タグ別アーカイブ: 卒論

文献リストを持ち歩け

教員や他の学生様と卒論の相談をするのはとてもよいことです。どんどん相談してください。

ところで、論文というのは文献をちゃんと読んだり参照したりするのが基本なので、文献情報はとても重要です。レポートでちゃんと参照文献リスト書け、みたいなのを口をすっぱくして言ってるのはその準備作業ですわ。

んで、自分がいまままでどんな文献(本、論文)を読んだのかというのはとても重要な情報です。そのリストがなければ指導とかできない。「えと、その件についてはどの文献みたんだっけ」「わすれました」「なんとかっていうひとの論文みたいなの」「そのなんとかって誰よ、なにを言ってるのかわからんがね」みたいなまったく意味のない会話をしなきゃなならなくなる。

だから、卒論書いている人々には、いつも文献リストをもちあるいてほしいとお願いしております。いままで読んだ関連する書籍・論文のリスト、それに、あちこちで気づいたりした(これから読むべき)文献のリストの2個をいつも持ち歩きましょう。

まあ紙でもってあるく必要はまったくないので、EvernoteGoogle Keepのようなメモ帳サービスにどんどん追加していけばいい。大学来た時それみて図書館から本を借り出すとか、府立図書館の近くを通った時借り出すとか。

そういうメモを残して見直したり利用したりする習慣というのはとても重要で、だからこそ1回生のときからメモを取れメモを、とかずーっと言ってるわけです。4回生ぐらいになってもそういうのがわかってないようではやばい。会社入っても同じこと言われます。


卒論生のための文献・情報関係ウェブサービス案内

 

卒論を書くためにはとにかく大量に本や文献を集めて読み整理しメモをとらねばなりません。(無料の)ウェブサービスを使って効率的にやりましょう。

具体的に私が書籍等あつめるときにどうしているのかというと、基本的に書籍の情報はMediaMarkerに集積してます。Amazonで「この本よまないとならんかな」と思ったら、すぐに登録して「ウィッシュ」もしておく。登録はブラウザからブックマークレットからバインダー登録一発。MediaMarkerの他に、ブクログ読書メーターといったサービスがあるので、自分の好みで。

本を買うとお金がかかってしまうので、なるべく図書館ですませたい。カーリルにアカウントをとって、自分の利用する図書館を登録しておくとよい。私は大学と市立図書館、府立図書館の3箇所を登録してる。さらに、ブラウザにChromeなどをつかっている場合は、Calilayという機能拡張を使うと、AmazonやMediaMarkerのページでその本が図書館にあるかどうかすぐわかる。FirefoxやSafari用の機能拡張もあるはず。

Webの情報は「クリップ」(保存)する。Evernoteというメモソフトの場合はEvernote Web Clipperを使うと一発でクリップできる。Google KeepOneNoteでもおなじことができるはず。これらのメモサービスは非常に便利なものなので、卒論生はどれか使いたい。とにかくWebの保存、メモ、思いつき、読書ノート、なんでもメモサービスにあずける。歩いてる時、電車のなかで思いついたこともスマホからとりあえずメモっておく。(もちろん紙でもいい)

私はPDFはMendeleyってので整理してますが、学部生でここまでやる必要あるかどうかは知りません。もっとよいサービスもありそう。Evernoteに突っ込んでおくだけでも十分かもしれない。

図書館で借りた本などは大事なところ、あとで使いそうなところはコピーするなり写メ取るなりしておく。まあ普通コピーだと思うけど。私は実際には論文などはコピーして、それをスキャナで読んでPDFにして保存することがおおいかな。


関係ありそうな古い記事。書き直さないとならんね。


現代社会学部生のための文献調査ガイド

文献を集めよう

卒論レベルでも、研究の基本は文献を読むことです。どういう先行研究があるのか知っていなければなにを研究するかの方針さえ立てられません。

まずまずこれを読んでください。 http://www.kyoto-wu.ac.jp/library/j_guide/index.htm

図書

図書館にある本は OPACで調べます。

http://www.amazon.co.jp/ も役に立ちます。自分では買えない本は、図書館に「購入希望」を出しましょう

新書、ムック

新書は最新の知識をコンパクトに紹介してくれているので、大学生の友です。積極的にどんどん読むこと。ただし、一部質の低いものもまじっていますので注意。

私見では、中公新書と昔の岩波新書がもっとも権威があり、講談社学術新書やちくま新書がそれにつぎます。

入門書・概説書

どういう問題を扱うにせよ、とりあえず自分なりの分析のツールを手に入れておかねばなりません。現代社会学部の卒論の場合、多くの人は社会学的な分析を行なうことになるでしょう。最低限社会学の概説書(ギデンズの『社会学』など)には目を通しておきたい。

