タグ別アーカイブ: フリージャズ

ジャズ入門(26) そのころマイルス先生は何をしてましたか

んで、この60年代なかばにマイルス先生は何をしていたのかというと、実はたいしたことはしていないわけです。62〜64年ごろはコルトレーン先生が爆発的な仕事をしているのにたいしたことをしてない。ギルエヴァンスとレコード作ったりしてるけどなんか迷ってる。ライブでは昔の曲をテンポ速くしていろいろ実験しているけど、これが「マイルスの音楽だ」みたいなのが出せない。

んでどうしたかというと、面倒だから腕ききの若手雇ってしまうわけです。トニーウィリアムスっていう天才ドラマーを雇い、モードでみんなベース困ってるときに弾き方を発明したロンカーターを雇い、ファンキーでもビルエヴァンスみたいなのでもなんでも弾けるハービーハンコックを雇う。これにジョージ・コールマンというメロディアスなテナーを呼んで終り。これのライブは前に聞いたと思いますが、すばらしいものです。私コールマン先生好きなんですけどね。なんかジャズファンの間では評価低いみたいね。

どうもこのコールマン先生はトニーウィリアムス先生とかから嫌われたらしくて(なんでかわからん)、どうしようかなってときに目をつけたのが前のエントリのウェインショーター先生。この人はすでにアートブレイキーのところのバンドの音楽監督を3、4年やってて来日なんかもして大人気なのにそれを引き抜くっていうのは、巨人や阪神が他球団からエースや四番を引き抜いてるようなもんですよね。ひどい。ブレイキー怒り狂ったでしょうなあ。でもショーター先生はマイルスバンドがやっぱり音楽的には一番おもしろいメンツだってことで引きぬかれる。

んで第二次黄金クインテット名盤3枚組 Sorcerer、Miles Smiles、Nefertitiができるわけです。もうマイルスは曲とか自分で書いてない。主にショーターやハンコックが書いたもの。

お、なんだそのブルースは。いい曲書いたじゃねーか、俺のアルバムにも入れさせろ。

このドロレスって曲はもうほとんどフリージャズというかオーネットコールマンが4、5年前にやったことと変わらんですよね。ピアノいるとうざいからピアノ弾くな、弾くときは右手一本で弾け、ハーモニーは弾くな、とか注文してるはず。
この大人気曲「ネフェルティティ」ではもうアドリブもない。ショーターの作ったふしぎーなメロディを繰り返しているだけで、トニーウィリアムス大暴れ。
この時期はマイルスが一番芸術的に美しい音楽を作ってたときだと思いますね。クラシックの現代音楽とかより上。


無調音楽入門(6) バルトークはかっこいいよ

まあシェーンベルクがいろいろやってるときに有力だったのはドビュッシーのライン、ラヴェルやストラヴィンスキーのライン(ドビュッシーとラヴェルはぜんぜん違う派閥なのではないかと思います)、そしてバルトークのラインですか。

バルトークは好きなんすよね。なんていうか、ちょっとインテリのふりしたかったらiPodにバルトークの弦楽四重奏入れておいて通勤に聞くといい、みたいなそういうウケ。まあそういうかっこつけはおいといてもよい曲をたくさん書いてます。

今「中国の不思議な役人」とかいくつかの演奏バージョンで聞いてるけど、かっこいい。

まあこういうのはパソコンのスピーカーじゃうまくなならないので図書館とかでCD借りてみてください。金管楽器がブウブウ言うし弦楽器も暴れまわるし。

おそらくYoutubeにはバレエの動画もあると思う。

バルトークがなんぼ偉かったか、というのは、これ書いているときのお手本の一つにしている小倉朗先生の名著『現代音楽を語る』を読むとわかります。この本はすばらしい一冊なのでぜひ入手してください。1970年の本で、日本の作曲家たちがどういうふうに無調音楽とかを理解していたのかもわかる。

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ジャズ入門(16) オーネットコールマンのフリージャズ

マイルスと同じように、うまく吹けないけど一発当てたい男がいました。あんまり頭もよくないし教養もない。音楽理論とかちゃんと理解できない。そもそもチューニングもできない。さてどうするか。

答:あまり考えずに自由にやる。ただし白人インテリのバッアップを受ける。

これはかっこいい、というかもうすばらしい音楽になっております。なんというかほかのジャズには感じない抽象的な「美」を感じる。これは爆弾だ!

まあ実はやってることは「フリー」でもなんでもなくて、マイルスがKind of Blueとかそれ以降でやろうとしたこととそれほど違っているわけではない。ある持続的なバックの上で、あるスケールにそって適当に吹く。実はぜんぜんフリーじゃないんだけど、本人は「フリーだ、なにも約束事はない」みたいに言い張った。

まあ実際にはベースが音楽的な基盤を提供しちゃうので、その上でなにかしようとするとあるスケールを想定することになる。ピアノがいないからまあ西洋音楽の伝統の「コード進行」ってのからは解放されてる。その意味でフリーなんだけどね。マイルスの「モード」とかってのもやっぱりハーモニー(とそれに対応するスケール)からは解放されなかったんだけど、ピアノを抜いて同じようなことをすることで自由になった。マイルスは曲の構造みたいなもの(AABA形式)は放棄しなかったけど、オーネットはそれも放棄して頭とお尻のテーマだけにした。まあそういうのがオーネットのフリージャズ。

でもこの曲なんかは独特の味の印象的なメロディーでただものではないのが一発でわかりますよね。天性のメロディーメーカーなのよ。

まあ実はオーネット先生は完全になんでもありじゃなくて、ある一定したリズムやベースのパターンの上である規則にしたがって自由に吹きたいと思ってるひとで、彼以降の本気でめちゃくちゃするフリージャズの人々(ファラオ・サンダースやアルバート・アイラー)とは根本的に違う。これは80年代から90年代に至るまで変わらない。

このアルバムの他の曲もそれぞれ奇妙な味があって、ぜひ購入をおすすめするですね。天才。

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