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エントリーシートの書き方(1)

心がまえ

  • 何人かのエントリーシートを読んでみて、ずいぶん差があるものだと思います。
  • エントリーシートは3回生の冬ぐらいに何本か書くことになるわけですが、
    そのころまでに文章を書く練習をしていないことが多いと思います。
  • エントリーシートなんてすぐ書けるなんて思っていてはだめです。
  • ある程度時間をかけて書くこと。
  • 400字、あるいは800字でもけっこうその人の能力がわかるものです。
  • またエントリーシートを書くことは自分の勉強にもなります。
    1. シンプルな文章を書くの練習になる
    2. 自分を客観的に分析できるようになる
    3. 目指している業界がどういうものか知ることになる
    4. その企業の長所・短所を知ることになる
  • 荒木晶子・向後千春・筒井洋一 (2000) 『自己表現力の教室:大学で教える「話し方」「書き方」』,情報センター出版局.を読んでみてください。

気をつけること

  • 決り文句、手垢のついた言葉、内容のない言葉は使わない。
  • 字数が少ないので同じことはくりかえし書くのは避ける。
  • 書類のフォーマットにも気を配ること。
    1. タイトルは明記されているか
    2. 余白は十分か
    3. 見出しなどは適切に設定されているか。
  • 書類が複数になる場合、各書類に最低限自分の名前は明記しておくこと。

他人の目を通す

  • 某女子大の平均的な3回生は、自分だけでは
    まともなエントリシートを書くことができません!汝自身を知れ!
  • とにかく他人の目を通しておくこと。
  • ゼミ担当者とかに見てもらうこと。

練習

200字、300字、400字字でそれぞれ書いてみる。

  • 自己PRしてください。
  • あなたを自己分析してください。
  • 10年後のあなたはどうなっていると思いますか?
  • ライフプランを描いてください。
  • 学生時代に打ちこんだこと、そしてそこから得たことを書いてください。
  • これまでで一番大きな失敗を教えてください。
  • どのような業種で働いてみたいと思いますか?それはなぜですか?
  • 10年後の自分に手紙を書いてみてください。
  • 大学生生活で感動したことを書いてください。

うまそうなアルバイトには注意

 

新聞の折込広告にこんなのがはいってました。

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すごいですね。女子大生がこういうのに応募しちゃうとたいへんなことになるかもしれません。 「ラフなお仕事」ってのはどういう仕事なんだかな。世の中に、うまい話、おいしい話はありません。


就活の日程とゼミなどの授業がぶつかったら?

 ブッチは絶対だめ

近年就活(セミナーや面接)がどんどん早まって、授業とバッティングしてしまうことが多くなっていると思います。学生さんもたいへんですね。

教員としては「就活なんかするな」なんてとても言えるわけがない状況なのである程度授業を休んで就活するのも黙認、となってしまうわけですが、大人数の講義ならともかく、少人数の授業、特にゼミでの発表をキャンセルするなんてのは言語道断です。いきなりメールで「面接なので発表できません」とかってのは絶対に許せませんね。

許せない理由はいくつかあります。

まあ一つには「学生の本分は勉強だ」という建前があります。でもこりゃただの建前でね。そんな建前を言うつもりはない。いまどきの学生さんにとって、就活は(おそらく勉学より)大事です。

でもなんというか、ゼミの発表のように自分に割り当てられているタスクを自己都合でキャンセルする人ってのは、社会に出ても仕事をちゃんとしないんじゃないかと思うのですね。自分のタスクをキャンセルする人はろくなものになれないし、私はそういう人を信頼する気になれませんね。そういう人は人々から嫌われる可能性が高い。っていうか実社会でも大事な仕事まわってこなくなりますよね。

それになにより、観察しているとそういう人は就活そのものを失敗しているんですわ。4、5年の経験で、なんかそういうルーズなことをする人は実は就活を失敗している傾向があるように思うんですよ。

うまいこと大企業に就職した人はみなそこらへんの連絡や交渉がしっかりしている。そういう人たちは、ちゃんと連絡したり相談したりして自分の日程を調整することができるんですね。そしてなにより、「自分の活動は自分でコントロールできる」という信念をもっている。こういうポジティブな信念は非常に重要です。他人から要求されたように動くんじゃなくて、会社や教員を相手に交渉することができるわけです。そしておそらく求められているのもそういう人材なのね。指示したそのままのことしかできない人とか、問題があっても相談も交渉もできない人とか、指示したことさえできない人とかなんかだめそうでしょ?

そういうひとが、お客さんとのミーティングをダブルブッキンぐしてしまったり、工場が忙しいのに納期まで間にあわないこことがわかっている契約してしまったりする営業や、原稿の締切を守れない大学教員になってしまったりするわけですね。最後のは私。はははははぁ。

「仁義」と「交渉」が大事

具体的にどうすりゃいいのか。ふつうに「仁義」を通して「交渉」して「調整」すりゃいのです。

大学センター入試じゃあるまいし、ゼミでも実社会でも「絶対この日にやらねばならない」「絶対こういうふうでなければならない」なんてルールは存在せんのです。たいていのことはなんでも融通が効くものです。なんでも「調整」すりゃいい。会社に、

「この日は私が所属している〜教授ゼミで私の研究発表がありまして、どうしても面接にお伺いすることができませんので、他の日時にしていただけませんしょうか」

と交渉すりゃいい。あるいはゼミの方に

「第一志望の会社の面接をやっと取ることができましたので他の日に発表をまわしてもらえませんか」

とか、他の受講生に頼んでかわりにやってもらうとか。それになにごとも先々に「どうしたらいいですか」とか相談しておけば無理もきく。こういうのはおそらく実社会で生きていくための最低限の基本なので、学生生活最後の段階に身につけておいてほしいのです。

仁義っていう点でいえば、いちおう大学の方が優先だと大学教員は思っていることが多いし、いちおう建前がそうなので、会社の方と先に交渉しておくのね。んで教員には「会社と交渉したのですがうまくいきませんでした」ってなこと言っておけば、いちおう教員の方の顔を立てたことになるのでOKになる。これが仁義。建前に一応敬意をしめす(ていうか示しているフリだけはする)。

発表じゃないときにゼミ休むときも「~という会社の面接に行くので(ちゃんと固有名詞を出すのがコツ)どうしても出席できません。もうしわけありません。おゆるしください。」と皆に連絡しておけばいい。まわりの子も納得する。(そうでないと、「私がいっしょうけんめい準備した発表なんかどうでもいいってことね!」と嫌われる」

そうすりゃ会社の方だって「真面目な奴だ」と好感もつはずだし  、教員の方も「うむ、しっかりしているな」と安心。

まあもしかしたら「そんなん許せん、大学のゼミなんかより我が社の面接の方が重要に決まっておる」って会社もあるかもしれないけど、そういう会社は「社員の健康や家庭事情なんかより会社の仕事の方が重要である」とも言いそうな気がするなあ。そういうところは用心しないとね。

いろんなことが円満に行くし、自分自身もいやな気分になることがない。よいことづくめ。

あと私自身がルーズな男なのでいろいろヤバい失敗してしまうわけですが、そういうときにはとにかく平謝りすることにしてます。コツはね、メールとかじゃなくてとにかく直参して口頭でもうしわけなさそうな顔することね。そうするとそれ以上怒れなくなるから。ははは。


大学での学習・研究の基礎体力をつけよう

(もうすぐ出る某新入生向けテキストの1章。字数の問題でコンピューター・ネット関係削られてしまいました。)

大学は、人類が築きあげてきた学問の成果を学ぶとともに、社会や生活を改善するための知的な活動の方法を学ぶ場所です。ここではまず大学での学習のための心がまえと各種の基本的な知識について確認します。

大学生活の目的と心がまえ

皆さんは、企業に就職する、大学院に進学し学問的真理を追求する、社会に貢献する仕事をする、あるいは企業する、政治家になるなど、それぞれ様々な目標をもって入学してきたと思います。高校までは大学入学試験を通過するために画一的な教科を学ぶことが中心だったでしょう。しかし大学は違います。大学では、お仕着せの教科から進んで、社会学、政治学、経済学といった各種の本格的な学問を学ぶと同時に、社会人として、市民として本格的な知的な活動する訓練をおこないます。

