断腸亭日乗Wiki 昭和十二年「七月初七。朝十一時眠りより覚む。溽蒸昨日の如し。半日榻に臥して読書す。時に涼風の樹間より来るあり。百合のつぼみふくらみ、擬宝珠の花開く。鄰家の石榴の花立葵の花灼然たり。晡下平井程一来たり訪はる。燈火執筆。十一時過芝口金兵衛に至り茶漬飯を食し、電車にて吉野橋に至り、暗夜の山谷堀を歩み曲輪に入る。京町一丁目太華楼に登る。忽大引となる。室狭くして暑さ耐へかだき故出でゝ江戸一彦太楼に登り三階表廊下の一室に宿す。炎暑甚しき夜なれば、三階の窓より見おろす近鄰の娼楼、皆戸障子を明放ちたり。時として奇観頗る目をよろこばすものあり。裏手の屋根上に出でゝ見るに、立ちつゞく屋根のはづれに石濱の瓦斯タンク朦朧として影の如く、南千住邊の燈火東雲の空の下に明滅す。微風涼爽水の如し。」  


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Last-modified: 2017-01-23 (月) 21:02:43 (96d)