百科事典のたぐい

現代社会学部学生の場合は現代社会に特有な現象をテーマにすることが多いでしょうから、とりあえずどんなことが議論されているのかを知る必要があります。『現代用語の基礎知識』『知恵蔵』『イミダス』のたぐいは一回ひいておきましょう。図書館にあります。

最近では WikiPedia も非常によい記事を含んでいます。日本語のを引いたら左の方から “English” を選んで英語のも見る癖をつけておくととてもよいです。分野によっては質の高さが段違いだったりします。

専門事典

社会学事典、心理学事典など学問分野に特化した事典が図書館にあるので見ます。そこで参照されている文献をメモしておくこと。

単行本

人気のあるテーマの場合は一般向けの書籍も手に入ります。 OPACで調べてみて、図書館の開架でその近くにある本にも目を通してみること。

編集された本の一章が役に立つ場合も多いので、幅広く本を見ること。

専門書・研究書

単なる読みものとの違いは巻末の文献リストを見ればわかります。文献リストが4、5ページになるような本が読めるようになればあなたも大学生らしい「研究」ができるようになりつつあります。

雑誌論文

実は図書より重要なのが雑誌論文です。

たとえば哲学だと岩波の『思想』とかが一番偉い、ってことになってるようです。あと『現代思想』とか(私は難しくて読めないことが多い)、いろいろあります。

でも卒論レベルで参考になるのは、各大学が出している紀要に載っている論文です。http://www.kyoto-wu.ac.jp/library/news/library_news.htm#shiryoあたりから調べます。特に CiNii が重要。図書館にない雑誌は、ILL (図書館間相互利用)から注文します。(お金がかかります。コピー1枚30円くらい。図書館地下の雑誌室のカウンターに問いあわせてください。)江口が関心を持つような論文なら一部研究費から援助します。

書籍・論文の参考文献

まともな論文には参考文献リストがついています。もちろんそれに全部当たるわけにはいかないのですが、

文献リストを作る

すでに読んだ本、これから読むべき本はリストにしておきます。この文献リストが増えていくのが研究者の喜びの一つです。

いろんな方法がありますが、江口はhttp://yonosuke.net/eguchi/memo/bibtex-exsample.txt のようなものを使っています。これはLaTeXのbibファイルというものです。学部生のときは「メモ帳」かWORDかなんかに書いておけばよいでしょう。


卒論とただの文章の違い

卒論とか書いていると「ちゃんとした(学術)論文の形にしろ!」って教員から怒られるわけですが、学術論文とただのエッセイの違いはなんでしょうか。論文はすごいアイディアじゃなきゃだめだけどエッセイはそうでもない、みたいな感じでしょうか。ちがいます。

単純な答は、出典がついているかどうか、です。「不倫はなぜ悪いですか」みたいな文章はブログにも新書にもたくさんあるわけですが、学術論文ってのは「誰それはこういった」「こういう統計データがある」みたいな文に「〜という本の〜ページにある」て出典がついていて、誰でもそれを見てもとのデータなり文献なりを参照することができるようになっている。論文とただのエッセイの違いはこれだけです。たいしたアイディアじゃなくてもちゃんと参照つけていけばとりあえず論文になる。逆に、どんな斬新なことを書いていても、出典とかデータとかの場所を示してないのは論文ではない。

だから学部のレポートの段階でも、ちゃんと出典つけるクセつけましょう。


卒論書けない人のためのガイド

「卒論なに書いていいのかわかんないよー」っていう人が多いと思いますので、中堅のゆるい学部で最低限の卒論らしきものをでっちあげる方法を書いておきます。

1. まず、とにかくなんでもいいから、興味のあるネタで教科書レベル・新書レベルのものを何冊か読む。

もうほんとになんでもいいです。学部とか学科によって「だいたいこういうネタで書かなにゃらならない」ってのがあるでしょうから、それはいつかネタを考えて、教員に聞いてください。「〜か〜か〜に興味あるんですけど〜どうしたらいいでしょう?」

