ブックガイド: 恋愛心理学のおすすめ本

ひさしぶりに学生様用お説教ネタ。

卒論を恋愛関係で書きたいっていう学生様はけっこういるわけですが、最低限おさえておく心理学系の本。ゴミみたいな本が多いので、まともな学問的な心理学の本を読むのがコツです。

スーザン・ヘンドリック先生はとりあえず権威なので2冊読む。どっちか1冊なら『恋愛学』の方。

恋愛・性・結婚の人間関係学―親密関係の社会臨床心理学ハンドブック
スーザン ヘンドリック クライド ヘンドリック
乃木坂出版
売り上げランキング: 798,622

 

「恋愛学」講義
「恋愛学」講義

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スーザン・S. ヘンドリック クライド ヘンドリック
金子書房
売り上げランキング: 422,185

下の本は実際現在国内最強なので必ず読む。一番最初に読んだ方がいいかも。

史上最強図解 よくわかる恋愛心理学
金政 祐司 相馬 敏彦 谷口 淳一
ナツメ社
売り上げランキング: 41,997

生物学、進化論、進化心理学から攻めるのが今風のやりかたです。

ちょっと古いけど悪くはない。

男と女の対人心理学
男と女の対人心理学

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和田 実
北大路書房
売り上げランキング: 471,712

下のはいま一番新しい感じ。翻訳にちょっと難があるかもしれないけど最新。これ読めれば中級。けっこうむずかしくて、心理学一般ついてそれなりの知識がないと読めない。

愛の心理学
愛の心理学

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北大路書房
売り上げランキング: 665,928

古いけどこれも悪くない。基本書。

恋ごころの科学 (セレクション社会心理学 (12))
松井 豊
サイエンス社
売り上げランキング: 26,637

フィッシャー先生も権威。

人はなぜ恋に落ちるのか?―恋と愛情と性欲の脳科学

ヘレン フィッシャー
ソニーマガジンズ
売り上げランキング: 448,119

恋愛っていうより性欲とか浮気とかセックスとかそういう暗い方になっちゃうけどバス先生は読んでおかないとならない。

女と男のだましあい―ヒトの性行動の進化
デヴィッド・M. バス
草思社
売り上げランキング: 319,595

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一度なら許してしまう女 一度でも許せない男―嫉妬と性行動の進化論
デヴィッド・M. バス
PHP研究所
売り上げランキング: 420,679

 

ブックガイド:倫理学入門の読書順

サンデル先生がテレビで放映されたり児玉聡先生の『功利主義入門』が出たりして(英米系の)倫理学が人気なようです。入門書を読んでいくおすすめの順番を考えたり。

功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書)
児玉 聡
筑摩書房
売り上げランキング: 11,458

まあやっぱりここらへんから。非常にクリアなのでどんな人でも読めるはずです。

プレップ倫理学 (プレップシリーズ)
柘植 尚則
弘文堂
売り上げランキング: 322,057

これは超初歩。クセがなくていいけど、ちょっと教科書っぽすぎるかもしれない。

2015年に出た品川哲彦先生の『倫理学の話』もここらへんで読みたい。大陸系の考え方も検討しているのがポイントです。

倫理学の話

倫理学の話

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品川 哲彦
ナカニシヤ出版
売り上げランキング: 209,026

 

まあでもやっぱり英語圏のやつをちゃんと読みたい。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
マイケル サンデル
早川書房
売り上げランキング: 1,748

最初の方だけ読んでわかったつもりにならないで、最後まで読みましょう。ネットで「トロリー問題で議論するサンデルは〜」って言ってるひとたちは最初の方しか読んでないみたいです。サンデル先生自身の立場はうしろの方に出てくる。

現実をみつめる道徳哲学―安楽死からフェミニズムまで
ジェームズ レイチェルズ
晃洋書房
売り上げランキング: 214,525

いま国内で出ているなかで、一番標準的な倫理学の教科書として使えるのはこれです。

 

法哲学

法哲学

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瀧川 裕英 宇佐美 誠 大屋 雄裕
有斐閣
売り上げランキング: 116,507

