&aname(d19210201){二月朔。};今年は大寒に入りてより益暖なり。鄰家の[[冬至梅]]既に満開なり。

&aname(d19210202){二月二日。};温暖頭痛を覚るばかりなり。全集第五巻校正甚多忙。夜に至りて俄に寒し。

&aname(d19210203){二月三日。};雪ふる。

&aname(d19210204){二月四日。};立春。

&aname(d19210205){二月五日。};雪後天気あたゝかなり。

&aname(d19210206){二月六日。};フランスの小説イストワル・コミツクを読む。

&aname(d19210207){二月七日。};[[偏奇館漫録]]を[[春陽堂]]に郵送す。

&aname(d19210208){二月八日。};春寒甚し。

&aname(d19210209){二月九日。};微恙あり。

&aname(d19210210){二月十日。};風邪。門を掩て出でず。

&aname(d19210211){二月十一日。};風邪痊えず。細雨残雪に滴る。庭上の光景甚荒涼。

&aname(d19210212){二月十二日。};雨歇まず。

&aname(d19210213){二月十三日。};晴。

&aname(d19210214){二月十四日。};[[松竹社]][[七草会]]例会。正午地震。

&aname(d19210215){二月十五日。};風労猶痊えず。

&aname(d19210216){二月十六日。};雪まじりの雨なり。

&aname(d19210217){二月十七日。};木曜会。

&aname(d19210218){二月十八日。};午後[[三才社]]に徃かむとせしが風塵甚しければ虎の門より帰る。

&aname(d19210219){二月十九日。};晴れて暖なり。我善坊谷上、宮内省御用邸裏の石垣、東向きにて日あたり好く石垣の間より[[菫]][[蒲英公]][#「蒲英公」はママ]の花さき出でたり。仙石山を過ぎ電車に乗りて神田小川町[[仏蘭西書院]]に赴く。

&aname(d19210220){二月二十日。};晴天。去年栽えたる球根悉く芽を発す。

&aname(d19210221){二月廿一日。};[[唖々]]子と銀座[[清新軒]]に飲む。春寒料峭。

&aname(d19210222){二月廿二日。};早朝雪降りしが須臾にして歇む。日永くなりて薄暮の庭に雀多く来る。

&aname(d19210223){二月廿三日。};晴天。午後[[中洲病院]]に赴き、健康診断を乞ふ。白木屋にて毛布二枚を購ふ。夜具追々破れ来りしかど、此頃の女中には針持ち得ぬもの多くなりたれば、寝具も追々西洋風にかへるつもりなり。

&aname(d19210224){二月二十四日。};木曜日。夕刻より雨雪となる。

&aname(d19210225){二月二十五日。};[[松莚]]子に招がれて八新に飲む。

&aname(d19210226){二月二十六日。};[[明治座]]稽古。夜[[杵屋勝四郎]]来る。拙作夜網誰白魚上場につき、之に使ふべき独吟鳴物の相談に来りしなり。春風日に従つてあたゝかなり。
&aname(d19210226){二月二十六日。};[[明治座]]稽古。夜[[杵屋勝四郎]]来る。拙作[[夜網誰白魚]]上場につき、之に使ふべき独吟鳴物の相談に来りしなり。春風日に従つてあたゝかなり。

&aname(d19210227){二月二十七日。};早朝より門前に児童の打騒く声きこゆ。即日曜日なるを知る。

&aname(d19210228){二月二十八日。};風暖なり。銀座に徃き[[鳩居堂]]にて細筆五十本ほど購ふ。[[堀口大学]][[レニヱー]]の著ヱスキツス[#「ヱスキツス」はママ]・ヱニシヱンを郵送し来る。開封して直に読む。

RIGHT:→[[大正10年3月]]

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