2. いっきに決めちゃう。

ネタ・テーマを決めてください。たとえば「化粧や服装は人の行動にどういう影響を与えるか」でもOKです。すると教科書読むとだいたい「性格特性と被服行動」とかの項目があるのでそれ読みます。

3. ウラをとる。

そうするとたとえば「外向的な人は派手な服を着る」みたいなことが書いてあるわけですが、そのウラをとります。つまり教科書で「事実」や「真理」「仮説」みたいにして提示されていることが、どんな論文の裏付けがあるかをたしかめます。ちゃんとした教科書は出典や参照が書いてありますので、その論文なり本なりを集めます。ILL(図書館相互利用)とか利用して論文を30本ぐらい集める。すると、教科書で「外向的な人は派手な服を着る」と一行で書いてあることの裏付けとして偉い学者さんたちが実験したり調査したりしていることがわかる。それにもとづいていろいろ書いていく。

4. 自分の観察と照らしあわせる、経験を思いだす、自分で調査してみる。

ここまでくるとだいたい教科書の一行がけっこうな分量のちゃんとした「研究」に裏づけられていることがわかってくるはずです。あとはいろいろ書きたいこと書けばいい。

あんまりちゃんとしてない新書に書いてあることなんかは探しても根拠がなかったりすることに気づいたりします。これはおいしい。「この著者はこんなこと言ってるけどなんも根拠ないみたいだぞ、っていうかキーワードを中心に調べてみたらぜんぜん違うことが他の学者によって主張されてる」みたいなことを発見したらそれだけで卒論になります。
まあ卒論ってのは別に事実とか真理とかを書くもんでもないわけです。「いちおう常識ではこうなってるけど、あんまり根拠ないみたいだ」とか書くのもよし。「このひとたちはこういうこと言ってるけど、別の人々が主張しているこれこれを考えてみるとなんか信用できないぞ」とか。おかしな著者がいたら「この人はダメだ、なぜならばこういう根拠に反しているかだ」みたいな発見も卒論になる。

がんばってください。


卒論テーマの見つけかた

現代社会学部学生にとっての問題

現代社会学部はいわゆる「学際的」な学部を目指しているので、卒論のテーマをどうやって見つけるかってのが他の学部より難しいようです。

まあ「学際的」ってのは「なんでもあり」で、よく言えばなんでもできるけど悪く言えば選択の幅が広すぎて焦点定めるのが難しいってことでもあります。

たとえば文学部国文科なら源氏だの古今だの歎異抄だの、まあそういう古典作品を研究するぞとか、国史だったらとりあえず中世の政治史やるとか近世の農村史やるとかまあある程度はっきりしているわけです。

でも現代社会学部では、(おそらく一応)現代社会の現象ならなんでも OKということになっているし、2回生までの蓄積も若干ばらばらの断片的知識の寄せ集めという感じになってしまっているのでかなり困難。基本となる学問的基盤があやふやなところがあるので、さらに問題は深い。

これは現代社会学部の教育方針の問題です。よいところもあれば悪いところもあるのはしょうがない。逆に悪いところもあるけどよいところもある。

江口自身あんまり専門性がはっきりしていない人間なので、学生に積極的にテーマを与えるという気にもなれず困ってしまいます。

基本は自分の興味関心から

まあやっぱり、「自分の興味関心にしたがってテーマを探してください。」ということになってしまうわけですが、そりゃ誰でもいろいろ興味関心はありますが、それをどうやって「研究」とかってものに結びつけるかがよくわからんですよね。わたしもよくわかりません。

まあいろいろ相談ですな。

まったくなにをすりゃいいのかわからん

  • 困りますね。
  • とりあえず文芸春秋社の『日本の論点』を読んで興味あるところを読んでみればどうでしょう。とりあえずテレビとかで討論しているテーマがわかります。
  • 図書館の新書の棚でタイトルを見てピンを来たのを読んでみるとか。
  • とにかく基本は図書館だな。大学生になって図書館に行ったことないなんてことはないですね?
  • 一冊もってくればそこから話を進めることができます。