「大人」になるとは、なにより、他人にまかせずに自分で的確に判断できるようになるということです。日本の法律では、二十歳を越えれば誰でも、大金のかかった契約や結婚などを、すべて自分の判断でおこなうことができる大人になります。また、近代社会における民主主義は、そうした啓蒙によって、つまり教育と学習によって、自分で判断し行動できるようになった「市民」が、さまざまな意見を寄せあい批判しあい議論するなかで立法・行政活動がおこなわれることを前提としています。

「大人」や「市民」になるためには、もちろんこれから大学で学ぶような幅広く深い知識を身につけることが重要なのですが、実は、大学で学ぶ知識そのものよりは、むしろこれから一生を通じて自発的に学習し行動する能力を高めることの方がはるかに重要です。高校までは勉強の目的は、とにかく試験問題に正しく答えることだったかもしれません。しかし、今後あなたが大人として、市民として答を出さなければならない問題に「正しい」答があるかどうかはわかりません。あなたがどういう人生を選択するかという問題を正誤問題にして採点してくれる人はいません。また、原発を再稼働するべきかどうか、人種差別的発言を法的に規制すべきかといった現在議論されている社会問題をマークシート問題にしてくれる人もいないのです。

たった4年間の大学生活で学べる知識はたかが知れています。また、大学で学んだ知識の少なからぬ部分は、学んだ時点では最新のものであったとしても、10年、20年経つうちには、たちまち古い知識、役に立たない知識、場合によってはまちがった知識になってしまいます。重要なのは知識そのものというよりは、正しく信頼できる知識を求め続け発展していく「学問」(科学)という営みの基本的な態度と、新しい知識を収集し整理し活用する力、そうした知識を常にアップデートしつづける力、そして自発的に学びつづけようとする習慣です。

実際のところ、大学卒業後に社会人がおこなう知的活動は、企業活動であれ、市民活動であれ、個人的・家庭的活動であれ、大学で行うこととまった同じ構造になっているのです。ある目標を定め、レクチャーを受け、アイディアを練り、データや資料を集め信頼性を検討し、計画や企画書を作り、会合で自分のアイディアをプレゼン(提示)し、仲間や論敵と話しあってアイディアや計画を改善し、決断し計画を実行し、その結果を評価し、次の活動につなげます。現在企業が求めている人材も、まさにそうした能力をもっている人々です。企業への就職活動で、あなたはまず自分の責任で企業の資料を収集し就職活動の見込みのある計画を立てねばなりません。課せられる「面接」はあなた自身のプレゼンの場所であり、「グループディスカッション」は、あなたが積極的に他の人と議論をして全体に貢献できるかどうかを判断するためのものです。

こうしたさまざまな活動のための知的な訓練は、おそらく自発的なものでなければ効果がありません。知的な活動の能力は、自分で考えて考え、自分で選択してみることによってしか身につけることができないのです。

まずは大学ガイドブックから

そこでまず心がけてほしいのは、常に自発的に情報を探しつづける習慣をつけることです。世の中にはさまざまな情報があり、よい情報を入手することができればそれだけうまく活動しうまく生きることができるようになります。

私が大学入学の時点で読む習慣をつけることをお勧めしたいのは、実践的なガイドブックです。

なにをするにもうまい方法があり、そのためのガイドがあります。ガイド情報へのガイドもあります。地図をもたずに登山すれば運が悪ければ遭難するでしょう。健康と美容のためにダイエットしたいと考えたときに、いきなり1ヶ月で5キロ痩せようと思いつきで決め、食事を抜けば痩せるはずだ、と考えて無理なダイエットを実行しても必ず失敗し、一見成功したように見えてもすぐにリバウンドするでしょう。しかし最新のダイエットのガイドブックを見れば、無理のない適正な体重を目指した計画を立て、食事と体重の記録をつけ、筋肉をつけるエクササイズをするべきであること、その実現のための詳しいノウハウやティプス 1)「ティプス」tipsは「ちょっとしたコツ、秘訣」です。 を知ることができます。

同じように、大学に入学はしたもののなにをしたらいいかわからない、時間割の組み方がわからない、勉強の仕方がわからないといった壁にぶつかったときには、とりあえず数冊ガイドブックを読んでみればよいのです。サークル活動や人間関係で悩んだときも、就職活動をはじめるときも、まずはガイドブックで基本的な考え方をおさえてから活動すれば苦労が減ります。もちろんガイドブックを読んでその通りに行動しても自動的にうまくいくことはありませんが、本当に自分で考えるための参考にはなります。

最近は、大学での勉強法についてのよいガイドが数多く出版されています。そのほとんどが、講義の聞き方、ノートの取り方、レポートの書き方、図書館の使い方、よいプレゼンテーションの方法など、大学生活に必要なことを事細かに説明してくれています。ガイドブックを読むコツは、同じ種類のものを複数冊目を通すことです。1冊だけだと、もしかしたらその本は偏った本かもしれませんし、オリジナルすぎる考え方をしているかもしれません。3冊程度目を通せば、おそらくどの本でもだいたい同じようなことが強調されているでしょう。それはおそらくその分野についての非常に基本的な知識です。そこを押えれば、あとは必要ならば気にいったものを購入し、自分の新しいアイディアで試行錯誤すればよいでしょう。

具体的に推薦できる書籍を章末のブックガイドにあげておきました。こうした本は大学図書館に数多く収録されていますので、早めに目を通しておくのがよいでしょう。インターネットにも多数のガイドがあります。特に「名古屋大学新入生のためのスタディティプス」(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/stips/)は定評がありますので一見の価値があります 2)同じ名古屋大学の「成長するティプス先生」(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/tips/)は大学教員のためのティプスですが、学生とは逆の教員の側から大学を見てみるのも興味深いでしょう。

この文章を読んでいる人が、そうした本を自発的に手にとってくれれば、実はこの文章の目的は完了しています。以下はポイントだけを述べておくことにします。

大学教員という人々

ここで、大学教員という人々について簡単に説明しておきます。大学教員は大学における教育者であり「先生」です。しかし多くの大学教員はむしろ、その専門分野の「研究者」「学者」を自認しています。専門分野の研究者・学者として、大学教員は、より新しい知識、より信頼できる知識、より優れた意見を生産することが求められています。大学教員は各専門分野の研究のプロフェッショナルですが、中学・高校の先生たちとは異なり、実はほとんどの教員は、専門的な「教育」の訓練は受けていません 3)もちろん最近ではFD(ファカルティ・デベロップメント)として大学教育の改善のための取り組みがおこなわれ、多くの教員がとりくんでいます。 。また、高校の教師は教育委員会や先輩教師から授業内容や指導法などを細かく指導されているでしょうが、大学教員は基本的にはすべて自分の責任で、授業内容から授業方法、成績評価をとりしきります。したがって、同じような科目名の授業でも、内容は担当する教員によって千差万別になります。

高校の授業で学んだことは、多くの人々によって承認された基本的な知識でした。大学ではもっと新鮮な知見、現在発見されつつある知見、あるいは新しい問題に対する検討や解決策を紹介し、授業のなかで検討することが期待されています。学生に教えるべきことが定まっていた高校とは違い、大学の講義内容は原則的にその教員に完全に任されており、必然的にその教員の専門的な研究と研究上の立場を反映したものになります。「○○学入門」のような科目名の授業でも、教員は常に新しい知見を取り入れ紹介していきます。大学教員は、授業をおこないながら同時に自分の最新の研究をおこなっているのであり、授業のなかで新しい知見を検討し試行錯誤しながら、自分の研究を磨いているのだと理解してください。

