月別アーカイブ: 2012年12月

ジャズ入門(19) モードジャズとかってのはあれだ

マイルスのSo What以降、ジャズはモードジャズになった、みたいなのは何重にも間違ってます。

第一に、それ以前のやりかたが廃れたわけじゃない。ハードバップや、ハードバップの一種としてのファンキーはずっと続いてた。っていうか、あるミュージシャンが自分のスタイルを変更することって滅多にないんよね。たしかにマイルスやコルトレーンみたいな人はカメレオンのようにスタイルを変えていったけど、そういうのはほんの一握りで、たいていのミュージシャンは同じことをやっている。複数のスタイルを使いわける人びともいるし、一つのスタイルを続ける人も多い。だから60年代にもスイングやってる人も中間派やってる人もバップやってる人もフリーやってる人もいたわけで。

っていうかマイルス自身すぐに前のスタイルにもどってるわけだし。3拍子ジャズ。名演。マイルスのソロのあとのハンク・モブレー好きですね。で、いったん終りそうなあとでこコルトレーンがこんな曲で暴れてるのおかしい。

第二に、So Whatみたいな「一発(あるいは二発)」って曲はかなり特殊。たしかにコルトレーンのImpressionsとか他にもいくか似たような曲はけっこう作られたけど、まあ特殊な曲だっていうのはみんな理解してたはず。

第三に、よく言われる「モード奏法」とかってのがあるわけではない。So Whatって曲は、一番もとのかたちではコード2個(Dm7とEbm7)の上でDドリアンとEbドリアンの2個でアドリブ取りましょう、っていうコンセプトの曲だったけど、そんなコンセプトが守られていたのはほんの一瞬。というか、あのマイルスの演奏でも杓子定規にそれやってたのはマイルス本人だけで、コルトレーンやキャノンボールは半音階使ったりいろいろやってる。

まあモーダルな曲、つまりなるべくコードの数を減らした曲の上でどうやってアドリブをとるかっていうのにはミュージシャンたちはかなり苦労したみたい。だってDm7の上でDドリアン(レミファソオラシドレ)の7つの音しか使っちゃいけません、なんていわれたらすぐにアイディアが尽きて、プレイヤーもリスナーも飽きちゃう。どうやって飽きさせないようにおもしろいアドリブをとるか、ってのを皆いろいろ試行錯誤したよね。詳しい話はまたするけど、まあマイルス本人も1964年ごろにはこういう演奏をしているわけだ。みんなもうDドリアンとか意識してない。

このころのマイルス先生はすごいっす。なんかいきなり楽器うまくなって高速高音でパラパラやってる。新しいドラマーのトニー・ウィリアムズ先生(当時18才ぐらい)に「練習しろ!」って怒られたんだとか。おかしい。あとこのジョージ・コールマンというテナーの人は私好きなんですけどね。マイルスは気にいってたけど、バックのハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズの3人になんかいじめられて追い出されたんだそうだ。
「モードジャズ」がなんであるかってのは続きます。

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ジャズ入門(18) ドルフィーが好きなのです

前のエントリでドルフィーの名前出しちゃったので1曲紹介。

もう好きすぎます。アルトを吹くとパーカーを抽象的にしたような感じ。音楽的には4度とか6度、9度と音程の幅が広い動きをするのでなんやらわからん。バスクラってジャズでは珍しいも吹いて、それだとなんか粘っこい感じ。フルートを吹くとこんな感じの爽やかというかリリカルというかんともいえん。

バックのジャキ・バイヤードのピアノもいいんですよね。

前に紹介したブッカーリトルとやってる LIke Someone in Loveもいいの。

こういう彼のフルート演奏の裏にあるのは、クラシック作曲家のドビュッシーのシリンクスとか、ヴァレーズの密度21.4って曲なんちゃうかな。

パユのこの演奏いいね。

こっちは誰の演奏かわからんけど楽譜ついているのいいなあ。
この時期の黒人ジャズミュージシャンはほんとにインテリで、けっこう現代音楽とか聞いてんのよね。そのうちセシル・テイラーとかも紹介したい。
あとドルフィーのフルートの最高はLast Dateってのに入ってる You don’t know what love isってやつです。youtubeにある動画は途中で切れてるのしかなかった気がするので、CD買ってください。すごいよ。

名盤。必ず買いましょう。

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泣けるよ。失恋したときどうぞ。

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Like Someone in Loveはこれに入ってる。明かるいリラックスした雰囲気。ピアノのマルウォルドロンもよい。

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ジャズ飲み屋と私

まあ大学院以降飲むとなると一人のことが多いわけですが、そういうときはやっぱり音楽とか欲しいもので、飲む場所はなんかそういう音楽かかってるところとかが多い。

そういう場所でちょっと軽く音楽の話とかできるとうれしいもんですよね。音楽好きは音楽の話をしたいもんです。身の上話とかしんどいからしたくないし。お天気の話してもしょうがないし。