対象を狭める

「恋愛について興味がある」とか言われても広すぎて研究できないので、もっと詳しくしていかなきゃならん。

恋愛のなにに興味があるのか。

  • デートのときに男女はどうふるまっているのか→なんか仮説立てて質的調査?
  • どっちがどれくらいお金をつかっているのか→なんか仮説立てて量的調査?
  • 気のある男の子とデートするときとそうじゃない男の子とデートするとき、女の子の態度はどう違うか。→ 調査してみる?
  • デート前に女の子はどういう準備をするか→これも調査
  • 何回目のデートで手をにぎったりキスしたりセックスするのか、→アンケートがよさそう。
  • 人気のデートコースはどこか→アンケートだな。現地調査もあるか。
  • デートレイプはどの程度起こっているのか→いろいろ難しい
  • 二股かけている人間はどれくらいいるのか。二股はなぜいかんと言われるのか。→一部倫理学だな。
  • なぜ人間は異性に魅かれるのか。男女のあいだに差があるか。→心理学?生物学?

とかいろいろ考えていくと方向が決まってきます。でもそのためにはいろいろ本を読んでみないと。

とにかく、書くべき焦点をどの程度狭くすることができるか、ってので出来不出来が決まります。

研究手法

現代社会学部の教員は非常に多彩なので、研究の手法もさまざまになってしまっ
ています。

私の専門は哲学なので、やっぱり文献調査と概念的分析、倫理学的関心からの
規範の記述とその批判のようなものしかできないわけですが、まあ卒論では好
きにやってください。

おそらく現代社会学部の標準的な学生が手にしている手法は、

  • 量的社会調査(アンケートと統計)
  • 質的社会調査(インタビューとその傾向分析)
  • 文化の歴史的研究(歴史的(主として近現代の文献調査)
  • テキスト分析、たとえばジェンダー批評。
  • テキスト読解。著名な理論家・思想家の著作を読み、その一部を正確に理解する。
  • いくつかの理論社会学的概念を使った社会関係理解。

ぐらいだと思います。まあ3回生から勉強してもまだまだいろいろ手に入れることはできます。

ゴールはどこにある?

どこまでできればゴールにすればよいのかってのも難しい。これはどういう研
究手法をとるのかと密接に関係しています。

  • アンケートと統計ならば、まあある仮説にしたがって、あるグループが他のグループとどういう点で違いがあるか言えればいいかな。社会の構造のようなものをかいま見ることができればよい。
  • 質的調査をするのであれば、生身の人間がどう生きているのかの一部をかいま見れば。
  • 史的研究をするのであれば、ある概念や現象がどう発展しているのかを理解できれば。
  • テキスト分析ならば、うーん、こういう切り方をするとこういうテキストはこう分析されるだろう、とか、かなあ。
  • その他いろいろあるな。でも卒論ではそんなに斬新な結論を得ることを目的とするよりは、どこに問題があるのか、なにが問題なのかが理解できれば十分であるとも思います。

実例

しょうがないので、これまで私が指導した学生さんたちがどういうふうにしてテーマを決めていったのかを思いだしてみます。

ニーチェな人

  1. 高校の倫理で名前を聞いた「ニーチェ」とか「キルケゴール」とか、せっかく大学入ったんだから一回は勉強したい。
  2. んじゃとりあえず読んでみないとね。でもニーチェは難しいです。
  3. 「狂気」に興味あるんですが。
  4. ニーチェはたしかに狂人になってしまったけど、とくに狂気について考え
    たひとではないです。伝記的な研究はおすすめしないです。
  5. どうしましょう。
  6. とりあえず入門書読んでみたらどうですか?
  7. 「ルサンチマン」ってのがおもしろそうでした。
  8. んじゃ『道徳の系譜学』とか。
  9. 読んでみたけど、難しくて読みきれません。
    10. とりあえず「ルサンチマン」のところだけでも理解したらどうですか。道徳なんてのは弱い奴が強い奴に対する反感から捏造したものだ、とかそういう話。
    11. ひとりじゃ読めません。
    12. んじゃしょうがないのでつきあうから、ちょっとづつ読みなさい。

仮面ライダーなひと

  1. 「仮面ライダー龍騎」が好きだ。なぜおもしろいのか考えたい。
  2. 魅力はどこにあるの?
  3. それぞれの登場人物がそれぞれの正しさを主張しているんですよね。その対立が萌え。
  4. んじゃ、キャラクター分析からはじめたら?
  5. ごちゃごちゃ
  6. ごちゃごちゃしていてダメですね。どのキャラが一番好きなんですか?
  7. 仮面ライダー王蛇!
  8. んじゃ、そのひとのどこが魅力なのか考えてみたら?
  9. んー、悪だから。
    10. んじゃそこらへんを中心にしてまとめていきましょう。

