&aname(d19220809){八月九日。};曇りて風涼し。森夫子の逝かれし日なれば香華を手向けむと向島弘福寺に赴く。門内の花屋にて墳墓を問ふに、墓標は遺骨と共に本堂に安置せられしまゝにて未墓地には移されずといふ。寺僧に請ひ位牌を拝して帰らむとせしが、思直して香華を森先生が先人の墓に供へてせめての心やりとなしぬ。墓地は一坪あまりにて生垣をめぐらし石三基あり。右は森静男之墓。即先生の厳君(=父)なり。中央の石は小さく文字明かならず。左の石は稍新しく森篤次郎墓と刻し、両側に不律兌の三字を刻み添へたり。書体にて察するに先生の筆跡なり。
&aname(d19220809){八月九日。};曇りて風涼し。[[森夫子]]の逝かれし日なれば香華を手向けむと向島弘福寺に赴く。門内の花屋にて墳墓を問ふに、墓標は遺骨と共に本堂に安置せられしまゝにて未墓地には移されずといふ。寺僧に請ひ位牌を拝して帰らむとせしが、思直して香華を森先生が先人の墓に供へてせめての心やりとなしぬ。墓地は一坪あまりにて生垣をめぐらし石三基あり。右は[[森静男]]之墓。即先生の[[厳君]]なり。中央の石は小さく文字明かならず。左の石は稍新しく[[森篤次郎]]墓と刻し、両側に[[不律]][[兌]]の三字を刻み添へたり。書体にて察するに先生の筆跡なり。[[*>摘々録断腸亭日乗から]]

&aname(d19220830){八月三十日。};晴。夜[[清元秀梅]]と牛込の田原屋に飲む。[[秀梅]]酔態妖艶さながら春本中の女師匠なり。毘沙門祠後の待合岡目に往きて復び飲む。秀梅[[欷歔]]啼泣する事頻なり。其声半庭の虫語に和す。是亦春本中の光景ならずや。[[*>摘々録断腸亭日乗から]]


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