大正8年12月
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&ANAME(d19191101){十二月朔。};[[南部秀太郎]][[三田文学]]用件にて来談。 &ANAME(d19191102){十二月二日。};[[新冨座]]を見る。盖[[玄文社]]合評会のためなり。 &ANAME(d19191103){十二月三日。};[[母上]]を案内して[[帝国劇塲]]を看る。 &ANAME(d19191104){十二月四日。};午後[[玄文社]]合評会。つゞいて[[綺堂]][[松葉]]両子帰朝祝賀の宴。共に日本橋若松家に開かる。半月空に泛び淡烟蒼茫として街を罩めたるさま春夜の如し。 &ANAME(d19191105){十二月五日。};[[松莚]]子の家に招がれ、[[大彦翁]][[莚升]]等と午餐を倶にす。南向の小庭に[[雁来紅]]の一二本霜にたゞれて立ちすくみたるさま風趣あり。冬枯の秋草を愛する[[松莚]]子の風流欣慕すべし。 &ANAME(d19191106){十二月六日。};寒雨霏々。風月堂に徃き夕餉をなす。[[老婆おしん]]世を去つてより余が家遂に良婢を得ず。毎宵[[風月堂]]にて晩飯をなすやうになりぬ。葡萄酒の盃片手にしつゝ携帯の書冊を卓上に開き見るや、曾て外遊の時朝夕三度の食を街頭のカツフヱーにてとゞのへたりし頃のこと思返されて、寂しさに堪えざることあり。昨日購ひたる [[LAURENT VINEUL]] といふ作家の「|身のあやまち《エラール》」を読む。独身の哲学者を主人公となしたるものにて、篇中の事件徃々身にしみ/″\と感ぜらるゝ所あり。学者病中下女の不人情なるを憤るあたりの叙事、最も切実の感あり。今日余の憂を慰るもの女にあらず、三味線にあらず、唯仏蘭西の文藝あるのみ。 &ANAME(d19191107){十二月七日。};全集第三巻校正終了。 &ANAME(d19191108){十二月八日。};晴れて風暖なり。[[風月堂]]にていつもの如く晩餐をなし酔歩蹣跚出雲橋を渡る。明日天に在り。両岸の楼台影を倒にして水上に浮ぶ。[[精養軒]]食料品売場にて明朝の食麺麭を購ふに、焼き立とおぼしく、携ふる手を暖むる事懐炉の如し。采女橋を渡り水に沿うて歩めば月中溝渠の景いよ/\好し。波除神社の角より本願寺裏の川づたひに路地の家に帰る。明月屋根の間より斜に窗を照したり。留守中箱崎町の大工[[銀次郎]]麻布普請の絵図面を持参す。 &ANAME(d19191109){十二月九日。};晴れて寒し。 &ANAME(d19191110){十二月十日。};晡下[[唖々]]子来訪。尾張町[[清新軒]]に飲む。此夜[[唖々]]子珍しく泥酔せず、[[新井白石]]の事蹟を脚本に仕組むべしといふ。 &ANAME(d19191111){十二月十一日。};生田葵山高輪の楽天居にて新婚の披露をなす。帰途[[野圃]]沖舟木舟[[唖々]]等と金杉橋頭の一酒舗に飲む。電車なくなりし故余は人力車を倩ふ。諸子は何処に行きしや。そは明朝に至るを俟つて品川湾頭に飛ぶ[[白鴎]]に問ふ可し &ANAME(d19191112){十二月十二日。};[[国民劇場]]なるもの余が旧作煙三幕を上場する由。この夜有楽座に徃き其の稽古を見る。偶然[[綺堂]][[米斎]]の両君に逢ふ。 &ANAME(d19191113){十二月十三日。};朝来微雪雨を交ゆ。夜[[国民劇塲]]を観る。 &ANAME(d19191114){十二月十四日。};微恙あり。 &ANAME(d19191115){十二月十五日。};微恙あり。午後[[永井喜平]]麻布借地の事につき来談。 &ANAME(d19191116){十二月十六日。};風邪未癒えず。寒気日に日に加はる。 &ANAME(d19191117){十二月十七日。};市川猿之助来る。[[春陽堂]]の林氏全集第三巻出版届を持来りて署名捺印を請ふ。 &ANAME(d19191118){十二月十八日。};女優[[花田偉子]]来り余が旧作上演の謝礼三拾円三越切手を贈らる。 &ANAME(d19191119){十二月十九日。};晴れて寒し。薄暮所用の途次車にて土手三番町を過ぐ。市ヶ谷の高台を望み見たる夕陽の景甚佳なり。 &ANAME(d19191120){十二月二十日。};風月堂にて偶然[[菊五郎]]夫妻に逢ふ。菊五郎余に逢ふ毎に新作の脚本を求む。