十月九日。晴れわたりたる空には雲もなけれど気候猶暖ならず。昼過ぎてよりまた曇る。平山清次郎[「次」はママ]氏邦枝君の紹介状を示して面談を請ふ。来春雑誌大和といふものを刊行する計画なればとて草稿を需むるなり。病の故を以て辞す。午後小品文(断腸花)四五枚をつくる。また空庵子依頼の色紙に発句を書す。燈刻銀座に至り風月堂に飰す。乗合自動車にて浅草に行き観音堂に賽し、朝倉屋書店?を訪ひしが獲る所なし。此夜広小路より公園内活動館の辺行人絡繹、昨今の銀座よりも賑なり。地下鉄道に乗りてかへる。庭上再び虫語を聞く。

 贈空庵主人

稲妻や街の灯を見る屋根の上

?の香やかけかへて見る床の幅

蝙蝠や銀座かよひの川つたひ

何事も思ひのたねや捨扇

長雨や庭荒れはてゝ草紅葉

〔朱書〕平山清郎 雑誌大和 銀座六丁目尾張町ビルデング
〔朱書〕邦枝完二 平河町四ノ六 九段二三七五


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Last-modified: 2015-02-01 (日) 06:34:59 (812d)