ただ、この頃の曲を聴くとメランコリックになるんだよな。それはなぜか。いろいろな人を傷つけてきたからだろうか。観念連合による結びつき。 .2023/03/22 いろいろ怒濤の報告シーズンが終わって、少し体が軽くなった。 昨日は朝日新聞にマスクのインタビューが掲載。ツイッター上は読んだか読んでないのかわからないようなネガティブな反応が少し。気にしないのが一番だな。 韓国の国際学会のオンライン報告。イギリス人が早口で話していて少し不愉快になる。おそらく国際会議に慣れていないのだろうが、傲慢さを感じる。私も気をつけよう。いずれにせよ、付け焼き刃ではなく普段からもっと勉強していないとだめ。 二週間ほど見直すと、文学部支部臨時総会は無事に終了。もう一年しぶしぶ支部長をやることになった。教授会では落合先生や地理学の水野先生が厳しいお言葉(もう内容を忘れたが)。落合先生は自分の話をもっと聴いてほしかった、水野先生は文学部はガラパゴスで公募もしなくて時代遅れ、という感じだった。内容はともかく、こういう批判的な意見を退職間際にしか聴けない文学部の体質だろう。 10日の赤林先生の最終講義は内容は前回の研究会と同じであまり見るべきところはない。自慢話など。とはいえ偉大な足跡を残したことはそうだろう。そのあとの飲み会などは同窓会的でおもしろかった。 11日は加藤先生のご自宅で少しお話を伺う。前日に江戸川区の平井に足を運んでおいてよかった。伊那に一緒に行くという話になったがどうなるか。板井さんも一緒に行ってくれることになったが、まだ加藤先生から正式な返事がない。 先週はひたすらオランダ二国間セミナー。シンポでの私の報告は勉強不足。もっと準備してから(というか一度報告した報告などを)発表しないとだめ。というか、オーガナイズするときは報告は控えるべき。もう少しよく考えないと。まあでも全体的には田中さんらの協力もあり、無事に終了。反省するべきところは反省して、次につなげること。土曜日も夕食。スシロー。日曜日はゆっくりできた。 それで月曜日から韓国のオンラインコンファランス。ズームで通訳を付けていて偉い。 今日、少し心の余裕が出ていたが、ここ2週間を振り返ってお腹がいっぱいになった。深呼吸して落ち着くこと。 業績一覧を更新すること。あと、眼鏡とスーツなどを新調しないといけないな。 .2023/04/07 オランダ二国間のあとは韓国のコンファランス。毎日2時間×3日だったこともあり、比較的順調に終わる。そのあと、家族でソウル旅行。東大門付近のホテルに泊まり、妻と娘は基本的にその近辺から出ず。娘の友人の家族も同じホテルに泊まったので、娘はそれなりに楽しんだようだが、韓国でも、その後も、私や妻とはよく衝突する。気分屋。早く成長してくれるとよいが。とはいえ、私や妻も成長しなければならない。 旅行中と帰国後はミネルヴァの初校の校正。一から書き直すことができれば違った風に書くだろうが、長期間の連載なので仕方がない。むしろ、最初の方の私の視野の広さに感謝すべきだろう。 ここ数日は朝日のインタビューの準備(5類変更の話)。他にもいろいろ〆切があるのだが、なかなか手が着いておらず、逃避的にスプラ3をやっている。 .2023/04/18 先週から前期の授業が始まった。パーフィットを勉強しないといけないので大変だ。金曜日の授業は第7講義室だったが、ディスカッションするには狭いので第3講義室に変更してもらった。 昨日は明石書店の上田さんが研究室に来てくれた。拙著のおかげで係長になれたという話で、もちろんそれだけではないだろうが、きちんと仕事をする人なので出世してほしい。 そういえば、可処分時間disposable timeという概念を学んだ(可処分所得disposable incomeはもちろん知っていた)。ほんとにそういう時間があるのかは哲学的な問題だが(無駄にできる時間はあるのか?)、スプラばっかりやらないようにしなければ。 金芳堂の『京大式 臨床倫理のトリセツ』がようやく完成して、見本が届いた。私も別に「トリセツ」という言葉は好きではないが、まあ出版社の意向に従うしかない。とりあえず仕事が終わって良かった。今年度も入門コースをやる予定。 CAPEレクチャーでKahnさんがパーフィットのカント批判を検討する報告。パーフィット産業の一部というべきか。研究室の一部の学生しかきていなかったが、飲み会ではいろいろ話せて良かった。格率に従って行動するというモデルは確かに謎だよな。行為の哲学をやらないと。 系代表になっていろいろ忙しくしている。職員組合の支部長ももう一年あるし、大変だ。学生生活委員も。大学行政は適当にやることにしよう。 ウェルカム(BRIDGES)の国際会議の準備もしないといけない。大変。高江さんのケアも必要だが、Brocher Foundationのレジデントに選ばれたのは喜ばしい。若手を応援しないといけない。 家族関係は比較的順調。家の仕事もすること。 .2023/04/25 先週末は応用哲学会で金沢に行っていた。少しだけ学会に参加したが、やはり自分も報告しないと外様感が否めないな。