&aname(d19411006){十月初六。};陰。残暑再来る。晩間土州橋に至る。

>  慰問袋のはなし
>  [[慰問袋]]のはなし

>一老人のはなしに日露戦争のころまでは今日の如く戦地の軍隊へ各戸より慰問袋を送るが如き事なかりき。慰問袋といふ名称もなかりしなり。然るに今回の戦争も去年あたりより慰問袋の献上全く強請的となり、袋の中には物品のみならず各戸各人一通づゝ慰問状を差入れねばならぬ事とはなれり。女学校にては若き女生徒に慰問状をかゝせ住所姓名をも記入せしむる由。これにつき良家の父兄は娘の将来につき憂慮するもの尠からずと云ふ。未婚妙齢の女子その親の知らぬ間に出征の兵士と手紙の徃復写真の交換をなすものあり、又甚しきは戦地より帰還し除隊となりし兵士の中には慰問状の住処姓名をたより良家の女子を訪問し、銀座通りにて会合するものさへあるに至りたればなり。又待合の女中銘酒屋の女カフヱーの女給等は帰還後の兵士を客にせむとて、それとなく慰問状を利用して誘惑する者もありと云ふ。▼これは商売にかけて抜け目なきものと謂ふべし。[[*>摘々録断腸亭日乗から]]



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