アスペルガーな人

  1. アスペルガー症候群が気になる。
  2. ふむふむ。でも精神医学とかちゃんと勉強しているわけじゃないからその障害だけでは扱えないよね。
  3. 学校教育の現場とからめれば。最近いろいろ対策しようということになってるんですよ。
  4. それはいいねえ。それでいきましょう。アスペについての知識と、学校制度についての知識の両方が必要ですね。

文学における唯美主義のひと

  1. 小説書くのが好きなので。
  2. 小説を卒業制作にしちゃう?
  3. それはちょっと。
  4. どういう傾向のものが好きなの?
  5. 美しいもの。
  6. うーん、具体的には?
  7. 鏡花とか谷崎とか。
  8. んじゃ、そこらへん分析してみよや。好きなのは?
  9. 「刺青」。
    10. んじゃがんばりましょう。どこに美を感じるかぐらいで。内容なの?文体とかなの?文体の特徴はどこにあるの?

FGMのひと

  1. 昔の授業でFGMのこと聞いたんで。
  2. どうぞ。文献集めましょう。「なくそう」って人が多いけど、「文化を尊重しよう」て人たちにも気をつけ
    て。

代理母のひと

  • 生殖技術について
  • 広すぎ。いろいろあるから。なんにする?
  • んじゃ代理母で。
  • それはずいぶん議論されて文献も多いので勉強しやすいです。

道徳教育指導要領のひと

  1. 子どもをどう育てるかとか。
  2. 話が大きすぎるよ。
  3. 教育実習とかともからめて。
  4. んじゃ学校での道徳教育がどうおこなわれているか、どう行なわれているかの話にしたら?
  5. 文科省の指導がどう変遷しているかでいいですか。
  6. ふむ、いいんじゃないの?

セックスワークのひと

  1. 売春の話とか。
  2. 売春はなぜ悪かとか、売春の歴史とか、現代社会での売春の実態とかいろいろあるけど。
  3. 一番最初ので。
  4. 道徳と法の話とかかなあ。10年ぐらい前の「性の自己決定」の話とかだね。
  5. はあ。
  6. あとJ. S. ミルの『自由論』は絶対に読んでおくこと。他にもいろいろ読む本はあるなあ。
  7. はあ。売春している人を応援する話はないですか?
  8. 「セックスワーク論」とか。
  9. そこらへんで。

やおいの人

  1. やおいはなぜおもいろいのかとか。
  2. まあんじゃやおいの紹介しないとね。
  3. それからどうしましょう。
  4. なぜ婦女子はやおいが好きかっていう分析はけっこうあるから、そこの本を集めて並べて検討してみたら?

卒論への道

心がまえ

  • 卒論は非常にたいへんです。
  • 2万文字(A4用紙で20枚弱)書くのは本当にたいへん。
  • ふつうの人にとって、これくらいの分量の文章を書くのは一生に一回です。がんばりましょう。
  • 卒論はたんなる感想文じゃない。ちゃんと他の研究者の論文・書籍を調べて書く。
  • まず戸田山和久『論文の教室』(NHK出版, 2002)を読む。

なんのための卒論?

  • 情報を収集し整理する能力
  • 他人の意見を批判する能力
  • 自分の考えを形成する能力
  • 他人にわかりやすく説明する能力

卒論に必要なこと

  • 文献調査。
  • 先行研究はあるか?データはあるか?
  • なにか新しいアイディアはあるか?でもふつうの卒論ではそれほど新しいアイディアが必要なわけではない。

テーマを決める

  • 興味の対象 – 興味のないものはつっこみが浅くなる。
  • 書きやすさ – 先行研究がないものは書きにくい。
  • テーマは卒論を実際に書きはじめると変わって行くもの。

アウトラインを考える

  • どんなことを書くか
  • 卒論(2万字程度)の場合、3節ぐらいが適当。

注と参照文献

  • 注と参照文献リストは非常に重要。
  • 論文と、授業レポートやエッセイの違いは、ちゃんとした注や参照文献リストの有無。

一次文献と二次文献

  • 論文では、基本的にもとの文献に当たらなければならない。
  • 「ウェーバーは心情倫理と責任倫理を区別した」と書くためには、実際にウェーバーを読まねばならない。