村上さんや上村さんと会えてよかった。 昨日、安井さんのオンラインの研究指導で安井さんの機嫌を損ねてしまい、途中で「話をする精神状態にない」と言われてZoomを打ち切られた。自分の論文を批判されるのは難しい経験だとは思うが、あまりに非難と理解するようで個人的にはいかんともしがたい。かなり配慮しているつもりだが、やはり「じゃあ撤回します」とか「この章はなしにしたいと思います」などという形で守りに入られるとどうしようもなくなる。自分の文章を擁護しつつ、良いところは活かして、悪いところは改善する作業を一緒にしてほしいのだが。一応謝るメールを入れておいたが、今後どうなるかわからず。水谷先生からもおそらく連絡があるだろうな。研究指導は大変だ。 .2023/05/15  安井さんの件はその後、本人からメールでの研究相談にしてほしいとの連絡があったので、その方向にすることにした。余計なことを書いてしまい、月2ペースになるかもしれないが、まあなんとか提出できるようにがんばろう。  家族関係は比較的順調。娘は6年生になってかなり自分で宿題をするようになった。答え合わせも自分でしており、漢字も計算もよく間違えているようだが、口を挟むと怒りだすので、なかなか難しい。子どもも学生も上手に指導するのは難しい。娘は4月から自分の部屋で寝るようになった。  GWは後半は家でゆっくりしていた(ウェスティンみやこホテルのバイキングに家族で行ったぐらい)が、前半に加藤先生と板井さんと長野の伊那市の元山吹村という、加藤先生が疎開していたところに行ってきた。先方の老人に私から質問することはできなかったが、非情に奥地に疎開したことだけはよくわかった。加藤先生をお連れして良かったのかわからないが(加藤先生は表に出さないのであまりそのあたりがわからない)、よい機会にはなった。翌日、板井さんと上田の別荘に行き、ゆっくり話せて良かった。Game Changersというドキュメンタリーを一緒にみたり、まきを割らせてもらったり(私には無理ということがわかった)。  姉がまた母のところに来ており、永原の件などでいろいろ画策しているようだ。話が複雑になるまえに、赤字覚悟で手放した方が、みなにとって幸せだろう。兄も心配しているようなので、なんとかしないといけないが、母も京都に来る体力が無いと心配しているようで、どうしたらよいものか。  GW中は主にミネルヴァの予防の倫理学の再校をやっていたな。できればもうこの原稿は見たくないが、出版したら研究会を開くべきだろう。  GW後は、組合文学部支部の新歓とか、大学院説明会とか。あと、以前から懸案だった喜多先生と企画する飲み会を開催した。楽しかったが、人数をもっと増やすかどうか。増やさないと話すことがなくなるかもしれないし、増やすと管理が大変になるかもしれない。  昨日は藤田潤先生の飲み会。荒神橋のフレンチで昼食後、藤田先生のマンションで飲み会。藤田先生は前立腺がんが骨転移しているのであと2年ぐらいで死にそうと言っていた。腰が痛いのでコルセットなしで座っているのが困難とのこと。食器など私が片付けるべきだったか。すみません。深圳大学にいて一時帰国している武田先生の話を聞いていると、ちょっと中国にも研究者としていてみたい気になる。  また、昨日、研究室内でコロナ感染者が出たことがわかり、少し人数が増えつつあるかもしれない。そのため本日予定されていた新歓は延期になった。私自身は大丈夫そうだが。  あと、GW後に奥野さんの推薦状を速達で医学部に送っておいた。うまく行くと本当によいのだが。  いろいろ心配事項や〆切がある気がするが、一つずつ片付けていこう。とりあえず9月のウェルカムの国際会議だよな。 .2023/05/22 スパロー先生のところも母親が肺がんでステージIVとのことで大変なようだ。人生は苦とは思わないが、死は必ずやってくる。 先日土曜日は法律文化社で『正義論』の第二版についての相談(日本哲学会の評議員会はさぼってしまった)。差別について一章書くことになってしまったが、この本は改めて読むとよくできている。2020年ごろに講義をしてからすっかり忘れていた。 夜の夕食のさいには井上さんや松元さん、宇佐美先生、編集の舟木さんと歓談。井上さんは2024年にサバティカルに行くそうだ。何か競争意識が強くて少しついて行けない。国際的な研究者としてはどうしてもそうなるのかもしれないが、ペッキングオーダーを常に意識している感じで大変そうだ。でも私も本当はそういう競争意識をもって、もっと研究を進めるべきなのかもしれない。・・・とはあまり思ってないな。幸い、そういう競争的な研究環境で育たなかったのかもしれない(パーフィットのように昇進がかかった業績もなかったし)。良い意味でも悪い意味でもおっとりしているのだろう。 ミネルヴァやシンガーのなぜヴィーガンかの校正中。パーフィットの伝記を読み終わったので、上田さんに相談してウェブあかしの連載を少し追加させてもらうことにした。Love of Labourだな。 あと、本日は家のガレージのシャッターの修理。高く付いたようだが仕方ない。