五月十六日 晴。午後三時銀座第百銀行に赴き、オペラ館楽屋及表方の中歌劇上演関係者に贈るべき金を引出し、入谷なる竹下氏の寓居に至り、其事務と執る。幸に平井氏来り事務直に終了す。燈刻二氏と共にオペラ館に至る。歌劇『情話』のけいこ午前二時に始り四時に終る。アルト永井智子を車にて上野の家に送りて麻布にかへる。街上割引電車の走るを見る。〔欄外朱書〕祝儀は一人金五円ヅゝ七拾人総額参百五拾円成*

昭和十三年五月十七日 晴。歌劇『葛飾情話』初日なり。午前十一時に起き浅草に走せ赴く。菅原君楽座に立ちて指揮をなし、正午『情話』の幕を揚ぐ。意外の成功なり。器楽の演奏悪しからず。テノール増田は情熱を以て成功し、アルト永井は美貌と美声とを以て成功し、ソプラノ真弓は誠実を以て成功をなしたり。微雨屢来りて蒸暑甚し。演奏後小川丈夫と蔦屋に一酌してかへる。午前三時。*


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Last-modified: 2015-01-10 (土) 15:36:15 (866d)