そうした新しい知識や見解は日々更新されるものであり、また常に批判され議論されているものでもあります。A教員が賞賛していた見解をB教員が否定する、C教員がけなしていた本をD教員が推薦する、ということを見ることもあるかもしれません。これは当然のことなのです。大学の教員はまずはその分野の「研究者」であり、現在の最新の研究成果にもとづいて意見を戦わせて、可能なかぎり真理に近いものや信頼できる意見を探しもとめています。高校生の勉強はすでにできあがった知識の体系を学ぶこと(そしてその達成度を大学入学試験などでテストすること)を目標にしていたわけですが、大学生になるということは、そうした知識と学問が刷新され磨きあげられていく場に居合せ、いっしょに研究することだと考えてください。したがって、大学教員の言うことをすべて正しいと考える必要はありません。むしろ批判的にいっしょに考えるという態度をもってほしい、一方的に学ぶだけの「生徒」から、若い「研究仲間」に成長してほしいと教員は願っています。

講義の聞き方

大学では、講義形式の大人数授業も数多く受けることになります。講義は教員のレクチャーを通して、本を読むだけでは知ることのできない知識を獲得することができます。生身のトークによるレクチャーは、本を読むよりもインパクトがあり記憶に残りやすいものです。また、意外な豆知識、裏話、教員自身の考え方などを知ることができるのも魅力です。

また、講義では知識を吸収するだけでなく、各分野の研究者としての教員を観察してください。教員の上手でわかりやすいプレゼンテーション(プレゼン)のコツ、教材(レジュメ)の作り方、発音・抑揚・間の取り方などの話し方、力点の置き方、教壇での姿勢、板書する姿勢等を観察しておけば、いずれ自分がゼミなどでプレゼンするときの参考になるでしょう。

講義で聞いた知らない単語、理解できない専門用語などを放っておかないようにしてください。もしわからない言葉があったら、辞書をひく、教科書(テキスト)をチェックしなおす、各種の事典などを参照するなど工夫して、理解できないことをそのままにしない、という癖をつけてください。

授業中の約束事

ごくあたりまえのことですが、授業には約束事があります。常識で考えればいちいち列挙する必要はないでしょうが、あえていくつか挙げておきます。

  • どの授業でも、私語は厳禁です。私語は他の人の集中を妨害します。遅刻・途中退席も原則的に禁止です。一部には、講義をしている人が、テレビのなかで話をして自分たちの行動とまったく関係のないかのように行動する人がいますが、そうしたことは許されません。
  • トイレや体調不良のときは教員に軽く会釈するなど、それらしき合図して退席してください。再度入ってくるときも邪魔にならぬように。
  • 授業中の飲み物については、いまだに意見が分かれていますので、教員に個別にOKかどうか確認してください。ガムなどで口をもぐもぐ動かすのはみっともないのでやめましょう。机につっぷしての居眠りなども子どもっぽく醜いものです。
  • スマートフォンなどは授業中にも辞書やメモ等に使えて便利なことがありますし、積極的に使用を促す授業もあるようですが、気が散ることを気にする教員が大半です。特に許可のないかぎり、基本的には電源を切りカバンに入れてください。
  • イヤホンで音楽聞く、雑誌や旅行パンフを読むなどはもってのほかです。雑誌を読み音楽を聞くなら、教室よりももっとよい場所があるでしょう。
  • 一番の基本的なことは、自分を透明人間だと思わないことです。人数の多いに授業に出席していると、つい自分は誰にも気にされない透明人間だと思いこんでしまいます。しかし、どんな場所でもあなたの行動や表情は他の人に見え、影響を与えていることを意識してください。

メモとノート

メモやノートをとることは知的活動の一番の基本技術です。基本的に将来のための職業訓練だと思ってください。人間の記憶力などというものはまったく信頼できないものです。研究者であれ、ビジネスパーソンであれ、ジャーナリストであれ、秘密探偵であれ、なにをするにしてもメモをとる癖がついていなければなにもできません。

しかし実際には、メモの取り方・ノートの取り方といったことはあまりにもその人の知的活動の核心部分に近く、プライベートなものでもあるため、実際に書いたものを見せてもらうことは少ないものです。職業上の秘密、秘訣に近いものなので、赤の他人には簡単には教えられないのです。私自身、他の研究者がどういった研究ノート・アイディアメモをとっているかを見たことはありませんし、見せたこともありません。またその手法も非常に多様で、このやり方が一番だ、と言えるものがあるのかどうかもわかりません。知的活動をおこなっている人々は、常によいメモの方法を探索しているといってよいと思われます。

とりあえず言えることは、講義にかぎらず、ノート・メモをとる目標は、話の基本的な組立を再現できるようにすることだ、ということです。大学教員は高校までのように学生がノートを取りやすいように板書してくれたりすることはありません。多くの教員にとって黒板はただのメモ帳です。現在話していることのキーワードを殴り書きするだけの教員も少なくないでしょう。あまりほめられたことではないでしょうが、教員が黒板に書いたことよりも、黒板に書くことを忘れて夢中になって話している内容の方が重要なこともしばしばです。こうしたタイプの講義で、板書されたキーワードだけをノートに写してもなんの意味もありません。また、大学以降の社会で話を聞くことになる人々は、必ずしも話をしなれた人ばかりではありません。要点がわかりにくい話のなかから要点や事実を探しだすことが必要になることも多いものです。そうした場合には、なにが「重要な点」であるかということは自分で判断するしかありません。

したがって、知的訓練として、できるかぎり教員の説明を自分で文章にしてノートにする習慣をつけるべきです。また、板書せずに口頭で説明されたこともできるかぎりノートしてください。余裕があれば、特に重要だと思われることや疑問も簡単でいいのでメモしておきましょう。また、話の内容をコンパクトにまとめた文章を作ってみてください。こうした地道な自発的学習のつみかさねが知的な能力の向上につながります。

典型的なノートの取り方の詳しい手ほどきは、ブックガイドにあげた書籍を参照してください。とにかく最初は「なんでも書きつける」という態度で1時間集中して書いてみればよいでしょう。思考錯誤して自分なりの方法を見つけてください。この章のブックガイドにあげている書籍でもノートの取り方をそれぞれの方法で説明しています。さまざまな流儀があることがわかるでしょう。

またペンやノートの文具は基本的な装備なので書きやすいものを探してこだわりましょう。

ゼミ・少人数授業では積極的に発言する

少人数授業や「ゼミ」こそが、大学教育の核です。自分で調べ、考え、プレゼンし、議論することを学ぶには、やはり少人数の方が効果的です。

一番大事なのはなんらかのしかたで「みんなと協力する」という態度です。積極的に発言しましょう。教員や他の受講者の言うことがわからなかったら、すぐに疑問をぶつけ、また話題を提供しましょう。若いうちは人前で話すことがはずかしいと思ったり、「私がだめだからよくわからないのだ」「私のアイディアや疑問なんか価値がない」と思ってしまって黙りこんでしまったりすることがありますが、そうした思いを捨ててしまいましょう。実社会でのミーティングや会合では、単にその場にいて話を聞くだけでなく、アイディアを出し、疑問を明らかにして、その場にいる全員がなにかをしっかり理解すること、新しいアイディアや知識を身につけること、協力してなにかを発見することが期待されているのです。単に誰かの話を聞いてその通りに行動するだけなら、少人数での会議やミーティングの必要はないのです。アイディアや疑問を共有することこそが学問や共同作業の中心部分であり、ゼミや少人数授業はその技術を学ぶ最善の機会なのです。ポイントを簡単にあげておきます。

    • 必ずなにか発言することを心がけること。なにも発言しないということは、その会合のテーマや、その場にいる人びとに対して関心がないということを意味してしまいます。
    • 人の話を聞く態度や話をする態度や姿勢は非常に重要です。他の人が話しているときはその人の表情や口調、姿勢、その他に注目し観察すること。
    • 自分は内容がよくわかったので質問すべきことがないと思ったときでも、「質問はないです」ではなく「〜ということですね」と確認する。意外に自分が理解したと思っていたことは正確でなかったり、重要なポイントが違ったりするものです。

「本」には気をつけよう

いつの時代も、信頼できる情報を与えてくれるのは書籍・論文です。図書館にも書店にも書籍は大量にあります。しかしすべてがよい本であるとは限りません。なかには、政治的に極端な意見や、明らかにまちがった「科学」情報をどうどうと掲載している本や雑誌もあり、政治や人々の健康などに与える影響が懸念されています。また、ゼミなどで課題を出すと、時々いわゆる「トンデモ本」を参考にしてレポートを書いてしまう人がいます。そうした学生さんに、「その情報はどこから手に入れたの?」と聞くと「本に載っていた」という答えをよく耳にします。本はたしかに知識を与えてくれますが、本もさまざまでああって本として書店で売られているからいるからといって信用できるというわけではありません。