『法哲学』ってことになってるけど、倫理学と共通の部分も多いし、権利や自由などの面倒な概念についてわかりやすい説明があるのでおすすめ。

動物からの倫理学入門

動物からの倫理学入門

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伊勢田哲治
名古屋大学出版会
売り上げランキング: 237,511

伊勢田先生のこの本も入門書としてとてもよい。肉食とか菜食主義とかそういうのからはじまって具体的な問題を通して進んでいくので実感しやすいはず。

 

新版 現代政治理論

新版 現代政治理論

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W. キムリッカ
日本経済評論社
売り上げランキング: 38,464

これはほぼ専門書というか、この本読みおえたら倫理学入門はおしまいです。「倫理学」の授業のテストでは必ずAをもらえるでしょう。

私個人としては、本当は倫理学ってのは、上にあげたような「正しさ」「正義」「権利」なんかだけじゃなく、もっと個人的な幸福、よい生き方、それにさまざまな道徳的・非道徳的感情を扱うもんだと思うけど(そこに政治哲学や法哲学との考察対象の違いがある)、そっち方面でよい入門書は今のところあんまりおもいつかない。

2011年に読んだおすすめ本ベスト10

メディアマーカーで自分的におすすめの五つ星つけた本から、特に印象に残ってるものを順不同であげてアフィリエイトかせごう。

 

香西先生にはいろいろ教えていただきました。ネットとかでの論争の方法について理解が深くなったと思う。

論より詭弁 反論理的思考のすすめ (光文社新書)
香西 秀信
光文社
売り上げランキング: 18,655

関連で『論理病をなおす!―処方箋としての詭弁』。この2冊読めばまあ一流ソフィスト、じゃなかった一流レトリック家の基本的な考え方がわかる。『 反論の技術―その意義と訓練方法 (オピニオン叢書) 』まで読めば十分か。ネットの議論で負けることが少なくなるかもしれない。『 オルグ学入門 』も香西先生から教えてもらったけどもうすごい奇書。これは買うほどの価値はないだろうけど、図書館とかで一読の価値がある。

性格とかパーソナリティとかについてはずっと興味をもってるんだけど、これが一番おもしろかった。

パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる
ダニエル ネトル
白揚社
売り上げランキング: 47,464

ビッグファイブの堅牢さと、それらがそれぞれ生物学的な基盤あるんじゃないかとかそういう話。

パーソナリティ心理学の本道としてはミシェル先生の『 パーソナリティ心理学―全体としての人間の理解 』がおそらく現在最強の教科書で勉強になった。

 

ビジネス・ゲーム 誰も教えてくれなかった女性の働き方 (光文社知恵の森文庫)
ベティ・L. ハラガン
光文社
売り上げランキング: 51,472

女性が会社で働くということについて鋭い分析とハウツー。女性は必読。っていうかこういうエンパワが国内でももっと注目されるべきだと思う(政治的にどうかは別にして)。『 会社のルール 男は「野球」で、女は「ままごと」で仕事のオキテを学んだ 』『 女性(あなた)の知らない7つのルール―男たちのビジネス社会で賢く生きる法 』はこの本に影響を受けた同工異曲。どれ読んでも同じだが、とにか重要な観点。

ポジティブ心理学や進化心理学に影響を受けた倫理学まわりの成果が出そうな感じ。まだ発展途上だけど。

しあわせ仮説
しあわせ仮説

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ジョナサン・ハイト
新曜社
売り上げランキング: 57,064

欲望について 』もよかった。

性差科学といえば、これがよかった。非常に慎重。

性差や性分化、性志向などの生物学的な解明については『 科学でわかる男と女になるしくみ ヒトの性は、性染色体だけでは決まらない 』も買ってあげてください。最新の内容のはず。

女性のグループ内力学については『 女の子って、どうして傷つけあうの?―娘を守るために親ができること 』も重要。『 女はなぜ足を引っ張りあうのか 』も笑えた。

子ども向けエリノア・ルーズベルトの伝記。エリノア先生についてはちゃんとした評伝が出版されるべきだと思う。国内ではその業績が十分に理解されていないようだ。政治学の人々に期待。