音楽なんか家で聞いてても同じだろう、という話もあるわけですが、まあ自分の知らないよい音楽を知るのは人生最大のよろこびの一つだし。

ジャズはそういう店がけっこうあるのでまあ楽しい。R&Bのところはなんか音楽について話したりする感じじゃないですよね。あったら行くんだけどな。ファンクに詳しいマスターがいるような。(あ、祇園の某店は知ってる。)

クラシック飲み屋とかもどうっすかね。1曲長いから帰りにくかったり深刻だったりしてあれか。


ジャズ入門(17) アレンジの妙

ファンキージャズもそうなんだけど、1960年前後はアドリブ一発ってのを離れて、曲やアレンジしっかりして全体として演奏を作ろうっていう方向性が強い。まあこれはマイルスがハードバップはじめたときからの方向性でもあるけど、マイルスはきっちりアレンジするというよりはメンバーの色彩をうまく合わせておく、みたいな感じだった。

アートブレイキーのところのベニーゴルソン先生とかアレンジうまい人が出てきて盛んになる。ホーン2本、3本とピアノとかうまく合わせて黒人らしい複雑なハーモニーと色彩とか出されるとぐっときますね。

曲もスタンダードナンバーを使ってアドリブを聞かせるってのから、自分たちで楽曲つくってそれのおもしろさを追求するっていう方向に進む。

私の好きなオリバーネルソン先生の曲を1曲。こう、テーマ部分のハーモニーとかいいんですわ。フレディーハバード先生のトランペットソロいいよねえ。フルート吹いているのはエリック・ドルフィー先生。この人もすばらしい人で手癖多いけどクラシックのフルートの研究とてもよくしている。

この60年代前後に名盤が集中しているのは録音技術の向上もあるよね。この時期にベースとかきっちり録音できるようになって、音楽的快楽に加えて、オーディオ的快楽もある。
ブレイキーバンドはリーダーはブレイキーだけど、音楽監督が別にいる。ゴルソンのときもショーターのときもよい。

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ジャズ入門(16) オーネットコールマンのフリージャズ

マイルスと同じように、うまく吹けないけど一発当てたい男がいました。あんまり頭もよくないし教養もない。音楽理論とかちゃんと理解できない。そもそもチューニングもできない。さてどうするか。

答:あまり考えずに自由にやる。ただし白人インテリのバッアップを受ける。

これはかっこいい、というかもうすばらしい音楽になっております。なんというかほかのジャズには感じない抽象的な「美」を感じる。これは爆弾だ!

まあ実はやってることは「フリー」でもなんでもなくて、マイルスがKind of Blueとかそれ以降でやろうとしたこととそれほど違っているわけではない。ある持続的なバックの上で、あるスケールにそって適当に吹く。実はぜんぜんフリーじゃないんだけど、本人は「フリーだ、なにも約束事はない」みたいに言い張った。

まあ実際にはベースが音楽的な基盤を提供しちゃうので、その上でなにかしようとするとあるスケールを想定することになる。ピアノがいないからまあ西洋音楽の伝統の「コード進行」ってのからは解放されてる。その意味でフリーなんだけどね。マイルスの「モード」とかってのもやっぱりハーモニー(とそれに対応するスケール)からは解放されなかったんだけど、ピアノを抜いて同じようなことをすることで自由になった。マイルスは曲の構造みたいなもの(AABA形式)は放棄しなかったけど、オーネットはそれも放棄して頭とお尻のテーマだけにした。まあそういうのがオーネットのフリージャズ。

でもこの曲なんかは独特の味の印象的なメロディーでただものではないのが一発でわかりますよね。天性のメロディーメーカーなのよ。

まあ実はオーネット先生は完全になんでもありじゃなくて、ある一定したリズムやベースのパターンの上である規則にしたがって自由に吹きたいと思ってるひとで、彼以降の本気でめちゃくちゃするフリージャズの人々(ファラオ・サンダースやアルバート・アイラー)とは根本的に違う。これは80年代から90年代に至るまで変わらない。

このアルバムの他の曲もそれぞれ奇妙な味があって、ぜひ購入をおすすめするですね。天才。

The Shape of Jazz to Come
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ジャズ入門(15) モテ系白人ジャズ

モテそうだ。モテることを考えている。憎い憎い。
おそらく商業的には黒人アーティストよりこっちの方が成功してたのではないか。
アートペッパーがマイルスバンドと。いじめられそうですがそこそこ戦ってます。
まあ顔もよかったらしく、歌もうまいし。
いまとなってはいまひとつわからないけどすごく人気があったみたい。石原裕次郎?
ブルーベック先生はまあかなり偉大。
マリガンは嫌いだとは言いにくい。実は好き。