まず、その「本」は誰が書いたものかを常に意識してください。文章は必ず誰かが書いたものです。その「誰か」が信用できる人なのかどうかを確かめながら読まなければなりません。そのために役に立つのが、本の奥付(最終ページ)にある筆者の経歴や業績です。なにが専門分野なのかどんな学歴や職歴なのかを確認してください。たとえば、経歴や職業が医学や保健学となにも関係がない人が書いたダイエット本は、単なる筆者の個人的な経験にもとづいたものでしかない場合があります。そうしたダイエット法は、むしろ不合理で危険なものかもしれません。この『現代社会を読み解く』に掲載されている論文の参考文献を読んでもわかるように、学術的な書籍・論文に付けられる必ず筆者が先頭に表示されます。これは学問の世界では「誰の意見か、誰のデータか」ということが最も重要な情報だからです。先の「その情報はどこから?」という質問に対して教員としては、「○○学者の××が書いた『〜』という本を読んだ」と答えてほしいわけです。そしてその筆者が人びとからどんな評価を受けているのかも意識してほしい。

出版社にも注意してください。当然のことながら、しっかりした出版社はしっかりした本を出す傾向があり 4)世間的に有名でない出版社の本の質が低いということではありません。 、しっかりしたシリーズはしっかりしたシリーズ編集をおこなっていてしっかりした本が収録されている傾向があります  5)私見では、たとえば新書ならば中公新書は非常に高い評価を得ています。また岩波ジュニア新書は非常に良質でどれも読む価値があります。ただしこうした評価も年とともに変わりますし、先に述べたように書籍やシリーズや評価について研究者の意見が食い違うことは多々あります。 。また、一般向け雑誌や学術雑誌にも格付けが存在しています。学問の世界では、一流の学会が発行している雑誌に掲載されている論文は、「査読」という批判的な目にさらされ評価されたものなので、最も信頼がおけるとされています。こうした出版社や雑誌に関する知識は一度には身につきません。どの出版社がしっかりした出版社であるか、といったことは常に情報を集めつづけなければわかりません。

また出版年にも注意してください。新しければよいというわけではありませんが、学術的な情報は常に刷新されているので、たいていの学問領域では20年前の書籍・論文は20年前の時点での知識や意見として受けとめねばなりません。

脚注や後注、書籍の後ろにある参考文献リストや索引がしっかりしている本は内容もしっかりしていることが多いもので、一応の目安になります。

一番簡単なのは、専門の教員に推薦や評価を求めることでしょう。大学教員は研究のプロですので、自分の専門分野について勧める本は基本的に信頼してかまいません。どの本がよい本であるかということは、大学教員たちの一番の関心事であり、専門分野については常に情報交換し評価づけをおこなっています。また、オンライン書店や書評サイトの記事は玉石混交ですが、参考にはなります 6)しかしたとえばAmazonブックストアでぜんぶ最高評価、という本は私ならばあまりに評価が高すぎて関係者や「信者」による「自作自演」を疑います。

図書館を利用しよう

教員と学生にとって、大学施設で最も重要なのは図書館です。大学生と高校生との一番大きな違いは、なんといっても自由な空き時間があることでしょう。読まねばならない本、読みたい本やDVDを自分で購入するのはたいへんな負担ですので、ぜひ図書館を有効に利用してください。学生生活のはじめのうちに、場所を確認し、書架や雑誌室をひとまわりして、どこにどんな本があるかざっと見ておくとよいでしょう。

大学図書館には高校とは比べものにならない大量の本が収蔵されており、その大半は直接本を眺めることのできない閉架書架や学外書庫に納められています。そのため、実際にはOPAC(オンライン蔵書検索)等で検索して利用することになります。使い方は大学の「利用の手引き」等で確認してください。章末の図書ガイドでも図書館の利用方法について詳しい説明が掲載されています。

大学図書館は視聴覚資料も充実しています。また、府立図書館や市立図書館など公共図書館の場所もチェックしておきましょう。一般向けの軽い小説、一般生活のハウツー本などはそうした図書館の方が充実しています。また大学図書館も公共図書館も、「購入希望」「リクエスト」等を受けつけています。あなたが他の人にも有益であろうと判断した本については、積極的にそうした要望を提出してください 7)もちろんその図書館にふさわしい書籍でなければなりません。

また、必要な図書を探すために図書館カウンターの「リファレンスサービス」を利用することもできます。ある程度自分で調べてわからないことがあったり、どうすれば情報を見つけることができるか見当がつかなかった場合には、専門家が本探しを手伝ってくれたり、探し方をアドバイスしてくれるはずです。教員もしばしばお世話になっていますので利用してください。しかしなにも調べずに相談するのは避けてください。まず図書館の「利用の手引き」を熟読して、何を探したいのか、自分はどこまで調べたのかなど、しっかり質問すべきことを考えてからから訪問しましょう。

また、図書館の各種のルールは守ってください。基本的に講義と同様に私語は厳禁です。

インターネットの利用

メールの書き方

大学生になると、メールを送る相手は親しい友人だけではなくなります ので、マナーに注意してください。特に携帯電話・スマートフォンからのメールは失礼になりやすいものなので注意してください。携帯などではメール相手の友人をアドレス帳に登録しているために相手が誰かすぐにわかりますが、友人以外はあなたが誰だかわからないことがほとんどです。基本的に友人以外には携帯・スマホでのメール連絡は避けた方が無難です。

細かいマナーについては、現在、「メールの書き方」等でサーチエンジンで検索すれば適切なマナーや例文が上位に表示されているようですので参照してください。大学教員に対するメールでは、(1)自分の氏名を正しく設定する、(2)必ず「件名」をつける、(3)学部・学籍番号等を明示する、等に注意してください。

検索エンジン・Wikipedia

Google検索 (http://www.google.co.jp/)などの検索エンジンは便利なもので、多くの人が使っているでしょう。Google Scholar (http://scholar.google.com)はネットに大量にある情報のなかから、論文などアカデミックな形になったものだけを収集したものでGoogle本体より効率よく学術情報を探すことができます。日本国内の論文についてはCiNii Articles (http://ci.nii.ac.jp/)も使いやすいでしょう。

Google等の検索エンジンで検索した場合に、上位に表示されるのは一般に、人々が好んで見ているページであるとされています。その表示順番の決定の方法は、一般には明らかにされていません。また、そのページが本当に正しい情報を含んでいるのか、学問的・政治的に見て偏りがないものか、ということはまったく保証されていないことは常に意識してください。まずは書籍と同じように、誰が書いた文章なのかを意識することが最も重要です。匿名の筆者による情報、詳細がわからない企業による情報などは、基本的に信頼することができません。

Wikipedia (http://ja.wikipedia.org/)もすでにほとんどの人が利用していることと思います。私自身も非常に頻繁に利用します。ただし記事の品質はさまざまですし、誤情報も少なくないので注意してください。くりかえしますが、情報の質を判断する一つの基準は、その出典(ソース)がしっかりしたものかどうかを確認することです。出典のない記事 8)Wikipediaでは出典がない記事は「独自研究」として批判されます。 は信用することができませんし、出典がついていた場合にも、その出典自体がどの程度信頼できるものかを考える必要があります。

ネットでの情報の信頼性をどう扱うかということは、現代の我々に課せられた大きな課題です。デマや誤情報、偏った意見などに惑わされることなく、情報を批判的に吟味することを学んでください。

SNS、ウェブサービス

他に、ネットではさまざま便利なサービスが提供されています。現代の大学生はそうしたサービスを効果的に利用することも意識しておかねばならないでしょう。私自身が頻繁に利用しているものを簡単に紹介してみましょう。

