久しぶりに小松美彦先生

粘着しはじめてはや1年になろうとしている。まだ心の目は得られないまま。

・・・ある二人の患者の紛う方なき現実を見ておきたい。一人は医師から全臓器提供を勧められる程の状態から社会復帰を遂げた日本人女性であり、(略)前者の女性については、脳外科医の山口研一郎らが、「『全臓器提供』より奇跡的に 生還した女性」(山口他[2002]*1)という論文で詳細にレポートしている。

取りよせてみた。これ、「詳細にレポート」ということなので、小松先生の2ページにわたる記述は要約だと思ってたんだけど、どうも違うね。詳細なのはハワイから帰ってきてからの社会復帰への道のり。4ページある原論文のうちハワイでの出来事を記述したのは2列分ほど、小松先生の文章の分量とさほど変わらない。重要な情報はすべて小松先生の方で記述されている。もうちょっと詳しい情報があるかと思ったのだが。また、原論文で家族が「臓器提供を勧められた」のかどうかははっきりしてない。 それに遺書*2持ってるか確認するとか、費用が1日30万かかる、とかってことを伝え説明するのは米国の医師の義務のような気がするなあ。その時点でいろいろ説明しないとあとで訴えられるだろう。娘が脳挫傷で意識不明なんてことになってショック受けてる家族に臓器移植の話するのはたしかにアレだと感じるひとは多いだろうなあ。アレだろう。医者が説明したという記述のあとで、「第三章第二節で見たように、アメリカの病院では脳死に至る以前にモルヒネを投与して臓器を摘出できるという規定をもっているところが少なからずあるのだ」と小松先生が挿入しているのだが、
これは小松先生の文章。このハワイの病院がそうかどうかは原論文ではわからん。またこのモルヒネ投与の話はありそうな話だけど、ソースがTBS(米CBS?)のテレビ番組で、検証しにくくて困る。でもまあ小松先生はそういう情報源にこそ、隠されている重要な情報があるのだと考えているんだろうからある程度しょうがない。

論文の残りはこのケースのリハビリ実践の報告で、山口先生たちにはがんばってほしい。

げ。

サン=テグジュペリ作『星の王子さま』(略)を繙いてみたい。この”童話”は、主人公の少年と王子さまとの出会いから別離までを描いた物語である。二人が地球を出発して宇宙の星々を旅する過程でさまざまな人間や動植物にめぐりあい、再び地球に帰ってくるといった構成をとっている、と読みうる。(p. 34)

ぎゃー*3、こんな話だった?

と、Amazonの書評を見るとさすがに指摘している人がいる。よかった。誰も指摘してなかったらどうしようかと思った。しかし、さすがにこれはどうなのよ・・・心の目をもってると、そういうふうに「読みうる」のか・・・まあ「物語全体に対する筆者の解釈は別稿にゆずる」ということなので、そういう読みを可能にしたり必然にしたりするなにかがあるのだろう。でも本当に驚いたですよ。心臓がドクっていうのを感じた。本読んでそんなのは久しぶりだ。

あ、もしかしたらそういう情報をちゃんと選別できるのかが重要だってことをすでにこのページで逆説的に指摘しているのだろうか。「この本は信用できませんよ」「心の目で読まないとこの本は読めませんよ」ってことを最初の方で宣言しているのかもしれない。それだったらイジワルな仕掛けだなあ。わけわからんようになってきたぞ。

 

この本関係の過去記事(粘着中)へのリンク

*1:kallikles注。山口研一郎、西口嘉和、中出幸子、和田志乃「『全臓器提供』より奇跡的に生還した女性」、『月刊総合ケア』、Vol.12 No. 8, 2002、pp. 84-7

*2:山口先生によれば「ドナーカードのことと思われる」

*3:こういう装飾は嫌いでいままで使ったことなかったけど、驚きを示すため一生に一回使ってみよう


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