どうも洗濯機も買い直しのようだ。なんでもいつか壊れる。 .2023/06/12 あっという間に6月も中盤。先週の木曜日に代々木で国際SPT学会があったので、5月末からその準備。伊沢さんに任せてあまり進めてなかったら、RISTEXの三村さんという職員の方が見かねてだいぶ手を入れてくれた。当日、唐沢先生にも院生の面倒は自分のところで見るようにと嫌味を言われてしまう。とはいえ、うちの教室の学生ではないので、どこまで手を入れるかは難しい(共同報告になっているが)。当日は無事に終わって良かった。小林でんじ先生に、先日の朝日の記事での専門家と政策立案者の関係が古典的モデルになっているとやんわり叱られる。  その日は東大で非常勤もあった。とくに変わったことはなかったが(タバコではなく予防接種義務化でSGDをした)、中澤さんや宇田川さん、また一瞬高橋さん(今井さん)にも会えてよかった。  ドイツ二国間共同研究の準備も進めている。パペさんらが来週から来る予定なのでその準備。私もドイツに行く準備。  先週は新歓もあった。簡単に自己紹介をしてもらう。  5月末は奥野さんが来てCAPEレクチャー(DTCの遺伝子検査)をしてくれる。水谷先生も来て飲む。元気そうで何より。双子の子どもは今年の秋からUCLAとMITとのこと。優秀だ。旦那さんは某教授選は駄目だったそうだ。奥野さんはうまく行くと良いが。  6月3日から東京出張。台風のせいで到着が大幅に遅れる。新宿のホテルでEric Feldman先生(ペン大)に会う。一緒に研究費を出す予定だったが、私のミス(Ericのミス?)で提出できないことがわかる。鍾さんと田中さんも来てくれていたが、鍾さんは無事に熊大の助教に決まったそうだ。  翌日、加藤尚武先生のところに行ってインタビュー。加藤先生の先生についてもろもろ伺う。奥さんにおいしいベジタリアン料理を作ってもらったが、ご挨拶せずに帰る。料理も含めて申し訳ない。行く時間帯を変えるかな。  授業などはGW後は落ち着いて比較的順調。シンガーやらウィトゲンシュタインの勉強。文学部支部の仕事や、いくつかの学内の会議は少し面倒だが仕方ない。イギリス哲学会の仕事も同様。そういえば、先週木曜日に東京移動中に、杉本さんがイギリス哲学会の事務局と揉めたので新幹線のデッキで電話したりして火消しをしたのだった。某キャンベルさんは月2の授業が心理的にできないというのでそれの対応もやや大変(教務からやたらに連絡が来て、どうもキャンベルさんのさぼりだと思われているようだ。心理的なものは外から見えないので困る)。  家族は比較的順調。よく喧嘩もするが。娘も少し落ち着いて、宿題をしたりゴミ捨てを言われたらしたりするようになり、ちょっとずつ成長している。 .2023/06/29 あっという間に月末。先週ぐらいからドイツ人研究者たちが来ていそがしくしている。慣れないインタビューなども実施して勉強にはなっている。千里高校、京都府警、OBの加賀さんのいる淀川清流高校、教育学部の臨床心理学の松下先生など。先日の日曜日は水谷先生も一緒にますたけで夕食。昨日は吉田泉殿での研究会のあと、まんざら本店で夕食。今回も散財(まんざらは3万円ほど補助が出たが、3万円弱は自腹)。この大学の制度ってほんとに理不尽だ。  系会議の準備や支部総会などの準備などでも忙しかった。それなりにやりがいがあるが、こういうことでも体力を削られていく。しかし、Nothing Human is Alien to Me.か。  先週末は恒藤先生と食事。早めに退職してモントリオールとボルドーにいらっしゃるそうだ。マインドフルネスの話など伺う。一緒に食事をした佐藤泰子先生は研修中の息子さんがパワハラを受けたとかで大変そう。早めに帰っていた。土曜日に大竹先生や待鳥先生らの研究会に参加。経済学系だったせいか、今ひとつアウェイだった。  ウィトゲンシュタインの勉強中。ドイツ人接待で忙しくて今週火曜日の授業は散々だった。ちゃんと勉強しよう。  娘は昨日から2泊で北海道修学旅行。先日は風邪を引いて診療所に二度連れていき、それも時間がかかった。ついでにHPVなどの予防接種についても伺う。  業務過多とのことで三上さんと何度か相談。ウェルカムの方はあまり手伝ってもらえなさそうだ。私のせいなのか、高江さんとそりが合わないのか。三上さんはドイツとの共同研究もあまりコミットしてくれないようで、私としては不満だが、三上さんなりの理屈もあるのだろう。一面的にならないように考えること。そのためには話すが一番大事。お互いストレスを溜めないこと。  キャンベル先生の病欠の件もいろいろ大変だが、やはりNothing human is alien to me.だな。できることをがんばろう。  今日は横野さんとオンラインで一時間ほど話したが、いろいろ大変そうだ(S山先生の件など)。横野さんもアカデミアを出るべきか悩んでいるようだ。日本のアカデミア、どうしようもないな。  先週ぐらいにイギリス哲学会から次期事務局の打診があったが、これは忙しいので断った(三上さんとも揉めていたため)。