2014年現在、私はMediaMarkerという蔵書管理サービスを使っています 9)「ブクログ」や「読書メーター」といった類似のサービスも多くあります。 。これはオンライン書店のAmazonの情報を登録し、感想コメントや読書メモなどを記録しておくことができるサービスです。他の人々のコメントを参考にすることもできますし、同じような本を読んでいる人を「フォロー」すれば、近い関心をもっている人がどんな本をどう読んでいるかがわかり興味深いものです。興味をもった本は「ウィッシュリスト」に登録しておいて、あとで図書館に蔵書があるか探したり、まとめて発注したりしてします。もちろんAmazon自体も書籍の検索や評価を知るために頻繁に利用しています。

近い分野の研究者、ブログではおもしろい時事評論を書く人、優れた書評記事を書く人々などのブログ、ウェブニュースサイトなども研究の参考になることが多いもので、50〜100件程度、RSSリーダー(Feedly)を使って巡回しています。

各種のメモや思い付き、参考になるウェブサイトの記事の保存などは、Evernoteというサービスを利用しています。また大学と自宅のPCのファイルを同一のものにするためには、DropboxGoogleドライブというサービスを利用しています。

TwitterやFacebookなどの SNSでも近い分野の研究者どうしでフォローしあい、研究に必要な文献の情報やテキストの解釈などをカジュアルに議論することも少なくありません。独り言をつぶやき、日常的な些事について話しあうのも楽しいものです。しかし、SNSなどで発言することは、自分のプライバシーを公開することにつながります。また反社会的な言動などがネットで話題にされ「炎上」することも少なくありません。仲間うちでのネットでのいじめも社会的な問題になっています。ネットは便利であると同時にさまざまな危険もあります 10)江口聡 (2010)「ウェブ炎上・匿名・プライバシー」(加茂直樹・初瀬龍平・南野佳代・西尾久美子編,『現代社会研究入門』、晃洋書房)を参照してください。  。

こうしたネットやPCについての情報や知識、ノウハウもすぐに古いものになるものですから、自分の使う道具やサービスについての情報は常に集め判断し工夫しつづけなければならいわけです。

おわりに

これまで書いてきたような「お説教」のほとんどは、大学に入学したてのときはありがちなお説教として聞き、強制的に読まされても実は身につくものではないでしょう。結局私たちは、自分がなりたいものにしかなることができないのです。大学での勉強や研究も、もしあなたがそれを望まなければなんの役にも立たないでしょう。

しかしもしあなたが自発的になにかをし、何者かになろうとしているならば、大学が提供できることはたくさんあります。あなたによって有意義であると思われる4年間を過ごせるように、常に情報にアンテナをはり、試行錯誤を繰り返してくれることを願っています。

ブックガイド

    • A. W. コーンハウザー (1995) 『大学で勉強する方法』、玉川大学出版部。アメリカの大学向けですが、大学生の心がまえの本として定評があります。薄くて読みやすい。
    • 筒井美紀 (2014) 『大学選びより100倍大切なこと』、ジャマンパシニスト社。これも大学生のこころがまえについての本です。高校での勉強はプールで泳ぐようなものであり、大学からは海で泳ぐようなものです。
    • 佐藤望(編)(2012)『アカデミック・スキルズ』、第2版、慶應義塾大学出版会。ノートの取り方、レポートの書き方、図書館での調査などがコンパクトにまとめられています。
    • 学習技術研究会 (2011) 『知へのステップ』、第3版、くろしお出版。内容は上の『アカデミック・スキルズ』と同様ですが、ノートの取り方等はより詳しく説明されていて参考になるでしょう。
    • 田中共子(編)(2010) 『よくわかる学びの技法』、第2版、ミネルヴァ書房。これも事細かにノート、図書館、ネットでの調査などを解説しています。

References   [ + ]

1. 「ティプス」tipsは「ちょっとしたコツ、秘訣」です。
2. 同じ名古屋大学の「成長するティプス先生」(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/tips/)は大学教員のためのティプスですが、学生とは逆の教員の側から大学を見てみるのも興味深いでしょう。
3. もちろん最近ではFD(ファカルティ・デベロップメント)として大学教育の改善のための取り組みがおこなわれ、多くの教員がとりくんでいます。
4. 世間的に有名でない出版社の本の質が低いということではありません。
5. 私見では、たとえば新書ならば中公新書は非常に高い評価を得ています。また岩波ジュニア新書は非常に良質でどれも読む価値があります。ただしこうした評価も年とともに変わりますし、先に述べたように書籍やシリーズや評価について研究者の意見が食い違うことは多々あります。
6. しかしたとえばAmazonブックストアでぜんぶ最高評価、という本は私ならばあまりに評価が高すぎて関係者や「信者」による「自作自演」を疑います。
7. もちろんその図書館にふさわしい書籍でなければなりません。
8. Wikipediaでは出典がない記事は「独自研究」として批判されます。
9. 「ブクログ」や「読書メーター」といった類似のサービスも多くあります。
10. 江口聡 (2010)「ウェブ炎上・匿名・プライバシー」(加茂直樹・初瀬龍平・南野佳代・西尾久美子編,『現代社会研究入門』、晃洋書房)を参照してください。

グループでの話し方

1、2回生ぐらいの学生さんを見ていて、少人数でのお話が苦手というか、「ルール」みたいなのがわかってない人がいると思います。先日オープンキャンパスで女子高校生の方々とお話しして、これって若い女性によくあることなんだと思い至ったので、ちょっと書いておきます。

若い女性は友達といっしょにいることが多いわけですが、その友達関係を公の場所までもってきてしまうクセがあるんですね。たとえば2対2ぐらいでお話しましょう、とか、10人ぐらいのゼミやグループでディスカッションしましょう、というときに、何を聞かれても、何を話すにしても横にいる友達とこそこそ相談してから何か言う、みたいな癖がある。これは私は非常に苦手ですね。

オープンキャンパスのときも、私と学生ボランティア、高校生2人とお話することが何度かあったのですが、なにを話すにしても「ひそひそ」「ひそひそ」「ひそひそ」「えーっと、んじゃ」みたいな話になってつらかったです。その「ひそひそ」やってる間、こっちは待ってなきゃならんわけですからね。聞えるように話をしてくれればこっちも参加できる。

グループで話をしているときにそれをやられると、グループがさらに小さなグループに割れちゃって、全体の話ができなくなってしまいます。他の人から見て、一部の友達だけがコソコソ話をしてみるのを見るのは気分が悪いものです。自信がなさそうにも見えるし。「なに自分たちだけで話をしているの?」「一人で決めらんないの?」って感じですわね。これはよくない。

まあグループの中にさらに小グループを持ちこまない、っていうのはグループで話をするときの基本なのです。でないと集まっている意味がないわけだし。

対策としては、まず友達とは離れて座ることですね。対面に座るのがよい。んでなんかあったら、対面のその友達に大きな声で話しかけるのです。まわりの人も何を話しているのか聞くことができるので安心。

隣の人に話しかける場合も、わざわざ大きめの声でみんなに聞こえるように話すのが大人のルールなんですわ。

とにかく「ヒソヒソ話をするのを他人に察知されない」というのは非常に大事なことです。人間ってのはヒソヒソ話に敏感なものなのです。だいたい大声でみんなに聞こえるように話せないことってのは悪口とかそういうことですからね。そういうのを嫌うように人間はできているのです。

まあ実はこの問題はけっこう根が深くて、こそこそやっちゃう人々はおそらく「こんなこと聞いてもいいんだろうか」「話を聞きのがしてしまった。なんて言ったんだろう?でももう一回話してなんて要求するのは失礼だ」「私の意見なんか価値がない」とかそういう謙虚な気持ちからそうなってしまうんですよね。おそらく。

でも少人数でお話をしているときはそういう遠慮はする必要がないのです。グループはあなたの話を聞く準備があるし、そもそもあなたはそのグループの立派な一員なのです。自信もってなんでも大きな声ではっきり話してください。

ちなみにこの方法は仲良しでグループを制圧したいときにも重要です。仲良しとはあえて対面とか斜め向いに座り、その二人でわいわい話せばグループを完全に制圧できます。三人でばらばらに座れば完璧ですね。そういう場合も隣どうしで話をするのは効率が悪いんよね。