すごい資料。英米の法律関係についてなんか言わなきゃならんひとは必携。

現代英米情報辞典 』は新しくしてほしい。

倫理学・法哲学まわりで重要なのはこれ。倫理や政治における感情の重要性。

ジュディス・バトラー様とか読んでるヒマがあったらこういうの読んで欲しい。

恋愛ものではこれがとてもおもしろかった。

PUA (Pick-up Artist)という文化があることを教えてもらった。まあナンパの方法なんだけど、カルチャー研究みたいなのにも重要な気がする。あれ、もう入手できないみたいね。

英語読みやすいから

でもいいと思う。かえっておもしろいだろう。

具体的なハウツーは『 確実に女をオトす法則 』だけどこれはまあたいしたことがない。とにかく『ザ・ゲーム』はおもしろいので一読の価値がある。

認知的不協和について。『 なぜ人は10分間に3回嘘をつくのか 嘘とだましの心理学 』とかも。

行動経済学みたいなんもたくさん読みました。

なぜ直感のほうが上手くいくのか? – 「無意識の知性」が決めている 』、『 なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴 』とかもどうぞ。

あ、番外だけど買ってください。

トムソンの有名なヴァイオリニストの議論とかパーソン論とか正しく読めるようにしました。あと売りはヘアの直観主義批判がどんなものか、とか、死の悪さについての剥奪説が中絶問題に適用されるとどんな問題をひきおこすかとか。あとハーストハウスのやつを読むと徳倫理学ってのがどういうインパクトがあったかがわかるはずです。よろしくおねがいします。

梅棹忠夫先生を読みなおしてみる

ちょっと興味があって、「知的仕事術」の系譜を見てみたり。
昭和にはやった「知的生産」とかってで流行になったのはどんなもんなのか、とか。 東谷暁先生の『困ったときの情報整理 (文春新書)』を参考に*1

まずどうもとにかくここからはじまるらしい。未読だと思う。

整理学―忙しさからの解放 (中公新書 13)

整理学―忙しさからの解放 (中公新書 13)

川喜田先生登場。ブレインストーミングとかも流行る。一応読んだけど理屈っぽいばっかりで。

発想法―創造性開発のために (中公新書 (136))

発想法―創造性開発のために (中公新書 (136))

とんでもない影響力をもった名著なのか怪書なのか。読みやすいのがアレだ。B6カードは大学生のときに1袋だけ買ったことがある。

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)

これも流行したらしい。読んでないと思う。いや、読んだかな?印象にない。

考える技術・書く技術 (講談社現代新書)

考える技術・書く技術 (講談社現代新書)

渡部先生のは高校生のときに読んで、ちょっとあこがれたりした。恥ずかしすぎ。まあでも「教養」ってのはいつでもよいものだ。「書斎」なんてばかげたものに男たちがあこがれはじめる→おそらく現在まで続く。ホットミルクはいまだに時々飲んでる。

知的生活の方法 (講談社現代新書)

知的生活の方法 (講談社現代新書)

ここらへんからは同時代。立花先生が川喜田先生批判したりして。「ああいうのは無能な連中がやること。賢い奴は違うぞ」

「知」のソフトウェア (講談社現代新書)

「知」のソフトウェア (講談社現代新書)

 

もっとプラクティカルになって。システム手帳ブームが来たけど私はお金
なくて買えなかった。買っても使えなかった。ここらへんバブル時代の印象と
結びついている。山根先生の下の2冊は読んでないと思うけど、週刊誌ではよく
見かけていた。

スーパー書斎の仕事術 (アスペクトブックス)

スーパー書斎の仕事術 (アスペクトブックス)

スーパー手帳の仕事術

スーパー手帳の仕事術

傑作シリーズ。失なわれた10年でもがんばる。「整理法」より「ToDoボード」の方が印象強い。
(超整理袋システムはだめ)

「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)

「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)

「超」整理法〈3〉 (中公新書)

「超」整理法〈3〉 (中公新書)

 

あと「ワープロ活用」の系譜が80年代後半~90年代前半にあるはずだよな。

んで、梅棹先生の読書論。

田中美知太郎氏は、材料の配合をかんがえてバランスのとれた健康的な
食事を用意する一種の料理法のようなものが、読書についてもかんがえられるであろうとのべている。(p. 98)