立場さんが9月から京都に戻ってくるようだが、それでもおそらく無理だろう。あと、厚労省からWGの座長(!)の打診があるが、これもどうしようか思案中。よい経験にはなるだろうが、おそらく大変だろう。  家族はそれなり。娘とは公文でよく喧嘩するが、もしかしたら事務補佐の別府さんに夏に韓国語を教えてもらうことになるかもしれない。母親にも連絡するようにしなければ。 .2023/07/05  帰宅前に心を落ち着けるためにメモ。(ウィトゲンシュタインも、英国に戻って心から母語で話せる友達が居なくなったら、日記をまた付け始めたそうだ。レイモンクの伝記)  何か少し体調が悪い。一昨日、寝室のエアコンの温度が低くて寒かったからだろうか。まあ、働き過ぎかもしれない。 加藤先生が心臓のペースメーカーを入れたとのこと。先日、伊那を連れ回したからでなければよいが。  『予防の倫理学』の見本が届く。加藤先生は過失論が欠けているのが欠陥だと指摘してくれた。予防と過失はたしかに関係が深い(責任をとう場合)。しかし、すべての過失がいわゆる予防に関わっているわけでもないように思う。注意義務違反は、予防義務違反とは言えないのではないか。しかしよく考える必要がある。  ウィトゲンシュタインはわからんがここ一月以上勉強している。あまり影響をうけないように注意しよう。 娘は無事に北海道から戻ってきた。仲良くしよう。  あとは夏入試の準備などだな。組合の仕事や系会議の代表の仕事などで忙しい。また、厚労省のWGの座長も引き受けてしまった。どうなることやら。  先日、中高一緒だった津田さんと電話で話した。何かと思ったら、やはり同級だった奥渉(おくわたる)が白血病で東京の病院で入院しているとのことで、心配だったので私に連絡してきたとのこと。良くない知らせだが、本当に30年ぶりぐらいで話せたのはよかった。先方もきっと緊張していただろう。 .2023/07/27  先週で授業が終わって、一応夏休み的な時期になったが、9月の国際会議の準備や、臨床倫理入門コースの準備などで忙しくしている(講義動画の収録と編集)。なんとも心が落ち着かないのでこの日記を書くことにした。  『予防の倫理学』と『なぜヴィーガンか?』が今月末に次々とでたのは良かった。前者はどのぐらい評価されるかなぞだが、あまり期待せずに待っておこう。シュリックの翻訳のチェックもしないといけない。  明後日、加藤先生のところに行くつもりだが、心拍数が下がって心臓にペースメーカーを入れたそうだ。もうすぐ死ぬということだろうか。真剣に話を聞かないといけないな。安保運動の勉強を今頃している。  安井さんの博論も再起動したようなので、コメントを付けて送らないと行けない。組合の仕事もやらないといけないし、いろいろジャグリングをこなしていかないと。スプラ3を毎日してる場合じゃないな。 .2023/08/18  ドイツにて。昨日の朝に到着。昨日はメールの返事をして、安井さんの論文へのコメントを書いて(ノディングズのMaternal Factorの解釈が無理筋)、夜に藤野さんと食事をしたら終わった。  今日はお昼はパペさんらと警察署にインタビューに行く。夕方にフォルマン先生の自宅を訪ねた。生命倫理の話を聞いたが、生命倫理がつまらないのはどの国も一緒で、臨床倫理をさせるにもどこに部署を作るか悩むし、研究倫理の担当をさせるにもどこにも行き場所がないからSPHに作るなど、医療倫理の研究者は厄介者扱いされているという話をしていた。日本の生命倫理学会の話を少ししたら、生命倫理学はマージナルで内部抗争をしていてどうしようもないとも。しかし、高齢化し成長が鈍化する社会の中で科学技術の話ばかりしていてよいのか、美容整形(おそらくはエンハンスメントも)をどう考えるかなど、他の分野の研究者が問わない重要な問いを問うていくべきだという話はその通りだと思った。後期琳派の話も伺う。  昨月から加藤先生訪問の話などがあるが、また思い出して書こう。 .2023/10/09  だいぶ間が空いた。ちょっと落ち着いて書けるので少し過去を振り返ろう。  先週から後期授業が始まったが、その前の週ぐらいから風邪を引いてしまい、それが大変だった。娘ともそのぐらいから絶縁状をもらってあまり口を聞いていない。娘は絶対に仲直りしないつもりのようだが、どうなるか。  8月のあたまごろにみなとみらいに泊まって、兄に会ったり母親に会いに行ったりした。暑かった。16日からベルリン出張で、発表も含めてそれなり。ここも暑かった。  帰国して最初の厚労省のWG。最初の会あるいはその後のメールにおける私の振る舞いが悪かったのか(少し坂井先生的ないろいろ事務局に要求する態度を取っていたのが調子に乗っていると思われたのか)、その後の連絡がほとんどなくて心配。まあ信用するしかない。  8月月末は重田園江先生の集中講義。重田先生経由で岡野先生から家事をするように言われる。  9月3日に臨床倫理入門コース。8月の初回は事務局のポカがあったが、その後反省したようで、事務局4人体制できっちりしてくれた。オンライン懇親会は今ひとつ。