就活のグループディスカッションのときなども、一番デキそうな人を早めに見つけてあらかじめちょっと話をして仲良くなった上で、ちょっと対面に近い角度(真正面は避けた方がいい)に座りましょう。そして二人でがんがんディスカッションして制圧してしまうのです。


新聞はスマホでは読みにくい。うまい方法を考えよう。

このまえ学生さんと話ていると、「就活に備えてとにかく新聞を読もうとしてます」「偉い。私去年ぐらいから新聞買うのやめちゃいましたよ」みたいな話がありました。

「でも時間がかかってけっきょく1月ぐらいで読めなくなっちゃって」「へ、なんで?ぱらぱら見ときゃいいじゃん」

「スマホで読んでるのですごく時間がかかちゃって」「え、そんなんで読んでんの、そりゃいいかんわ。」「でも1000円だし」みたいな話でした。

まあ通勤で忙しいサラリーマンが満員電車のなかでスマホで新聞読む、とかってのはありでしょうが、時間的に余裕のある学生様がスマホで新聞読むってのはばからしいですよ。紙で読めばいいじゃん。情報量もぱっと見て得られる情報の量も桁が2つ3つ違ってくる。スマホで読める程度の情報なんてのはtwitterでいくつか新聞社フォローしておけば入手できるような程度ものでね。ほとんど価値がない。

よくいる古い世代の「新聞読め」とかっていう人は、たんに時事ニュースをフォローしろっていうのではなく、社説読んだり記事解説読んだり、特集読んだりして見聞を広げろってことを言おうとしているので、たんに毎日の出来事おっかけているだけではほとんどなんの勉強にもならんです。

紙の新聞のために3500円も4000円も出すのは学生様にはかなりの経済的な負担になってしまうわけですが、時間あるんだから授業のあいだの空き時間(3回生にもなればけっこうあるはず)で図書館に行って3、4日ぶんまとめてめくればいいだけの話ですよ。

ポイントは、「負担の少ない効率的な方法を採用する」ってこといつも意識しておくことです。「新聞はスマホで読むものだ」と思いこんじゃなうと、そういう不便で使いにくいものにこだわってしまい、けっきょくやめちゃう。本当は「読みにくいなあ」と思いながら、「みんなそうしているらしいからそういうものだなの」だと思ってしまうのはもっともよくない道です。みんながやってることはだいたい効率が悪かったりバカげてたりするものなのです。いつも自分が採用している方法が効率的なものなのか、便利なものなのか考えてください。そして使いにくいと思ったら、もったいないと思ってもあえて捨てる。一つのことをやる方法は一つだけではないし、常にもっとよい方法があるのです。


推薦状ふたたび

最近内定が決まってからゼミなどの教員からの推薦状を要求するところがあるようです。これ困りますね。お互い面倒だし。

企業の方の意図としては「テメー、本当に入社するんだろうな、内定蹴って他行ったりしないだろうな、それじゃー困るんだよ、テメーを世話している教員からカタとって来いゴルア」ということです。向う様としては、予定していた人数をちゃんと取れないとえらいことになるわけでねえ 1)大学なんかも受験で合格出したひとがどれくらい実際に入学してくれるかいろいろヤキモキ考えてます。

教員としてはまあゼミの学生様の推薦状ぐらい何本でも書きます(私も偉い先生にいろいろ書いてもらいました。ほとんどは無駄になったわけですが)。でもまあ推薦状書いて内定蹴られるとちょっと恥ずかしい感じもします。「お前の信用はそれくらいか」みたいなんでね。

一つおぼえておいてほしいことは、簡単な推薦状一本書くにしても、それを書くひとは自分の信用とか評判とかそういうのを質に入れてるということです。自分が推薦した人が無礼な仕方でブッチしたらそりゃ信用がなくなる。知ってる相手だったらもう会わせる顔がなくなっちゃう 2)だから書きなれてる人は、自分が信用していない学生様の推薦状にはなんとなくそれを匂わすことも書いちゃうかもしれない 。基本はまあ推薦状書いてもらったらその人の顔を立てるようにするのが仁義です。

で、推薦状を書く教員として学生様としてはどうしてほしいかというと、まあその推薦状書いたところが通ったらそこ入ってほしいわけですね。でも人生そんな大学教員のつまらないメンツとかに気にしてるほど楽なわけじゃないので、やっぱり内定蹴ってもいいでしょう。これが一般的になると、企業も「大学教員に推薦状なんか書かしても無駄だわ」ってんで要求しなくなると思うんでそれはそれでOKな気がします。

まあ人生こういう義理とかってのはどうしてもつきまとってくるんで、そこをどう解決するかで人間の器みたいなものが見えます。おそらく私だったら、推薦状書いてもらった教員に「ごめんなさい」して自分がいちばん行きたいところに行くんじゃないかなあ。けっきょく自分の人生が一番大事なのはだれでもわかるから、単に教員にスジだけ通しゃいいだけ。「推薦状書いてもらったところを蹴ることにしましたー。その理由はこれこれで、私の人生のためにはそっちの方があれだと思って決断しました。ごめんごめん」「そりゃしょうがないねえ、ははは」ぐらいで終る。メンツつぶして知らんふりはだめです。

あと、まだ内定出してない時点で推薦状要求してくるところは要注意です。これは本気で書いてもらわないとならん。非常によく知ってる関係ならともかく、ふつうは「推薦状書いて」って言うだけじゃなくて、どんなことを推薦してほしいかもよく考えてから頼んでください。

あ、もちろん教員のコネ使って内定もらって蹴るのは絶対だめですよ。


References   [ + ]

1. 大学なんかも受験で合格出したひとがどれくらい実際に入学してくれるかいろいろヤキモキ考えてます。
2. だから書きなれてる人は、自分が信用していない学生様の推薦状にはなんとなくそれを匂わすことも書いちゃうかもしれない

自分の長所を見つけよう

就活とかで、面接で「あなたの長所はなんですか」とか馬鹿げたことをたずねられて困っちゃうわけですが、まあ自分の長所はなんであるか、ってのは一回考えておく価値のあることかもしれないですね。「ここが私のいいところだ」って思うことは、自己評価とかとかかわっていて、「自分はなんにも長所がない」とか思ってるとこう生きてるのがいやになるし。でもまあ誰だって長所はあるわけで、それに気づいてないだけだわね。(そういや昨日見た 「初期の栗田さん」おかしい。 )

かなり以前にもエントリシート関係で一回書いてる けど、もう1回書いてみようかしら。

最近流行の「ポジティブ心理学」とかではそういう研究もしてて、そういうのの成果を利用して自己啓発しましょうみたいな感じの本がたくさん出ています。

今日はこんな本読んでみました。

The Strengths Book: Be Confident, Be Successful, and Enjoy Better Relationships by Realising the Best of You (Strengthening the World)
Alex Linley Robert Biswas-Diener Dr. Philos.
Capp Press
売り上げランキング: 32,161