卒論は文献リスト作りから

  • なにかを研究するときは文献リストの作成からはじめる。
  • すでに読んだ本、これから読む本。
  • ある本や論文を読んだら、それに使われている本や論文をチェック!→すぐにメモ。
  • 図書の場合は著者名、タイトル、出版社、出版年。論文の場合は著者名、タイトル、雑誌名、巻号、発行年をメモしておく。
  • WORDでもメモ帳でもExcelでもよい。

卒論を書く秘訣10箇条

名古屋大学の高等教育研究センターが出している「かわらばん」2006年夏号を読んでいろいろ考えました。この「博士論文を指導する秘訣十箇条」は、博士論文を指導する偉い教授向けのものですが、学部生が卒論を書く上で考えるべきことも指摘しているように思えます。

学生向けのチェックリストとして書き直してみると。

問題が発生する前に気づくように

  • 自分の能力で達成できる課題か?
  • 参考文献は手にしているか?
  • 卒論に関係する学術雑誌を知ってるか?卒論レベルでは単行本、新書などを利用することが多くなりますが、ちゃんとした学術論文まで読めるようになりましょう。
  • 学問上の「方法論」を知ってるか?
  • 使用する専門用語はわかってるか?
  • パソコンを論文書くために使えるか?
  • 明確で簡潔な文章を書けるか?
  • 論文作成に役立つメーリングリスト、ウェブサイト、学会などを知っているか?

教員とどういう関係か把握しているか?

学部生も教員から指導を受ける権利があります。ゼミの時間だけでなく、オフィスアワーなどを使って十分な指導を受けましょう。大学教員というものは自分の利益しか考えてないので、学部生の指導に積極的でないことがあります。でも個人的に指導してもらうのは学生の権利なので十分有効に行使しましょう。

論文執筆情況を教員に伝えるチェックポイントがあるか?

  • 卒論課題の決定
  • データ集計、分析の開始、終了
  • 目次の提出

定期的に指導教員に会って報告し指導してもらってているか?

今熊野女子大、じゃなかった京都女子大学の売りの一つは少人数教育です。ゼミの人数もできるかぎり抑えています。これは学生一人一人に細かい指導を行なうためです。個人指導を有効に利用しましょう。

早めに書く

私も書きはじめるのがいつも遅いので苦労しています。でも書きはじめてしまえば自分がなにも知らないこと、調べるべきことが多いこと、そしてそういう学習と進歩と成長がとても楽しいことに気づきます。この楽しみを知らないのは、人生の楽しみの何分の一かを失なうことになります。

教員が何をやっているのか観察しろ

上の「かわらばん」では、「学会やジャーナルの論文を共同執筆しましょう」といったことが書いてますが、大学院生はともかく、さすがに学部学生と共同執筆するわけにはいかないのが本音です。でも、教員が研究者としてどういうことをしているのかを観察するのは勉強になるはずです。彼/彼女は、一本の論文を書くためにどれくらい文献を集めたりしているのか、アイディアから論文に仕上げるためにどんなことをしているのか、授業内容と論文はどういう関係にあるのか、そういうことを観察するだけで勉強になるはずです。大学の中には、実は、「見て盗め」という徒弟制度なところがあるのです。

教員から情報をもらっているか?

大学教員は学部生の数十倍、数百倍の知識があります。っていうかそれだけが誇りです。尋ねれば答えますのでなんでも質問すべし。答えられないのは恥ずかしいので教員も勉強します。

原稿を読んでもらってるか?

よい文章、よい論文を書く最大の秘訣は信用をおける人に読んでもらうことです。無理矢理にでも教員に読ませましょう。

私は卒論に何を求めるか

  • 真理、というより、「本当のこと」を知ろうとする意欲。
  • 憶見や通念を疑う力。批判力。卒論はそれまで自分が信じていたことがひっくりかえることによって完成する。
  • 資料に当たる執念。
  • 各種マネジメント能力。構成力。
  • そこそこの文章力。きれいでなくてもよいのでわかりやすい論理的な文章を書こう。