ハイブリッドだと懇親会をどうするのかが難しい。みなさんに感謝。でももう毎年やるのは疲れたな。ということで、病院の松村先生が次年度からは引き受けてくれるかもしれないとのこと。そうすれば京大オリジナルに事務局を頼む必要もなくなってよいかもしれない。  9月14日から4日間、国際臨床倫理ワークショップと国際会議。高江さんや三上さんと事前の準備も大変だったが、当日と夜の接待などもすべて大変だった。結構な散財。でもまあおかげさまで成功。みなに感謝しないといけない。  その直後に教室合宿。高松。十分にストレッチをせずに金比羅さんに登ったら、帰洛後に腰を悪くしてしまう(とくに右のお尻の辺り)。それからしばらく整体に通う。ストレッチの仕方を教えてもらえたのがよかった。  9月の最終週は1回生と2回生のガイダンス。両方とも10人弱来る。高校の時に私のオンライン講義を聞いた1回生とか、倫理学研究室の雰囲気が好きだから来たという2回生もいて、少しうれしい。週末は日本倫理学会@みなとみらい。金曜日の夜から武蔵小杉に宿泊。金曜日に娘が発熱して診療所にかかる。私も若干心配だったがその日の午後に加藤先生にお会いしてインタビュー。学会は最後の共通課題以外は真面目に参加して質問。高木さんの発表(トマジウス)は公募で人柄や能力を見に来ている人がいるなかでする発表ではなかっただろう。  10月から授業。月曜日はオランダの総領事館の人などがこないだの二国間共同セミナーの話を聞きに来たのでその対応。今考えると、モニークさん(その旦那が現在の総領事館の長)の力が働いていたのだろうか。 授業はなんとかこなしたが、風邪なので第三演習には参加せず、木曜日などはひたすら寝ていた。土曜日は原冨さんと富田散策。冨は現在、大阪勤務で富田の実家に住んでいる。いろいろ懐かしいところ、すっかり変わっているところなどを歩きながら教えてもらった。その翌日も豊田さんと伏見稲荷の裏山を歩いたので良く歩いた。ストレッチのおかげで腰痛は再発せず。  そんなこんなで忙しい日々が続いている。9月末は妻が一週間オランダに行ったので、義母が面倒を見に来てくれていた。そのさいに風邪を引いたので、申し訳なかった。娘はそのせいで最後の運動会に出られず。私はマンガを読んで夜更かしする夜が多かったので、それで体調を崩しやすくなっていたのではないかと思う。あと、長く続いた暑さも9月末でぐっと和らいだのも原因だろう。  今週末に東京で上廣国際会議があるので、それに向けてがんばらないといけない。あと、法と哲学新書用に原稿を出さないといけないんだよな。心に余裕がないとおもしろいことも考えられないので、がんばろう。 .2023/10/11  谷口さんにいただいた著書を読む。私もこの手の論文集というかエッセイ集みたいなのを出してみたいな。いろいろなところに散りすぎていて、おもしろい文章を見つけることができないだろうけど。  ナンセンスとかパロディとかは、忙しいときには思いつかない。というのは怠慢か。つねにそういうことを考えてないと。  研究室がかわいそうな状態なのでみなさんに寄付を、というYouTube動画などはおもしろいと思うが、不謹慎だと怒られるんだろうな。不謹慎というのはユーモアの敵だ。ポリコレも何もかも。 .2023/10/12  研究室に文鳥が入ってきた。すぐに逃げてくれれば悩むこともなかったろうに、居座ってしまったので、今や自分の母親以上に気になる存在である(それ自体、よいこととは思っていないが、実際にそうである)。 本日の某田中さんの報告@立命館でも、「迷惑」について議論があったが、もっと日常言語哲学のように迷惑の使われ方を検討してみないといけない。安易にburdenと訳すべきではないかもしれない。危害とharmについてもそう。安易に訳語として互換可能と考えてはいけない。  国際会議の準備はまだ全然できていない。何か無意識のうちに高を括っているようだ。  授業が忙しいが、二週連続で第二演習が休講なのが救い。プラトン、アリストテレスの勉強を進めないと。 .2023/10/16  国際会議は一応無事に発表して終了。ジュリアンは誉めていたが、日本の発表者は見るべきものはあまりなかった。私も含めて、プレゼンの仕方(発表時間を守るとか)や内容についてもう少し修行すべきだと思う。応用哲学会などでもう少しおもしろい発表はあるが、英語でできる人が少ないのと、今回は人選にいろいろ問題があった。  先週金曜日の夜に東京に来て、ホテルにチェックインからキャンベルさんと蕎麦屋で食事しながら今後の相談など。人事を動かさないと。  人事と言えば、京大の医療倫理は某氏で決まったようだ。私が推薦した某さんではなくて残念だが(京大は飛躍的成長の機会を逃した)、某氏でも立派にやるだろう。  土曜日は上廣財団のビルが会場で、比較的楽しかった。私もいくつか質問した。スパロー先生に再会できたのはよかった。あとはクリスジンジェルやドミニクウィルキンソン、ジュリアンサバレスキュなど。広大の澤井さんは財団からお金をもらって広島にセンターを作るそうだ。