ふん、おもしろいね。なんかギリシア的だ。

「本というものは、はじめからおわりまでよむものである。」そうですか。
前の文章もそうだけど、梅棹先生は日本語表記にも一応の影響を与えてるよな。
(第7章でいろいろ提案している。私は賛成できないけど。)

読書記録(確認記録と読書カード)つけなさい。
そうですか。「はてな」でもそういう人は多いですね。

本は「一気に読む」。そうですか。

「傍線をひく」。最初はノートをとらずに「心おぼえの傍線をひくほうがよい。とりあえずこうして印をつけておいて、かきぬきもノートも、すべて一度全部をよみおわってからあと、ということにするのである。」そうですか。

「線をひくのに、赤鉛筆や青鉛筆をつかうひともすくなくないようだ。・・・
わたしは2Bの鉛筆で、かなりふとい線を、くろぐろといれる。」そうですか。
森口先生もそうしているようです。まあボールペンとかのインク類より鉛筆が優秀ですよね。
これは先生のこの本で一番同意できる点です。

他に「読書ノートをつける」「本は二どよむ」「本は二重によむ」とか
まあここらへんは言いたいことはわかります。

全然予想してない文章に出会ったのはここ。

たくさん本をよんで、それから縦横に引用して何かをのべる。いかにも
学問的で、けんらんとしているようにみえるが、じつはあまり生産的なやりかたとは
おもえない。わたしのやりかたでいけば、本は何かを「いうためによむ」のではなくて、
むしろ「いわないためによむ」のである。つまり、どこかの本にかいてあることなら、
それはすでに、だれかがかんがえておいてくれたことであるから、わたしがまたおなじことを
くりかえす必要はない、というわけだ。自分のかんがえがあたらしいものかどうかを
たしかめるために本をよんでいるようなものだから、よんだ本の引用がすくなくなるのは
あたりまえなのである。こういうふうにかんがえると、引用のすくないことをはじる
必要はない。むしろ一般論としては、引用のおおいことのほうが、はずかしいことなのだ。
それだけ他人の言説にたよっているわけで、自分の創造にかかわる部分がすくないということになるからだ。(pp. 116-7)

なるほど、これか!ちょっと目が覚めた。
霊長類研や人文研の気高く美しい伝統。独創性。
ちょっと前の京都新聞で、今西錦司先生あたりを中心にした研究会では
「文献調査はいらん、オリジナルのデータとオリジナルな考察を出せ」とかってのが
標語だったとかいう主旨の記事を読んだのだが、それを思いださせる。

梅棹先生の言うことはわかる。
しかしこれが(志の低い学生には)なんか悪影響を与えていたかもしれないとも思う。けっこう微妙。
梅棹先生たちはそれでOKだったわけだし、非常に創造的な仕事ができた。
でもそれはその前の世代がちまちまいろいろやってたおかげだろう。
そのちまちまが共有されている間はそれでよかったろうが、
梅棹先生たちを読んで育つ人びとは
けっきょく同じ発明を二度三度くりかえさなきゃならなくなったんじゃないかな?
そんなことはないか。私自身は引用が多かったり、他人の言説にたよったりすることはなにも恥ずかしいと思わないし、恥ずかしいと思うべきでもないと思う。さっきの田中美知太郎先生の文章も どこに書いてあるのかわかんないしね*2。まあ新書だからあれだけど。

「京大人文研的なものの功罪」ってのはなんかありそうな気がする。

*1:この本自体はあんまり強い印象を与えるわけではないけど、歴史的概観が役に立つ。

*2:おもしろいと思っても調べようないじゃん。手前の手間はぶいて生産性とやらを上げて、それでどうした?とか言いたくなるところがある。もちろん梅棹先生にそんなこと言う気はない。

ミル自伝

ミル自伝 (大人の本棚)

ミル自伝 (大人の本棚)

みすず書房から出た村井章子訳の『ミル自伝』(「大人の本棚」とかってシリーズ)。解説のたぐいがまったくない。訳注もないみたい。人名ぐらい注つけてもいいのに。 『自伝』原稿出版の経緯*1や実際に訳出した版や原題*2すらもわからんのだが、みすず大丈夫か?光文社の例のシリーズの対抗なんだろうけど、ミルが誰かもわからず、人名も誰が誰やらわからんという状態でだいじょうぶなんだろうか。学生に勧めたいような勧めたくないような。微妙。

訳文は読みやすくていいんだけど、ちょっと文学臭が薄くなってしまっているような気がする。まあしょうがないかな。

たとえば

At first I hoped that the cloud would pass away of itself; but it did not. A night’s sleep, the sovereign remedy for the smaller vexations of life, had no effect on it. I awoke to a renewed consciousness of the woful fact. I carried it with me into all companies, into all occupations. Hardly anything had power to cause me even a few minutes oblivion of it. For some months the cloud seemed to grow thicker and thicker.