厚意は謝する所なれど、今日の劇塲は既に藝術を云々する処にあらず。余脚本の腹案なきにあらねど筆持つ心なし。 &ANAME(d19191123){十二月廿三日。};[[鳩居堂]]店頭にて図らず[[森先生]]に謁す。背広の洋服に古きマントオをまとひ、口髭半白くなられたり。 &ANAME(d19191124){十二月廿四日。};[[唖々]]子来る。半日[[清新軒]]の炉辺に飲む。夜半雨。 &ANAME(d19191125){十二月廿五日。};晴れて暖なり。 &ANAME(d19191126){十二月廿六日。};[[松莚]]子細君同伴にて来り訪はる。来春明治座にて[[岡君]]新作の小猿七之助を演ずるにつき、其の着附仕草などの参考にせんとて、余が所蔵の人情本春画の類を見に来られしなり。此夜前日に比して又更に暖なり。 &ANAME(d19191127){十二月廿七日。};午下[[中洲病院]]を訪ふ。菖蒲河岸より大川の面を望むに、暖なる冬日照りわたり、徃来の荷舩には舵のあたりに松飾り立てしものもあり。岸につなぎし舩には舩頭の子供凧をあげて遊べるさま、[[北斎]]が[[両岸一覧の図]]を見るが如し。夕刻[[春陽堂]]店員全集第三巻製本持参。 &ANAME(d19191129){十二月廿九日。};風暖なり。吾妻橋を渡り、石原番場の河岸を歩む。 &ANAME(d19191130){十二月三十日。};快晴。温暖春の如し。 &ANAME(d19191131){十二月卅一日。};晴天。午後市中大晦日の景况を見むとて漫歩神田仏蘭西書院に赴き、[[フロオベル]]全集中尺牘漫筆の類数巻を購ふ。[[風月堂]]にて晩餐をなし銀座通の雑沓を過ぎて家に帰る。枕上[[コレツト・ウヰリイ]]の小説レトレート、サンチマンタルを繙読して覚えず暁に至る。突然格子戸を引明けむとするものあり。起出でゝ見るに郵便脚夫の年賀状一束を投入れて去れるなり。表通には下駄の音猶歇まず。酔漢の歌ひつゝ行く声も聞ゆ。 [#地から2字上げ][#印影(FIG54370_01.PNG、横41×縦57)入る] [[*>青空文庫から]] RIGHT:→[[大正9年1月]]
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&ANAME(d19191101){十二月朔。};[[南部秀太郎]][[三田文学]]用件にて来談。 &ANAME(d19191102){十二月二日。};[[新冨座]]を見る。盖[[玄文社]]合評会のためなり。 &ANAME(d19191103){十二月三日。};[[母上]]を案内して[[帝国劇塲]]を看る。 &ANAME(d19191104){十二月四日。};午後[[玄文社]]合評会。つゞいて[[綺堂]][[松葉]]両子帰朝祝賀の宴。共に日本橋若松家に開かる。半月空に泛び淡烟蒼茫として街を罩めたるさま春夜の如し。 &ANAME(d19191105){十二月五日。};[[松莚]]子の家に招がれ、[[大彦翁]][[莚升]]等と午餐を倶にす。南向の小庭に[[雁来紅]]の一二本霜にたゞれて立ちすくみたるさま風趣あり。冬枯の秋草を愛する[[松莚]]子の風流欣慕すべし。 &ANAME(d19191106){十二月六日。};寒雨霏々。風月堂に徃き夕餉をなす。[[老婆おしん]]世を去つてより余が家遂に良婢を得ず。毎宵[[風月堂]]にて晩飯をなすやうになりぬ。葡萄酒の盃片手にしつゝ携帯の書冊を卓上に開き見るや、曾て外遊の時朝夕三度の食を街頭のカツフヱーにてとゞのへたりし頃のこと思返されて、寂しさに堪えざることあり。昨日購ひたる [[LAURENT VINEUL]] といふ作家の「|身のあやまち《エラール》」を読む。独身の哲学者を主人公となしたるものにて、篇中の事件徃々身にしみ/″\と感ぜらるゝ所あり。学者病中下女の不人情なるを憤るあたりの叙事、最も切実の感あり。今日余の憂を慰るもの女にあらず、三味線にあらず、唯仏蘭西の文藝あるのみ。 &ANAME(d19191107){十二月七日。};全集第三巻校正終了。 &ANAME(d19191108){十二月八日。};晴れて風暖なり。[[風月堂]]にていつもの如く晩餐をなし酔歩蹣跚出雲橋を渡る。明日天に在り。両岸の楼台影を倒にして水上に浮ぶ。[[精養軒]]食料品売場にて明朝の食麺麭を購ふに、焼き立とおぼしく、携ふる手を暖むる事懐炉の如し。