まあほんとうに一般向けの本で、「自分の長所を見つけて自己評価を高めましょう」とかって感じ。英語も簡単だし自分で読んでみるといい。高校1年生レベルで読めます。

それにあげられているリストがなかなかおもしろいと思ったので、超訳というか勝手な訳つけて紹介してみます。

こんだけ数があれば、誰だって一つぐらいは「あ、これなら私もいけてる」と思うのがあるんじゃないかなあ。そういうのを大事にしましょうとかそういう感じ。

上の本の原語 勝手な訳 コメント
Action 行動力 すぐに行動するよ。
Adherence しっかりしてる いつもきちんとルール通りやります。
Adventure 冒険好き 危ないことにもチャレンジ。
Authenticity いつも自分らしい 自分自身に忠実です。自分らしくないことはやりません。
Bounceback 叩けば伸びる 失敗したらそれをジャンプボードにする。
Catalyst 触媒人間 たいしたことしてないのにその人がいると物事がうまく進む、とかっ人いるよね。
Centred ぶれない人 いつも自分ってものをもってる人だね
Change Agent チェンジ!するひと なにごもと変化しなきゃ。
Compassion 同情心 苦しんでる人や悲しんでいる人の気持ちがわかっていっしょに苦しんじゃう感じ。
Competitive 競争心 負けず嫌い、競争するのが好きってのはいいことなんよ。その方がいい結果が出る。
Connector つなぐ人 人と人をつなぐってのも実はむずかしいこと。
Counterpoint 別の視点 あえて他人に反論とかするのも重要なんよね。
Courage 勇気 困難がありそうでも恐れない。
Creativity 創造性 新しいものを作りだす。
Curiosity 好奇心 新しいものが好き!
Detail 細部にこだわり ちまちまやるのが好き。細かいとに目が向くのも長所。
Drive 自発性 やらされるんじゃなくて自分でやる。もうやらずにはいられません。止められてもやるわよ。
Efficacy 自信 自分のやることは意味がある、効果がある、オレってイケてる、と思える。
Emotional Awareness 感情に敏感 自分や他の人の気持ちに敏感。
Empathic Connection 共感のつながり 感情で他人とつながれる。
Enabler 手助けする人 難しいことをやさしくしてあげる。
Equality 平等 人々を公平にあつかえる。
Esteem Builder 他人に自信をつけせる いいとこ見つけてほめてあげられる。
Explainer 説明力 難しいことをわかりやすく。
Feedback フィードバック力 いいとこ、悪いところを本人に伝えてあげる。
Gratitude 感謝 感謝できる、ってことも才能。
Growth 成長 いつも成長します。
Humility 謙虚さん 自信がないひとは実は謙虚なんよ。
Humor ユーモア おもしろおかしいことを考える人。笑いは非常に重要。
Improver 改善屋さん 新しいのを発明するのもたいへんですが、すでにあるものを改善するのもたいへんなことです。
Incubator アイディア練り屋さん じっくり考えてよいものにする。
Innovation 発明家 ぜんぜん新しいものを作りだす。
Judgment 判断力 バランスとれた判断するひとっていいね。
Legacy 伝統重視 伝統とか習慣とかも実は重要なんよ。
Listener しっかり聴く人 「聴く力」ってやつね。たいていの人は聴くことができない。
Mission 使命感 「私はこれやるために存在してるのだなあ」みたいな。
Moral Compass 道徳の羅針盤 困ったときにアドバイス求められる人。
Narrator お話屋さん 話上手。どうでもいい話をおもしろく話せる人っているねえ。
Optimism 楽観性 「きっとうまく行く」と信じるのも美徳。
Order 秩序 ちちんとしてます。秩序を守る人。乱す人は許せません。
Persistence 忍耐力 がまんします。がんばります。
Personal Responsibility 責任感 「これは私の責任だ」って思える人。
Personalisation 人を一人の人として見る 他人の個性とかちゃんと見える人。
Persuasion 説得力 しっかり納得させる。
Planful 計画性 きっちり先々のことを考えます。
Prevention 用心深さ やばいことに敏感。
Pride 自尊心 ちゃんとした仕事ができるのは自尊心もってる人だけ。
Rapport Builder 社交家 人見知りしないでいろんな人と仲良くできる。
Reconfiguration 調整屋さん うまくいかない細かいところの面倒見ることができる人。
Relationship Deepner 深いおつきあい 深くて長い人間関係をもてる。奥行きは重要だ。
Resilience 反発力 失敗したり不幸なことがあっても柔軟に反発してもとに戻れる。反発マクラ人間。
Resolver 解決屋さん 問題見つけて解決法を考えるのが好き。
Scribe 物書き 文章書くのが好きで得意。
Self-awareness 自分を知ってる 自分がどういう人間で、今どういうことを考えてるかよく知ってる。たいていわかってない。
Service 奉仕 他人様のためにご奉仕します。
Spotlight スポットライト スポットライトあびて派手に行こうぜ!これもけっこう長所なんよ。
Strategic Awareness 戦略屋さん いろんな要因を考慮して目標達成。少々ダークなことも受け入れられます。
Time Optimiser 時間能率屋さん なんでも短時間ですませられるように考える。イラチとか言われたくないね!みたいな。
Unconditionality 無条件の愛を それぞれの人をそういうものとして受け入れられる、ってのはいいことです。
Work Ethic 職人気質 「おらー職人だからそういういいかげんなことはできねーな」

なんか一つ二つ自分の長所を見つけると自己評価があがって、少し生きているのが楽になるはずです。具体的にどういう場面でその長所を発揮しているかを考えておくと、面接対策にもなるはず。

別にこういう長所ぜんぶ持ってる必要はない、っていうかお互いに矛盾対立するような関係のものもあるし。せいぜい2、3個あてはまるのがあればいいですよね。なんか同じようなのも含まれてるしね。こういう「長所」ていうか「美徳」は文化によってけっこう違うんで、日本だともっと違う美徳もあるんじゃないかな。

それからあんまり他人と比較して考える必要もない。あと、まあ「そういう長所はいいなあ、あこがれるなあ、欲しいなあ」と思ったら、あたかもそういう人であるかのように行動するように習慣づけると次第に身につく、てな感じのことをアリストテレスという大昔の偉い哲学者は言ってます。

私だったらEnablerとかExplainerとかの長所がほしいかな。あとFeedbackと。Esteem Builderは職業的に必須なんだけどなかなか難しい。むしろEsteem Destroyerみたいなところがあるような・・・つまりこれはFeedbackとEsteem Builderは微妙な関係にある、ってことなんよね。

こういうのに興味のある人は、下のも読むといいかも。

世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生
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ポジティブ心理学入門: 「よい生き方」を科学的に考える方法
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しあわせ仮説
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『しあわせ仮説』の訳はちゃんとしているけど、他の2冊はちょっと読みにくいかもしれない。

この前聞いたところによると、こういうのがもうビジネス界でも流行りまくってるらしいです*1。まあこういう自己啓発系のはある程度用心してかなきゃならんけどね。

あと、セリグマン先生たちのホームページで自己診断してみてもいい。

http://www.authentichappiness.sas.upenn.edu/Default.aspx 右上に言語選択するところがあるから日本語選べばよい。登録してログインして、「強みに関する調査」ってのやってみてください。

『しあわせ仮説』の訳者の人たちが作ったページも見てみてください。 http://blog.goo.ne.jp/shiawase-kasetsu

*1:行動経済学とポジティブ心理学の二つはいまいろんなビジネスチャンスとつながってるはず。


ハウツー本の読み方

(2007年にも同じこと書いてます。http://d.hatena.ne.jp/eguchi_satoshi/20071213 )

学生様にはレポート書く前に「ハウツー本ぐらい読め」としつこく言ってるわけですが*1、私自身もハウツー関係はよく読みます。「大学教育の方法」とか「庭木の手入れ」とか「宅録の方法」とかそんなんとかね。この前は「ナンパの方法」みたいな本を3、4冊読みました。まあこれはナンパするためじゃなくて、そういう私のぜんぜん知らない活動がどういうふうに行なわれているか調査するためだけど。海外旅行行くときはかならずガイドブック買うでしょ?1回生にとっての大学生活や、3、4回生にとっての就活も海外旅行行くみたいなもんで、危険や落とし穴があるからそれをちゃんと知っとく。地図持たないで山行く人は死にます。

今年も3回生ゼミの学生さんに就活について(せめて心がまえだけでも)お説教する時期なので、数冊買ってみました。私自身は就活はM2のときしかしたことないので、現在どうなっているのか知らないので勉強しておく必要があります。こういうときに本が買えるかどうかが、まあ教員としての生存戦略にかかわるわけです。就活の世話して人気先生になったり、大学全体の就活指導にかかわったりする気はぜんぜんないけど、ぜんぜん知らないとピントはずれた馬鹿なこと言って学生様から軽蔑されたり、学生様の人生狂わせたりするのはあれですからね。

先週大学の書店に平積みになっている就活本を買ってみました。

人事のプロは学生のどこを見ているか (PHPビジネス新書)

人事のプロは学生のどこを見ているか (PHPビジネス新書)

就活のしきたり (PHP新書)

就活のしきたり (PHP新書)

就活の勘違い 採用責任者の本音を明かす (朝日新書)

就活の勘違い 採用責任者の本音を明かす (朝日新書)