うらやましいが、がんばってほしい(ジュリアンは努はtenaciousだと誉めていた)。私は財団に頭を下げる気がないんだよな。それなら自分でなんとかしないと。夜ほホテルのレストランで夕食。財団、手を抜いているな。そのあと、神楽坂で二次会。日本の生命倫理が終わっている話など。  日曜日は国際文化会館で。報告はキャンベルさんとウィルキンソンさん以外はぱっとせず。なんか手堅すぎるんだよな。新しい、おもしろい話はないのだろうか。昼食は丸山さんも来て豪華な食事。緊張する。私や藤田さんが一番偉い人になっているようだ。  夕方、外国人らおよび高江さんと六本木ヒルズのよいレストランへ。ちょっと高すぎだろう。そのあと、隠れ家ウィスキーバーへ。ジュリアンと少し話せたのはよかったが、今後10年の計画は相談できず。スパローさんともあまり話せなかったが残念。  今日は光文社新書の人と会う予定だが、何も準備ができていない。明日の授業の準備もしないといけないし、いろいろ大変だ。でもまあ今を楽しもう。Carpe Diemか。 .2023/10/31  姉がずっと母親のところにいるようで、母親が気の毒だ。先日は雨の中、妻と永原に行って測量的なことをしてきた。あの土地もどうにかしないとまずい。  先週末は関西倫理学会。真面目に出席して質問してきた。ELSIのシンポもそれなりにおもしろかったが、若い学生たちはELSIを知らん人が偉そうに言っていると怒っていた。某杉本氏がフィアンセを連れて結婚の報告に来ていた。めでたい。あとで学生に聞いたら百万遍のUnnaturalで知り合った人だろうとのこと。いろいろな出会いがあるな。 授業はなんとかやっている。古典はおもしろい。加藤先生の方はもうちょっと準備しないと間が持たない。  娘とはしばらくしゃべっていないが、その方が家は落ち着いているようだ。私も時間ができてよい。クリエイティブモードでがんばらないと。 .2023/11/20  娘とはまだ冷戦中。私も仲直りがへたなので、そのうちなんとかなるとよいが。でも手間がかからなくてよい。今日の「男らしさ」についての朝日新聞の記事で、自分も男らしさではないが父親らしさの規範が固定観念としてあったのではないかと少し反省した。とはいえ、アリストテレスではないが、怒るべき時は怒り、誉めるべき時には誉めなければならない。 .2023/11/30  加藤先生のインタビューの文字起こしを個人的には勉強しながらやっているが、学生には迷惑な話だろう。もう少し面白さを伝えないと行けないのだが、ライブの生音源だけ聞かせているような感じで、うまくそのすごさを伝える準備ができていない。勉強不足。加藤先生としばらく連絡が取れていないのも気になる。いきなり死んでしまうんだろうか。  他はあまり気になる話はないが、光文社新書でミルの自由論について書くことになりそうだ。  あと気になっていることはあるかな。学生が精神的に不調なものが多いといったことか。あと、博論が二件出てくるのも大変だ。ジョンセンの翻訳もやらないといけないんだよな。そう考えると、頭でペンディングになっていることはたくさんある。  先日、出口、江口、白水3人の先輩方と飲みに行ったのはおもしろかった。出口、白水は62年生まれ、江口は65年生まれだそうだ。もし私が純哲に行ってたら、出口先生が先輩になるかもしれなかったんだよな。 .2023/12/01  長崎浩も死ぬ前に会うべき気がするな。Facebookにいる広島の医師の方もそうなんだよな。 .2023/12/02  8時前に起きて10時過ぎまで朝風呂。西山さんの原稿も読んだのでコメント。安井さんと同じ、思想家の議論を紹介して短評を付すという形式が見られたので、それはやめるように伝える。読書感想文の文化だろうか?  それから坂口ふみの『ゴルギアスからキケロへ』を面白く読む。キケロ、ゴルギアス側からのプラトンやソクラテスの哲学至上主義への批判。私や学生も弁論術を身につけるべきだろう。  長野の徳永先生から電話。三上さんが二位で公募落選とのこと。残念だが、仕方がない。  島成郎の『ブント私史』も読み始める。以前私は、功利主義と直観主義の歴史はやったので、マルクス主義と進化論(倫理)についてそれぞれ功利主義との関係で思想史を書かないといけないと思っていた。つまり、19世紀後半の巨人であるミル、ダーウィン、マルクスの思想の趨勢を追うというプロジェクトだ。さきに進化論をやるはずが、マルクス主義が先になりそうだ。とはいえ、マルクス主義と功利主義の結びつきは難しそうなので、功利主義は無関係にすべきかも知れない。進化論に関してはマルクス主義と功利主義が関係しているが。  徳田球一(とっきゅう)の名前を覚える(「獄中18年」)。島が1950年に東大に入ったとたんに共産党に入党手続をしたという件は、マードックの話や、あるいはアンスコムのカトリック入信を思わせる。ほとんど宗教としての共産党。そして宗教と同様、内部は限りなく腐敗していたという。  『ブント私史』を一通り読む。なるほど、島成郎というこの人が中心人物だったんだなとわかる(最後の方の、ひろ子夫人の文章の中で加藤尚武が出てくる)。