八月初一 旧六月十八日 時々驟雨。夜新小岩散歩月よし。 八月初二。晴。小川氏来話。夜浅草。帰途驟雨。 八月初三。雨午前木戸氏上林氏来話。夕刻浅草。小川佐藤桜鈴木田毎らとボンソワルに飲む。帰途また驟雨。 八月十日。雨。後に晴。東京地方裁判所より召喚状来る。左の如し。 鑑定人召喚状 被告人 星啓二 右の物に対スル猥褻文書販売被告事件ニツイテ鑑定人トシテ尋問スルカラ昭和二十五年八月十二日午前十時等裁判所第十号法廷に出頭サレタイ。 正当ナ理由ナクシテ出頭シナイ時ハ金五千円以下ノ過料マタハ金五千円以下ノ罰金若クハ拘留ニ処セラルル事ガアル。 東京地方裁判所刑事第十六部 裁判官黒羽善四郎 八月十一日。晴。午後驟雨雷鳴。夜浅草。 八月十二日。晴。午前日比谷の裁判所に至る。雑誌『スリル』第一号発行者星啓二判決の件なり。同人出頭せず。待つこと一時間ばかり。係の物来十七日再び開廷すべしといふ。法廷を出るに驟雨沛然たり。銀座にて昼飯を食し浅草に往く。この日残暑甚し。 |