学術論文とただの文章の違い

卒論とか書いていると「ちゃんとした(学術)論文の形にしろ!」って教員から怒られるわけですが、学術論文とただのエッセイの違いはなんでしょうか。論文はすごいアイディアじゃなきゃだめだけどエッセイはそうでもない、みたいな感じでしょうか。ちがいます。

単純な答は、出典がついているかどうか、です。「不倫はなぜ悪いですか」みたいな文章はブログにも新書にもたくさんあるわけですが、学術論文ってのは「誰それはこういった」「こういう統計データがある」みたいな文に「〜という本の〜ページにある」て出典がついていて、誰でもそれを見てもとのデータなり文献なりを参照することができるようになっている。論文とただのエッセイの違いはこれだけです。たいしたアイディアじゃなくてもちゃんと参照つけていけばとりあえず論文になる。逆に、どんな斬新なことを書いていても、出典とかデータとかの場所を示してないのは論文ではない。

だから学部のレポートの段階でも、ちゃんと出典つけるクセつけましょう。


卒論書けない人のための卒論作成ガイド

「卒論なに書いていいのかわかんないよー」っていう人が多いと思いますので、中堅のゆるい学部で最低限の卒論らしきものをでっちあげる方法を書いておきます。

1. まず、とにかくなんでもいいから、興味のあるネタで教科書レベル・新書レベルのものを何冊か読む。

もうほんとになんでもいいです。学部とか学科によって「だいたいこういうネタで書かなにゃらならない」ってのがあるでしょうから、それはいつかネタを考えて、教員に聞いてください。「〜か〜か〜に興味あるんですけど〜どうしたらいいでしょう?」

2. いっきに決めちゃう。

ネタ・テーマを決めてください。たとえば「化粧や服装は人の行動にどういう影響を与えるか」でもOKです。すると教科書読むとだいたい「性格特性と被服行動」とかの項目があるのでそれ読みます。

3. ウラをとる。

そうするとたとえば「外向的な人は派手な服を着る」みたいなことが書いてあるわけですが、そのウラをとります。つまり教科書で「事実」や「真理」「仮説」みたいにして提示されていることが、どんな論文の裏付けがあるかをたしかめます。ちゃんとした教科書は出典や参照が書いてありますので、その論文なり本なりを集めます。ILL(図書館相互利用)とか利用して論文を30本ぐらい集める。すると、教科書で「外向的な人は派手な服を着る」と一行で書いてあることの裏付けとして偉い学者さんたちが実験したり調査したりしていることがわかる。それにもとづいていろいろ書いていく。

4. 自分の観察と照らしあわせる、経験を思いだす、自分で調査してみる。

ここまでくるとだいたい教科書の一行がけっこうな分量のちゃんとした「研究」に裏づけられていることがわかってくるはずです。あとはいろいろ書きたいこと書けばいい。

あんまりちゃんとしてない新書に書いてあることなんかは探しても根拠がなかったりすることに気づいたりします。これはおいしい。「この著者はこんなこと言ってるけどなんも根拠ないみたいだぞ、っていうかキーワードを中心に調べてみたらぜんぜん違うことが他の学者によって主張されてる」みたいなことを発見したらそれだけで卒論になります。

まあ卒論ってのは別に事実とか真理とかを書くもんでもないわけです。「いちおう常識ではこうなってるけど、あんまり根拠ないみたいだ」とか書くのもよし。「このひとたちはこういうこと言ってるけど、別の人々が主張しているこれこれを考えてみるとなんか信用できないぞ」とか。おかしな著者がいたら「この人はダメだ、なぜならばこういう根拠に反しているかだ」みたいな発見も卒論になる。

がんばってください。


あんまり専門分野がはっきりしてない学部の人のための卒論文献の探し方

専門分野がはっきりしているひと(たとえば「文学部哲学科倫理学専攻」みたいなひと)は、卒論でどんなこと書かなきゃなきゃならないかはっきりしているわけですが、なんか最近全国的に多い四文字学部とかカタカナ入ってるような学部の人は卒論なに書いたらいいかよくわからんのではないかと思います。まあネタを決めるのが一番だいじですわね。

ぼんやりネタを決めてからも本を探すのがたいへん。

卒論を書くにはまあとりあえず戸田山和久先生の『論文の教室』を読むしかないです。

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とにかく前半の「よいレポートの見本」が出てくるまでは読む。残りは書きはじめてからでいいです。

 