読んでいて思うのは、当時はもしかするとあと一歩のところで革命(政治危機)が起きていたかもしれないということだ。今から見ればそんなことはありえない、夢物語かもしれないが、1968年に革命が起きたときの維新の志士たちと同様の若い人々が中心になった、1960年の革命ということがありえたという感じがする。しかし、そのためには「平和主義」を植え付けられていたこの人たちでは駄目で、武器が必要だったのかも知れない。しかし、武器をつかっていたら、平和的デモに来ていた民衆は付いてこれなかっただろう。オックスフォード哲学と同様、50年代が一番おもしろかったのかもしれない。 .2023/12/03  熊野純彦先生というのは、私が加藤尚武についてしたいことをすでに廣松についてやっており、しかも日本哲学小史みたいなものも編集しているので偉い。私はオックスフォード哲学者奇行の東大版をやってみたいが、いろいろな人から叩かれるだろうな。でもやってみるかな。出隆あたりから始めて30年生まれあたりまでの、すでに死んだ世代ぐらいまでだろうな。  某科研費の申請書の評価と、ジョンセンの翻訳、信山社の新書の件がペンディングになっているので、がんばってやっつけないといけない。 それにしても、最近週末が暇な日が多いのは、講演依頼が減ったということだろうか。まあいいんだけど。勉強して力を付けるべし。  30代の主著(というのも恥ずかしいが)が『功利と直観』だとすると、40代はやはり『予防の倫理学』だっただろう。50代も一冊か二冊、しっかりしたものを書きたい。というか、時間はだんだんなくなってくるので、がんばるべし。 .2023/12/04  今日の授業は30分ほど早く終わったが、ちょっとまし。文字起こしが一通り終わって、だいたい加藤先生の輪郭がつかめてきた。次に会えたら、山形大時代以降の話を聞かないといけないが。 .2023/12/09  まだ科研費の評価が終わっていない。二日前が〆切だったのだが。  「近代の超克」。近代にずぶずぶにはまっていて、なぜ超克しないといけないのかわからんな。マルクス主義もだめだし、東洋的無も関心ないしな。  ただ、日本のロックを食べず嫌いしていたのがあまりよくなかったのとどうよう、日本の哲学を無視してきたのもよくなかったと最近は反省している。といっても、いきなり道元をやろうとは思わないが。近代、とくに戦後の哲学者の思想だよな。  昼下がり、生命倫理学会@明治学院大学で佐藤先生と田中さんとオランダ二国間セミナーの報告シンポ。私の報告も手抜きだし、佐藤先生も不正確なことを言うし(どうしても統計的な話よりも個別の人から聞いた事例を一般化しがちに話すのがよくない)、あんまり良くなかった。田中さんはきちんとしていたが、もう少しエンタメ的要素が必要だろう。弁論術か。たくさん人が来ていたので、その分申し訳ない気持ちで一杯になった。手抜き報告をすると自分が落ち込むので、ちゃんとやるべし。 .2023/12/14  コアーズを久しぶりに聞くと、青春感がすごいな。若さの特徴、あるいは年を取るとつまらなくなるのはなぜなのか、について考えさせられる。ローリングストーンズは結構がんばっているが。社会規範が内面化すると、創造力にブレーキがかかるのだろうか。あるいは、若いときに持っていた何かが尽きてしまうのか。いくつかの仮説が成り立ちそうだ。昨日、ちょうど長寿の話をしたのでそんなことが気になった。 .2023/12/15  いろいろ〆切が。昨日は系会議で再配置定員の人事の話をした。これから運営会議で承認を受けて進めていくことになる。准教授人事もがんばらないといけない。 .2023/12/18  週末は合評会とシンポでつぶれてしまったので、今日はゆっくり過ごしている。週末に京都に来ていた高山さんに「こだま先生は敵を作らないように注意している」というようなコメントを何度かいただいたが、昨日のシンポでもZoom上に私のことを快く思っていない人もいたみたいで、敵は必ずしも少なくない。まあ、大きな敵と戦えばいいわけで、不必要に敵を作るべきではないだろう。 .2023/12/19  いろいろ〆切が迫っているが(ジョンセン翻訳など)、忙しくて手が付けられていない。朝、ゆっくり寝る日が多いので仕事の進捗が遅れていると言えるが、睡眠を削るかなあ。 .2023/12/20  母親に振り込み。ShareTheMealで2万円ほど寄付。二つアカウントを作ってしまった。  午前中は研究室でゆっくり英語生命倫理の準備など。この授業は最初も留学生の発言の扱いが難しかったが、後半も微妙に難しい。  娘と妻は相次いで風邪。私の風邪が感染ったと妻は言うが、あまり接触しないようにしていたので、あるとしたら洗面所のタオルぐらいか。どちらかと言えば娘が学校からもらってきた可能性の方が高いのではないか。 .2024/01/15 ひさしぶりな理由の一つは、iPhoneにジャーナルというアプリができて、そこにいろいろ書いていたから。  年末は横浜。