リーコニッツ先生は別格。この人は偉いしモテようとはしてない。

Night Lights
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ジャズ入門(14) ファンキージャズ

ちょっと時間が前後して60年代前半までいっちゃうけど。

まああんまりアートだの芸術だのしてないで、楽しければいいのではないか。音楽というのは音を楽しむと書くのです!みたいな人もいるわけだわね。

まあポピュラー音楽といういうのはダンスみたいなのと切り離しちゃうと死んじゃうわけでね。死なないまでも弱ってしまう。もっと踊れるようにしましょう。

ファンキーってのはまあ黒人臭いというか、そういうんだと思う。ブルーノートのあからさまな使用とか独特のハネた感じとか。ビバップの人たちはぜんぜんファンキーじゃなかったし、マイルスとかもファンキーじゃない。コルトレーンもファンキーじゃない。もちろんビルエヴァンスもファンキーじゃない。エリントンもベイシーもファンキーじゃない。でもハードバップの人々のけっこうな部分がファンキーだった。

まあゴスペルとかブルースとか、黒人ポピュラー音楽の伝統にもどろう、みたいな。すごいテクニックとか繊細で高度な音感みたいなんいらんから楽しくやりましょう。

モードだのフリーだのっていうのは一部の先進的な人々のもので、こういうのが主流。

おそらく50年代から60年代、アートペッパーとかスタンゲッツとかシェリー・マンとかチェット・ベイカーとかデイブブルーベックとか、白人ジャズミュージシャンも増えてけっこうな人気があった。イケメンだったりして女にはモテた。こっちに来る女は商売人ばっかりだけどあっちは素人女だ。ていうか実力的には黒人ミュージシャンの方が上だけど、人気は白人の方が高くなる。それに対する敵対的な行動でもあったんちゃうかな。おれたちはクサく行くぜ。これはマネできねーだろう。


安物ギターとODの私

30手前になった1994年、オーバードクター人生はどんぞこでもうどうしようもなくてギターを買う。ははは。ストラトとアンプのセットで4万円。払えず2回ばらい。ジャズギター練習するつもりだっんだよな。教則本もいちおう買ってみるけどなかなかむずかしい。コードおさえらんないし、どう練習したらいいのかもわからんし。

まあでも荒んだ心のなぐさめになりました。


ピアノと院生の私

4回生ぐらいから大学の夜中に侵入すると某部室のピアノを弾けることを教えてもらってまあ時々あれしたり。ひたすらインヴェンション。あとシャコンヌをブラームスが左手に編曲したやつとか。亜麻色の髪の乙女とか。

まあその部室では数人の奇妙な人々に出会ったり。すれちがいではあるけどまああれだ。

M2のときに研究室の同級生が大学やめて帰ることになり、エレピをもらう。うれしいなあ。やはりインヴェンションを弾く。ははは。

イギリス組曲2番とかにもチャレンジ。3声の曲を弾くのははじめてですよ。

とかまあ。


ジャズ入門(13) エヴァンス先生によるドラムとベースの解放

ビルエヴァンス先生はモードジャズとかってのの他にもう一つ大きな働きをしていて、ドラムとベースを同じこと繰り返すことから解放したんですわ。

いまままで聞いてきた曲はぜんぶドラムはチーキキチーチキ、ベースはぶんぶんウォークしているわけですが、人数少ないのにそんなことしてたら飽きちゃう。

ビルエヴァンス先生はもっとドラムもベースももっと好きにやっていいよ、と。まあベースだけならチャールズミンガス先生という偉大な方がそういうことやってらっしゃったんですが、それをピアノトリオでやる。さらにドラムもやりたくないならビート刻まなくていいです。ピシ!スパ!とか好きなときに入れてください。

スコットラフォロというベースの高慢な腕利きとポールモチアン先生と3人で白人インテリ高慢ピアノトリオを結成して、決定的な1曲を出す。

聞きどころは、「枯葉」のテーマやったあとにリズムキープする人が誰もいなくなって、ドバババ/ボンビョロ/キョロロ とかしばらくやってから緊張もりあがったところで、エヴァンス先生のアドリブに突入するところですな。まあそれ以前からラファロ先生は勝手なことをやっておるわけですが。もうウォーキングするだけがベースではない。もうここは音でかくしてドラムの人のスティックの音とかまで聞きたい。すごい緊張感。

まあこういう「インタープレイ」みたいなのは、前に書いたようにそれ以前から細かくピアノとソロ楽器の間とかでおこなわれてわけですが、それを公にやる感じ。

ちなみにラファロ先生はウォーキングベースやらせてもすごいスイング感でとんでもないです。ちょっと早めっていうか前ノリでバンドを猛烈にドライブする。

このブッカー・リトル先生のでラファロ先生の推進力を味わってください。

Portrait in Jazz
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ブッカー・リトル
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