大学生向けビブリオバトルもどきの工夫

ビブリオバトルというのがあって、中学高校で実践している学校もけっこうあるようで、大学の低学年ゼミでやってる人も多いのではないかと思います。私も何度かやってみました。公式サイトはこちら。(このエントリを書いてしばらくしてから気づいたのですが、「ビブリオバトル」は公式ルールのある書評ゲームなので、公式ルールを外れたものを「ビブリオバトル」と呼ぶことは問題がありそうです。こういうものを創発し普及させている方々への敬意を評するために今回はタイトルに「もどき」をいれることで許してもらいたいと思います。)

でもこれ、大学ゼミでやるものとしては意外にうまくいかないんですよね。気づいた原因はいくつかあって、一つは「本を(自由に)紹介する」というと紹介する本というのはだいたい小説などのフィクションになり、あらすじを紹介して、「すごく感動したので読んでください」とかでおわってしまう。あらすでさえ、ラストまで説明するのに抵抗があるらしいし、ミステリーとかならなおさら紹介できないですよね。そもそもフィクションのおもしろさはあらすじにあるのではない、というのもこの年齢層の学生様にはわかりにくい。

もう一つは、ふつう見本としてyoutubeにある「全国大学ビブリオバトル」のビデオなどを見せたりするわけですが、これ見たあとだと、本をあの形で片手にもって感動的な「青年の主張」をする、みたいなかんじになってて、すごく難しいし、「すごくおもしろい」「感動しました」ばっかりでつまらないし私そういうの好きじゃないし。本の内容よりもプレゼンのうまさを競う感じになるし。

というわけで工夫しているわけですが、最近うまくいってるなと思うのは、

岩波ジュニア新書から好きなものを選び、その内容をスライド5枚程度で紹介しろ

みたいなやつです。これはそこそこおもしろい。大学生なんだからパワポぐらい使っていいじゃん。図も出せるし。

最初は「この本には〜が書いてあります、おもしろかったです」みたいな紹介になってしまうのですが、「いやそうじゃなくて、その面白かったところ、それも有益な情報、いままで知らなかった目新しい情報、具体的なハウツー、著者のオリジナルな主張など、一点に絞って紹介する方が効果的だしみんな勉強になる」みたいな説教をしてもう一回やりなおすわけです。投票も、そもそもその書籍の情報量や情報の斬新さ興味深さみたいなのを評価する形になるのでカドも立たない。

それから、必ず著者の紹介をしろ、と。いつ出版された本なの、ネタが古くない?その「本に書いてある」ことを書いてるやつは誰やねん、何学者?どこの先生?どういう経歴のひと?すごく偉い人なの勢いのある若手なの?どういう立場でそのネタにどういう利害関係をもっているの?政治的な本だったりすると、その主張どおりにするとだれが儲かりますか?とか聞く。

その本を教員が読んでれば、その著者や読み方に対していくつか批判的なコメントをすることもある。

川村裕子先生の『平安女子の楽しい!生活』から「平安の女性は髪がすごく長くて〜な生活をしてました」って紹介してくれて、それはそれでおもしろいわけですが、「いやその平安の女性って、貴族の女性っしょ。そんな髪長い人はどれくらいいたろうか、邪魔だろう。それって有名な文章にのこってる一部の女性の姿よねえ」とか「平安時代に妻問婚みたいなのって、一般人、農民とかもやってたのかねえ、ほんとうかねえ、一緒に暮らしたくなかったのかね?それで子供育てられたの?」みたいな話もしたり。

あと、慣れてくると、たとえば串崎先生の『心は前を向いている』から、赤ちゃんは善悪がわかるかもしれない、みたいなところに目をつけて紹介してくれるようになるので、んじゃビデオ見ようってんで、その実験のハムリン先生自身が出て来るビデオを見たりもできる 1)このビデオは英語わからなくても、実験を見ると意味がわかって目がさめるような驚きがある。

ウェルズ恵子先生の『魂をゆさぶる歌に出会う』だったら、グルーブってなによ、youtubeで実際黒人労働歌やゴスペル探して聞いてみよう、ってできるし 2)この前はDJ大会やってしまいそうになって途中で止まるのに苦労しますた。 。もちろん学生様は最初は自分では動画引っ張ってこれないので教員がひっぱる必要があるけど、教員が検索している画面そのまんま見せると、どうやって情報ひっぱるのかいずれわかってくれると思う 3)ちなみにyoutubeの「あなたへのおすすめ」は他人に見せるには凶悪でいつも何見てるのかバレる可能性があるので、授業前にはログアウトしといた方がいいかもしれない。

岩波ジュニア新書自体おもしろい内容のことが多く学生様にはぜひ読んでほしいし、読んでない本についてはどんな話なのかだいたいわかるし一石二鳥三鳥。さらには、学生様がジュニア新書からどんなのを選んでくるかで、彼女たちの興味のあり方みたいなのも垣間見える。2、3回やるとどんどんうまくなるし話も盛り上がるようになってくるので、低学年ゼミもっててビブリオバトルやってるひとは試してみてください。

2、3年まえに図書館と交渉して岩波ジュニア全巻いれてもらって本当に良かった。まあ岩波ジュニアに限定する必要はないけど、広く「新書」とかってくくりだとかなり怪しいものや難しくて低学年の学生様の手に負えないものをもちこんできちゃうのは覚悟してください。

 


References   [ + ]

1. このビデオは英語わからなくても、実験を見ると意味がわかって目がさめるような驚きがある。
2. この前はDJ大会やってしまいそうになって途中で止まるのに苦労しますた。
3. ちなみにyoutubeの「あなたへのおすすめ」は他人に見せるには凶悪でいつも何見てるのかバレる可能性があるので、授業前にはログアウトしといた方がいいかもしれない。

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