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五月十七日。 細雨烟の如し。菊池寛の設立せし▼文学報国会なるもの一言の挨拶もなく余の名を其会員名簿に載す。同会々長は余の嫌悪する徳富蘇峯なり。余は無断にて人の名義を濫用する報国会の不徳を責めてやらむかとも思ひしが是却て豎子(じゆし=小人)をして名をなさしむるものなるべしと思返して捨置くことゝす。晩間雨霽れたれば食料品を購はむとて浅草に行き帰途芝口の金兵衛に憩ふ。▲おかみさん配給の玄米を一升壜に入れて竹の棒にて搗きゐたり。一時間あまりかくする時は精白米になると云へり。*