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九月十五日。税務署より大正十二年分所得金額四千壱百八拾円との通知状来る。空曇りて風冷なり。午後永代橋を渡り八幡宮境内災後の光景を見歩き、木塲を過ぎ、洲崎遊郭を歩む。鉄の大門焼残りて在り。門柱に花迎喜気皆知笑。鳥識歓心亦解語。の文字も明に読まれたれば其背面を見るに、録唐王摩詰句。嗚寉(=鶴)老人。明治四十一年十二月建とありたり。遊郭の左右以前は海なりしところ、今は埋立地に工場建ち、煤煙雲の如し。木材の置場遠く砂村の方につゞきたり。台湾檜株式会社などかきたる榜示杭ところどころに立ち、埋立地の堤防セメントにて築かれたるが一直線に限りなく延長したり。電車にて家に帰れば日既に昏く。雨亦来る。


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Last-modified: 2015-01-10 (土) 01:31:27 (838d)