有名なこの「危機」*3の箇所は次のようになってる。

はじめのうち私は、すぐに抜け出せると思っていた。だがそうはならなかった。日々の小さな悩みを忘れさせてくれる一夜の眠りも、このときばかりは効き目がなく、朝になればたちどころに自分の惨めな状態を思い出す。友といるときも、仕事をしているときも、逃れられない。ほんの数分でいいから忘れさせてくれるものがあればよいのに、それもなかった。数か月の間、私はますます深みにはまるように感じられた。

岩波文庫の西本正美先生の訳だとこんな感じ。(戦後の版のやつが見つからないので戦前のやつの表記を変更して引用。みつかったら入れかえる)

最初私は、こうした心の雲はひとりでに消えるだろうとたかをくくっていた。ところが中々そうはいかなかった。人生の些細な煩悶を医するにはこの上もない薬である一夜の安眠も、私の悩みには何の効き目もなかったのである。私は目を覚ますと、新たにこの痛ましい現実に対する意識が更生するのを覚えた。いかなる友と交わるにも、如何なる仕事をするにも、この意識は私に常につきまとっていた。せめて数分間でもそれを私に忘れさすだけの力をもったものはまずなかったのである。数カ月間は、この雲はますます濃くなって行くのみであるように思われた。

この暗い雲*4 っていうイメージは(陳腐だけど*5)大事だと思うんだけどね。文学作品だとやっぱり残さないわけにはいかないだろう。でも村井先生の訳し方もありだな。装丁とか悪くない。このシリーズはけっこう楽しみだ。けど、2000円以内に収めたかった。無理か。

*1:生前は出版されなかったし、養女のヘレン・テイラーがいろいろ手を加えた部分がある。ミルが自分の性生活について書いてるのが残っていればおもしろかったのにね。ハリエットテイラーとはずっとプラトニックでした、とか。

*2:そりゃAutobiographyに決まってるけど。

*3:どうでもいいけど、ミルの「危機」の時代にインターネットがあったらどうだったろうとか考えちゃう。やっぱり2ちゃんねるメンヘル板や半角板に出入りしたかな。

*4:リストに”Nuages gris”っていう曲があるね。あら、International Music Score Library Projectって閉鎖したのか。

*5:陳腐さはミルの魅力の一部。

読書『女が男を厳しく選ぶ理由』

女が男を厳しく選ぶ理由(わけ)
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だいたい同じような話だろうと思っていると、ちょっとづつ進んでるのね。この手の学問やってる人はたいへんだろうけどやりがいもあるだろうなあ。ただ、たしかにこの本はかなり誤解されやすような気がする。
的確な書評は http://d.hatena.ne.jp/shorebird/20080116#1200490717 。もう私は shorebird さんが紹介してくれたものを順に読んで生きていくわけだ。

個人的におもしろかったのは、この人たちが金髪碧眼嗜好をわりと普遍的なものと考えている様子なところ。私自身の内観ではそういう嗜好をさっぱり見つけられないのでなんか愉快。さすがにバイキングたちの息子は違う。風に飛ばされてきた髪の毛一本から、「金髪のメリザンドよ」とやっちゃうに違いない。きっとわたしのご先祖にはそういう淘汰がかからなかったのだろう。南方系? カナザワ先生もブロンド好きなのかなあ。あ、ブロンドの女は馬鹿偏見の説明 1)それは若いから。 もよかった。 でもニキビ面馬鹿 2)若いから 仮説とか背の低いのは馬鹿 3)若いから 仮説が成立しなかったのはなぜか?他のところも、この人々独自の説明はなんかちょっと甘いんだよな。

References   [ + ]

1. それは若いから。
2, 3. 若いから