采女橋を渡り水に沿うて歩めば月中溝渠の景いよ/\好し。波除神社の角より本願寺裏の川づたひに路地の家に帰る。明月屋根の間より斜に窗を照したり。留守中箱崎町の大工[[銀次郎]]麻布普請の絵図面を持参す。 &ANAME(d19191109){十二月九日。};晴れて寒し。 &ANAME(d19191110){十二月十日。};晡下[[唖々]]子来訪。尾張町[[清新軒]]に飲む。此夜[[唖々]]子珍しく泥酔せず、[[新井白石]]の事蹟を脚本に仕組むべしといふ。 &ANAME(d19191111){十二月十一日。};生田葵山高輪の楽天居にて新婚の披露をなす。帰途[[野圃]]沖舟木舟[[唖々]]等と金杉橋頭の一酒舗に飲む。電車なくなりし故余は人力車を倩ふ。諸子は何処に行きしや。そは明朝に至るを俟つて品川湾頭に飛ぶ[[白鴎]]に問ふ可し &ANAME(d19191112){十二月十二日。};[[国民劇場]]なるもの余が旧作煙三幕を上場する由。この夜有楽座に徃き其の稽古を見る。偶然[[綺堂]][[米斎]]の両君に逢ふ。 &ANAME(d19191113){十二月十三日。};朝来微雪雨を交ゆ。夜[[国民劇塲]]を観る。 &ANAME(d19191114){十二月十四日。};微恙あり。 &ANAME(d19191115){十二月十五日。};微恙あり。午後[[永井喜平]]麻布借地の事につき来談。 &ANAME(d19191116){十二月十六日。};風邪未癒えず。寒気日に日に加はる。 &ANAME(d19191117){十二月十七日。};市川猿之助来る。[[春陽堂]]の林氏全集第三巻出版届を持来りて署名捺印を請ふ。 &ANAME(d19191118){十二月十八日。};女優[[花田偉子]]来り余が旧作上演の謝礼三拾円三越切手を贈らる。 &ANAME(d19191119){十二月十九日。};晴れて寒し。薄暮所用の途次車にて土手三番町を過ぐ。市ヶ谷の高台を望み見たる夕陽の景甚佳なり。 &ANAME(d19191120){十二月二十日。};風月堂にて偶然[[菊五郎]]夫妻に逢ふ。菊五郎余に逢ふ毎に新作の脚本を求む。厚意は謝する所なれど、今日の劇塲は既に藝術を云々する処にあらず。余脚本の腹案なきにあらねど筆持つ心なし。 &ANAME(d19191123){十二月廿三日。};[[鳩居堂]]店頭にて図らず[[森先生]]に謁す。背広の洋服に古きマントオをまとひ、口髭半白くなられたり。 &ANAME(d19191124){十二月廿四日。};[[唖々]]子来る。半日[[清新軒]]の炉辺に飲む。夜半雨。 &ANAME(d19191125){十二月廿五日。};晴れて暖なり。 &ANAME(d19191126){十二月廿六日。};[[松莚]]子細君同伴にて来り訪はる。来春明治座にて[[岡君]]新作の小猿七之助を演ずるにつき、其の着附仕草などの参考にせんとて、余が所蔵の人情本春画の類を見に来られしなり。此夜前日に比して又更に暖なり。 &ANAME(d19191127){十二月廿七日。};午下[[中洲病院]]を訪ふ。菖蒲河岸より大川の面を望むに、暖なる冬日照りわたり、徃来の荷舩には舵のあたりに松飾り立てしものもあり。岸につなぎし舩には舩頭の子供凧をあげて遊べるさま、[[北斎]]が[[両岸一覧の図]]を見るが如し。夕刻[[春陽堂]]店員全集第三巻製本持参。 &ANAME(d19191129){十二月廿九日。};風暖なり。吾妻橋を渡り、石原番場の河岸を歩む。 &ANAME(d19191130){十二月三十日。};快晴。温暖春の如し。 &ANAME(d19191131){十二月卅一日。};晴天。午後市中大晦日の景况を見むとて漫歩神田仏蘭西書院に赴き、[[フロオベル]]全集中尺牘漫筆の類数巻を購ふ。[[風月堂]]にて晩餐をなし銀座通の雑沓を過ぎて家に帰る。枕上[[コレツト・ウヰリイ]]の小説レトレート、サンチマンタルを繙読して覚えず暁に至る。突然格子戸を引明けむとするものあり。起出でゝ見るに郵便脚夫の年賀状一束を投入れて去れるなり。表通には下駄の音猶歇まず。酔漢の歌ひつゝ行く声も聞ゆ。 [#地から2字上げ][#印影(FIG54370_01.PNG、横41×縦57)入る] [[*>青空文庫から]] RIGHT:→[[大正9年1月]]
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