辞書つかえや

江口はどういうわけか現代社会学部で英語文献の授業を持ったり、他の授業でも英語の文献を使ったりすることが多いわけですが、とにかく辞書の使い方を知らない人びとが多すぎると思います。そこで江口がよく学生さんに要求することをメモしておくことにします。

道具を揃えろ

あたりまえのことですが、ちゃんとした装備をしないで海や山に向う人は、遭難して死にます。地図もコンパスもテントも持たずに山登りすれば道に迷って野たれ死にするのはまちがいないところですね。

文献を読むのも同様。なんでちゃんとした辞書を持たないんだっ!

英語読むなら英語の辞書使わなきゃどうやって読むんですか、と怒鳴りたくなることが多いものです。大学に重い辞書を持ってくるのはたいへんなので、コンパクト版や電子辞書ですまそうとする人びとも多いですが、これはハイキングのつもりで冬山に登るようなものです。ちゃんとした辞書を用意してください。

大学生レベルでは、とりあえず学習用としてジーニアス英和辞典あたりがよい。ニューセンチュリー英和辞典もよいという噂だが、残念ながら江口は知らない。大学院を目指すならリーダーズとランダムハウスも欲しい。また、Cobuildあたりの英英辞典も1冊欲しい。

日本語の辞書も用意しておくこと。こっちは学習用というわけではないので電子辞書でもいいかもしれないが、大辞泉なり広辞苑なり大辞林なり、それなりのものを用意しておくこと。

そもそも漢字の読みがわからないときのために漢和辞典も必要。これは電子辞書ではひきにくいので書籍のが必要だと思う。三省堂の『漢辞海』がおすすめ。

日本語の単語は「だいたいこんな感じかな?」と読みとばすクセがついている学生さんが多いようですが、それではいつまでたっても言葉の本当の意味はわかりません。すぐに辞書をひくクセをつけましょう。

辞書はひいたら赤線でも引いとけ

辞書ひいたら、赤線ひいとけ。すでに赤線ひいてある場合は、もう1回ひけ。何度ひいたかわかるようにしておくこと。3回目以降には○でかこんでもいい。おすすめは昔ながらの赤鉛筆だな。

理由は(1)次にさがすときに便利。(2)何回ひいたかわかるので、重要性がわかる。(3)自分の記憶力のなさを知ることができる。

ただし赤線をひくのは英単語の見出しだけじゃなくて、今読んでいる文章で一番ぴったりした意味。さらに、参照した部分(たとえば前置詞だとか語形だとか)。

ちゃんと読め

辞書の一番上に来ている「意味」だけ読んでも大学で読むような文章には歯が立たない。しっかり下まで確認。特に名詞。

知ってるつもりの単語、簡単な単語こそ何回もひけ

単語帳で勉強したつもりになってる奴は注意。”abortion”は「中断」だと思いこんでる奴はいねーだろうな? (さすがにこれはいないか)。

前置詞とか1回もひいたことのない奴いる。たとえば、”arguments for abortion”。「abortion は知ってる~【中絶】。 argumentも知ってるにきまってるわよ。【議論】でしょ。だからargument for abortionは【中絶の議論】よね~」。これでなんでダメかわからない人は、”for” “argument”と”for”をそれぞれ辞書でひけ。で、”argument” の近くに[for/against] とか書いてあるからそれの例文を見よ。for の方でも確認。vote for とか。

“different reasons”。「わかるー。【違う理由】ね。」同様にdifferentをひけ。

動詞は語形と前置詞を確認しろ。 “They provided me with food.” の場合provideをちゃんと辞書ひけないといつまでたっても英語なんか読めない。まあ、こういうのを「熟語」とかいって教えるタコな高校教師は多いが、なにも熟語じゃねー。provideってのはこう使う単語なんで、こうのは一々辞書で覚えなくちゃならん。(まあ、あらかじめ丸暗記しとくのは意味があるんだが)

単語なんかメモすんじゃねー、そんなヒマあったらもう1回ひけ

知らない単語のリストを自分で作ってもちあるく熱心な人がいますが、江口は無駄だと思います。「あれ、この単語なんだったかな?」と思って自分のノートを見ると、「意味」が1個だけ書いてあるだけ。それじゃだめだ。リストのどこにあるか発見するまで数分経過してしまうことさえあります。無駄無駄無駄。そんな暇があるなら辞書ひけばよろしい。もし赤線をちゃんとひいてればあっという間に見つかるでしょう。てか、それくらい早く辞書ひけるようにならないと見込みなし。

Web辞書だのなんだのは使うな!

最近、わからないことがあると、とりあえずWebの検索エンジンでさがしてみる人が増えているようですが、そんなことをする前に、とにかくまず辞典をひきましょう。「辞書をひけ」と指導しない教師は、まちがいなくダメ教師。

その他の辞典も用意しろ!

その他、大学生なら他の辞典類も入手しておくこと。百科事典や『現代用語の基礎知識』や『IMIDAS』の類など。こういうのは CD-ROMのやつがコンパクトで使いやすい。『エンカルタ』なども便利なものだ。

その他、法律関係は自由国民社『図解による法律用語事典』がわかりやすい。

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