三月十日。 晴。風邪下痢終日家に在り。仏人アンドレヱ・ベレソール著『日本日夜の記』をよむ。日本人の微笑につきて曰く、若し日本人にして微笑の習慣を失ひたりとせんか、其顔貌(がんぼう)は野蛮粗暴実に厭ふべきものとなるべし。両頤の突出せし其顔より可憐なる微笑の光の消え失する時、貪慾的なる歯の突出することと、陰欝にして不安なる眼の輝くことのみ目立ちて見ゆるなり。これと同じく日本の都市より寺院の美観を取り去りなば残るものは矮屋と廃舎との形を成さゞる集合のみとなるべし。{京都に至る途上の記二十七頁}云々。これ平常余の見る所と一致せり。

 André Bellessort: Les Journéeset les nuits Japonaises (1926) *


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Last-modified: 2015-01-10 (土) 14:04:16 (869d)