四月朔。唖々子及び新福亭主人と胥議して雑誌花月の発行を企つ。 四月三日。腕くらべ五百部ほど売れたりとて新橋堂より金四百円送り来る。 四月十日。雨烈しく風寒し。築地けいこの帰途新福に立寄り、主人と雑誌花月の用談をなす。 四月十二日。八重次と新福亭に会す。夜木挽町田川に徃き浦里を語る。三味線は延園なり。 四月十三日。微雨薄寒。唖々子新福主人来りて花月第一号の編輯を畢る。 四月十四日。風気順ならず。 四月十五日。暴に暖なり。袷に着かへたき程なり。 四月十六日。支那産藍菊の根分をなす。白粉花鳳仙コスモスの種を蒔く。午後富士見町の妓家に徃く。靖国神社の桜花半落ちたり。 四月二十日。服部歌舟に招がれ采女町三笑庵に徃く。円右、小さん、喜久太夫?、山彦?師匠、各得意の技をなす。 四月廿三日。常磐木倶楽部にて梅吉弟子梅初名弘の会あり。余野間翁と共に招がれ、梅之助の三味線、梅次上調子にて浦里を語る。翁は得意の青海波を語る。 四月廿六日。午後より雨ふる。清元会なり。 四月晦日。黄昏地震。雨忽降来る。風暖にして心地わろし。 |