だいたい興味ありそうなものがわかってきたら、戸田山先生の指導に従って百科事典とかひく。本当は専門事典がいいんですが、だいたいの専門事典(哲学事典だの社会学事典だの)は専門家の人が他の専門家に読ませるために書いてるんで難しくてわからんことが多いです。紙の百科事典はコピーとっておきましょう。

まあ今だととりあえずwikipediaを見る。Wikipediaを見たら、必ず「参考文献」をチェックする。コンピュータでWORDやその他のファイルを開いておいて、コピペしておく。

関係しそうな新書を読む。「講談社現代新書」か「ちくま新書」か「光文社」あたり。岩波はクセがあるのであとまわし。「中公新書」が一番偉いです。文春新書は読んではいけません。新書は15年以上古いものは読む必要ないです。

これも参考文献はさっきのファイルにメモしておく。何回も名前が出てくる人と本は大事なのでおぼえます。

そのネタを含んでいる学問分野の教科書をぱらぱら眺めます。ゆっくり読んでるとキリがないから、目次だけでも見る。たとえば心理学だったら『ヒルガードの心理学』が定番の教科書なので、へえ、こういうふうになってるのか、とか浅く理解する。関係ありそうな箇所は読んで、人名と参考文献をメモします。

OPACで自分の大学の図書館に入っている本を調べます。かなり自分の関心に近いものがあったら1、2冊借りに行ってみて、ついでに書架でその本のまわりにある本も眺めてメモします。とにかく何度も書くけどメモが大事なのです。

ここらへんで指導教員に「こういう感じで本読んでいこうかと思うんですけど」とリストを見せてチェックしてもらいましょう。知らない本も教えてもらえるはずです。メモします。

もちろん新書だけでは卒論は書けません。次にそれなりの一般向け専門書を読む。さっきwikipediaを見たときに参考文献にあがっているのを参考にします。っていうか載ってるやつはまず見る。メモするのです。

知られていないへんな出版社、ほぼ自費出版みたいなところの(「サイマル出版」*1サンマーク出版とか)のは読んではいけません。哲学だったら勁草書房とか、心理学だったら北大路書房とか、社会学だったら新曜社とかそういう定番出版社があります。「~大学出版会」みたいなのも安心*2。リスト作ったらもう1回教員に見せましょう。

本を読むときは、まずそれがどういうひとが書いたものか経歴や肩書をチェックします。基本的に「~大学教員」とかになってない人、大学院で何を勉強したかわからない人のは基本的に読んではいけません。

また、同じネタだったら概して翻訳のものの方が優れています。翻訳される本はそれなりに定評があるから翻訳されているわけですからね。

CiNiiでキーワードでひっかけるといろいろ論文がひっかかりますので、とりあえずなにも考えずに集めます。最近10年分でOK。直接読めるのはそのまま読めばいいし、webでは読めないものは図書館雑誌係にお願いして取り寄せてもらいます(取り寄せ方は図書館の司書さんに聞いてください)。論文を30本も集めれば卒論は完成したも同然です。

こうして読書をくりかえし、ある程度いきづまったら(提出の3ヶ月ぐらい前)、図書館のリファレンスにお願いします。「これこれこういうことを卒論でしらべていて、これこれこういう本・文献は調べました。他にないでしょうか?、とちゃんと情報を向うに渡せば、適切にアドバイスしてもらえます。この腕は分野によっては大学教員より上。)

むずかしい本や論文は無理して読む必要はありません。とりあえず置いておく。しかしやっぱり参考文献には目を通します。英語とかで書かれた本や論文が参照されていて、それが翻訳されていたら、それがあなたの目指している本です。

まあ合計して本20冊、論文30本ぐらい読めば、卒論はなんとか書けるでしょう。

他の注意。

  • 心理学関係は20年以上前のものは読まない方がいいです。この分野は非常に進歩が激しいので、20年前のものを読んでも話になりません。ここ10年ぐらいのを読んでから。
  • 精神医学とかそっち系のは「フロイト」とか「精神分析」とかってのが入ってるのは避ける。中山書店という出版社が『臨床精神医学』とかってシリーズを出してますのでそういうのを見る。ちょっと難しいけどがんばる。

*1:ごめんなさい間違いました。サイマル出版社さん元気ですかー?元気じゃないですよね。

*2:法政大学出版会の本は安心じゃありません。