2013年度版 面接の虎 (就職の赤本シリーズ)

2013年度版 面接の虎 (就職の赤本シリーズ)

ここらへん。もちろんさすがに自分のお金じゃなくて、教員に割り当てられている「個人研究費」で購入しました。

ところで、ハウツー本とか自己啓発本を読むときに重要なのは、「1冊を信じない」ってことですわ。こういう本ってのは、アカデミックな世界にいない人が書いていることが多くて、その人が信用できるか信用できないかわかりづらい*2。もしかしたらダメな人がなにも調査せずに適当なことを書いているかもしれなくて、へんなものを読むと、皆から馬鹿にされるへんな行動をとってしまったりする。だから必ず複数読んでみること。

まずは出版社と著者を見てみることね。朝日新書とかPHPとか、まあそこそこ名の通った新書シリーズなのでそこそこ安心。経歴はやっぱり一流企業とか一流大学とかの方が一応信用がある。「~コンサルタント」とかはたんにその人がそう名乗っている、ってだけなのであんまり信用できない。「~研究所所長」とかってのも、その「研究所」ってのがその人が勝手に作った一人だけの研究所だったりするので用心。

amazonの評価も必ず見ること。全体の評価が高くても、一つ星や二つ星がたくさんつけられてしまっている本はやばい。一方、ぜんぶ五つ星、みたいなのはサクラがつけているだけだからこれも信用できない。ある程度の数(10個以上)がつけられている本は、評価が四つ星~三つ星半ぐらいでも十分読む価値があったりする。まあでもいきなりamazonの評価を見ないで、一読してからamazon見た方が自分の印象と人々の印象の違いが知れて勉強になります。

3、4冊読んでだいたい同じことが書いてあればそれが常識。必ず従いましょう。1冊でしか主張されてないことはその著者のオリジナルな観点から書かれていて、これは自分の判断で信用するかしないか決めなきゃならない。

今回買っているのはどれもそれなりに読める。『虎』が一番初心者向けというか偏差値それほど高くない人向けの最低限かな。『しきたり』は最初の方は「ちょっとこれは」と思ってましたが、よく読むとぶちゃけていてコンパクトで悪くなかったです。この人は前に紹介した『就活のバカヤロー (光文社新書)』の著者でした。すごく優秀なライターさんですね。大学とかと直接に関係してなくても優秀な人はいます。『勘違い』と『人事のプロ』は平凡だけど標準的な学生さんが考え方を知るにはよいのではないでしょうか。『しきたり』の人は30代、『人事のプロ』の人は40代、『勘違い』の人は50代で、そこらへんの著者の世代の違いみたいなものを見るのもたのしい。

まあ正直、こういうハウツー本を2、3冊読んでおける人は、そんな失敗しないと思いますが、それだけでは成功もできないかもしれない。成功するためにはもっと勉強や訓練をしなきゃならんわけだけど、それはまあふつうのハウツー本には載ってない。まあいろいろ探してみてください。

ブログとかもいいんだけど、まあ検索したりその情報がどの程度まともかを判断したりするのに余計に手間がかかるので、とりあえず最初は本読みましょう。

とかいってもなかなか読んでくれないんよね。

*1:何回も言いますが、レポートの書き方の本を読まないでレポートを書くのは馬鹿です。

*2:まあアカデミックな世界にもインチキはたくさんいるんですけどね。http://yonosuke.net/eguchi/memo/authors.html を参照。


就活の日程とゼミなどの授業がぶつかったら?

近年就活(セミナーや面接)がどんどん早まって、授業とバッティングしてしまうことが多くなっていると思います。学生さんもたいへんですね。

教員としては「就活なんかするな」なんてとても言えるわけがない状況なのである程度授業を休んで就活するのも黙認、となってしまうわけですが、大人数の講義ならともかく、少人数の授業、特にゼミでの発表をキャンセルするなんてのは言語道断です。いきなりメールで「面接なので発表できません」とかってのは絶対に許せませんね。

許せない理由はいくつかあります。

まあ一つには「学生の本分は勉強だ」という建前があります。でもこりゃただの建前でね。そんな建前を言うつもりはない。いまどきの学生さんにとって、就活は(おそらく勉学より)大事です。

でもなんというか、ゼミの発表のように自分に割り当てられているタスクを自己都合でキャンセルする人ってのは、社会に出ても仕事をちゃんとしないんじゃないかと思うのですね。自分のタスクをキャンセルする人はろくなものになれないし、私はそういう人を信頼する気になれませんね。そういう人は人々から嫌われる可能性が高い。っていうか実社会でも大事な仕事まわってこなくなりますよね。

それになにより、観察しているとそういう人は就活そのものを失敗しているんですわ。4、5年の経験で、なんかそういうルーズなことをする人は実は就活を失敗している傾向があるように思うんですよ。

うまいこと大企業に就職した人はみなそこらへんの連絡や交渉がしっかりしている。そういう人たちは、ちゃんと連絡したり相談したりして自分の日程を調整することができるんですね。そしてなにより、「自分の活動は自分でコントロールできる」という信念をもっている。こういうポジティブな信念は非常に重要です。他人から要求されたように動くんじゃなくて、会社や教員を相手に交渉することができるわけです。そしておそらく求められているのもそういう人材なのね。指示したそのままのことしかできない人とか、問題があっても相談も交渉もできない人とか、指示したことさえできない人とかなんかだめそうでしょ?*1

「仁義」と「交渉」が大事

具体的にどうすりゃいいのか。ふつうに「仁義」を通して「交渉」して「調整」すりゃいのです。

大学センター入試じゃあるまいし、ゼミでも実社会でも「絶対この日にやらねばならない」「絶対こういうふうでなければならない」なんてルールは存在せんのです。たいていのことはなんでも融通が効くものです。なんでも「調整」すりゃいい。会社に、「この日はゼミで発表がありまして、どうしても面接にお伺いすることができませんので、他の日時にしていただけませんしょうか」と交渉すりゃいい。あるいはゼミの方に「第一志望の会社の面接をやっと取ることができましたので他の日に発表をまわしてもらえませんか」とか、他の受講生に頼んでかわりにやってもらうとか。それになにごとも先々に「どうしたらいいですか」とか相談しておけば無理もきく。こういうのはおそらく実社会で生きていくための最低限の基本なので、学生生活最後の段階に身につけておいてほしいのです。

仁義っていう点でいえば、いちおう大学の方が優先だと大学教員は思っていることが多いし、いちおう建前がそうなので、会社の方と先に交渉しておくのね。んで教員には「会社と交渉したのですがうまくいきませんでした」ってなこと言っておけば、いちおう教員の方の顔を立てたことになるのでOKになる。これが仁義。建前に一応敬意をしめす(ていうか示しているフリだけはする)。

発表じゃないときにゼミ休むときも「~という会社の面接に行くので(ちゃんと固有名詞を出すのがコツ)どうしても出席できません。もうしわけありません。おゆるしください。」と皆に連絡しておけばいい。まわりの子も納得する。(そうでないと、「私がいっしょうけんめい準備した発表なんかどうでもいいってことね!」と嫌われる」

そうすりゃ会社の方だって「真面目な奴だ」と好感もつはずだし*2、教員の方も「うむ、しっかりしているな」と安心。

いろんなことが円満に行くし、自分自身もいやな気分になることがない。よいことづくめ。

あと私自身がルーズな男なのでいろいろヤバい失敗してしまうわけですが、そういうときにはとにかく平謝りすることにしてます。コツはね、メールとかじゃなくてとにかく直参して口頭でもうしわけなさそうな顔することね。そうするとそれ以上怒れなくなるから。ははは。

*1:そういうひとが、お客さんとのミーティングをダブルブッキンぐしてしまったり、工場が忙しいのに納期まで間にあわないこことがわかっている契約してしまったりする営業や、原稿の締切を守れない大学教員になってしまったりするわけですね。最後のは私。はははははぁ。

*2:まあもしかしたら「そんなん許せん、大学より我が社の方が重要に決まっておる」って会社もあるかもしれないけど、そういう会社は「社員の健康や家庭事情より会社の方が重要である」とも言いそうな気がするなあ。