娘とは喧嘩したままだったが、一人で音楽を聴きながら海の側を歩いたりできたのはよかった。あんまりしないけど、散歩は重要。まあ娘との会話が減ったおかげで、妻とも喧嘩せずに話すことができ、落ち着いている。しかし、娘はまだ不満のようだ。夜の眠いときだけかもしれないが。  年末に会った講談社の武居さんという方に東大哲学物語を書くと約束してしまったが、調べが足りなすぎてまったくシラバスも書けない。村上さんあたりにインタビューさせてもらうべきだな。 .2024/02/10  妻が大学の出張でタイに一週間行っているので、妻の母が来てくれているが、妻が居ないから小人閑居して不善をなしている。またスプラの悪癖が。娘とは相変わらず冷戦状態。  立岩先生の追悼の文章を読んで、立岩先生こそ(安楽死の法制化を阻止しているという点で)私の宿敵だということがわかったが、反論を書く時間がない。Satechiの対話編というのを考えているのだが。  現在の医療倫理はチェックアウトはいつでもできるが、ここを立ち去ることはできないというホテルカリフォルニアの悪夢のような状況にあると言いたい。同調圧力が強く、ある人が安楽死をするとみんな安楽死をさせられることになるので、苦痛だろうが何だろうが私たちのために我慢して下さいと述べている。同性婚反対論、夫婦別姓反対論と同じ理屈である。障害者はみなそう思っているのだろうか。また、ALSの状態になったら安楽死したいというのはヘイトスピーチと言われる。死にたいというのは生きたいということだという反証可能な主張が言われる。本当の意味で治療拒否権もリベラリズムも擁護されていない。  こないだの京都ALS嘱託殺人事件についても何か書きたいのだが。  ヴォルテールの哲学書簡におけるパスカルのパンセ批判、とてもよい。こんな感じでノンセンスは認めないという批判を私もしないといけない。最近、批判のキバが弱まっている。再批判や炎上を恐れているからか。 .2024/02/18 昨日、一昨日のELPエグゼクティブリーダーシッププログラム。私の回は比較的無事に終了したと思ったが、先週の初回、第二回は荒れたそうだ。ニーズのマッチングというのは難しい。難しすぎることをやってもちんぷんかんぷんだし、簡単すぎることをやっても時間と金の無駄と言われる。 倫理ではなく人権人権と言っている女性の講師の方も少しファナティックで怖かったな。人権の基礎付けみたいなことを尋ねたらなんて言うんだろうか。ラトゥールでの懇親会は出られず。まあよかった。 .2024/04/10 あら、この日記で精神のメンテをする気にもなれないな。荒れてるのか。 娘とは仲直りしたい気もするが、面倒でもある。夕食時に避けられたりするのは微妙にダメージがあるが、怒っても逆効果だし、難しいところ。娘が早めに大人になってくれるとよいが。 スプラをついついやってしまうのは逃避だろうか。人生は短いんだし、集中して論文なり文章を書くべきだろう。加藤先生の伝記とか。しかし、何か頼まれないと進まない。 今週から授業。加藤先生についての講義はあまり人気がなさそうでそれもちょっとあれ。でもまあわかっていることだし仕方ない。自分が面白いと思うことをやろう。 研究助成の申請書を書かないといけないが、面倒でなかなかやる気にならない。そんなのばかりだな。逃避の力で別のことをするか。 .2024/04/17 家の近所のからふねやにて。ちょっと自分に向き合う時間。 研究申請書を書かないと行けないが、相変わらず逃避気味。 北崎拓の恋愛マンガを読み返していると、過去を思い出して人生をやり直したい気もしてくるが、とはいえどんな別の生き方がありえただろう? 20歳頃以降の価値観を前提すると、自動車を運転したり肉を食べて人に合わせるような人生は考えられないだろう。ありえたとすると、もっと相手のこと思いやったり公平さを重視したりすることだっただろうか。 恋愛関係や家族関係というのは人の道徳性が試される重要なエリアだが、私自身は(おそらくこれまでの相手が証言するだろう通り)理論と実践をちゃんと結びつけてこなかったな。公的な問題に関して倫理を言うばかりで、私的関係における倫理について真面目に考えず、また実践もしないから、娘にも嫌われるんだろう。反省しよう。 とはいえ、得意なことをやるしかない。 先日の東大でのシンポで、陰謀論を信じている報告をしている医科歯科の外科医の先生がいたので驚いたが、私もミルがキリスト教徒について言うように漠然と常識的なことを信じているだけかもしれない。異論・暴論を歓迎して自分の信念を吟味する習慣を付けること。 夜。眠い。上に書き損ねていたが、こうやって日記を書くことで自分に向き合うことは重要だ。内向的になってしまうが(また、北崎拓の恋愛マンガで感傷的になってしまっているが)、自分を見つめる作業は重要だ。これと似ている効果を持つのは、スパロー先生など外国人に近況を伝える作業だろう。Put one's live into a perspective. KODAMA Satoshi Last modified: Thu May 9 15:40:49 JST 2024