卒論への道

心がまえ

  • 卒論は非常にたいへんです。
  • 2万文字(A4用紙で20枚弱)書くのは本当にたいへん。
  • ふつうの人にとって、これくらいの分量の文章を書くのは一生に一回です。がんばりましょう。
  • 卒論はたんなる感想文じゃない。ちゃんと他の研究者の論文・書籍を調べて書く。
  • まず戸田山和久『論文の教室』(NHK出版, 2002)を読む。

なんのための卒論?

  • 情報を収集し整理する能力
  • 他人の意見を批判する能力
  • 自分の考えを形成する能力
  • 他人にわかりやすく説明する能力

卒論に必要なこと

  • 文献調査。
  • 先行研究はあるか?データはあるか?
  • なにか新しいアイディアはあるか?でもふつうの卒論ではそれほど新しいアイディアが必要なわけではない。

テーマを決める

  • 興味の対象 – 興味のないものはつっこみが浅くなる。
  • 書きやすさ – 先行研究がないものは書きにくい。
  • テーマは卒論を実際に書きはじめると変わって行くもの。

アウトラインを考える

  • どんなことを書くか
  • 卒論(2万字程度)の場合、3節ぐらいが適当。

注と参照文献

  • 注と参照文献リストは非常に重要。
  • 論文と、授業レポートやエッセイの違いは、ちゃんとした注や参照文献リストの有無。

一次文献と二次文献

  • 論文では、基本的にもとの文献に当たらなければならない。
  • 「ウェーバーは心情倫理と責任倫理を区別した」と書くためには、実際にウェーバーを読まねばならない。

卒論は文献リスト作りから

  • なにかを研究するときは文献リストの作成からはじめる。
  • すでに読んだ本、これから読む本。
  • ある本や論文を読んだら、それに使われている本や論文をチェック!→すぐにメモ。
  • 図書の場合は著者名、タイトル、出版社、出版年。論文の場合は著者名、タイトル、雑誌名、巻号、発行年をメモしておく。
  • WORDでもメモ帳でもExcelでもよい。

卒論を書く秘訣10箇条

名古屋大学の高等教育研究センターが出している「かわらばん」2006年夏号を読んでいろいろ考えました。この「博士論文を指導する秘訣十箇条」は、博士論文を指導する偉い教授向けのものですが、学部生が卒論を書く上で考えるべきことも指摘しているように思えます。

学生向けのチェックリストとして書き直してみると。

問題が発生する前に気づくように

  • 自分の能力で達成できる課題か?
  • 参考文献は手にしているか?
  • 卒論に関係する学術雑誌を知ってるか?卒論レベルでは単行本、新書などを利用することが多くなりますが、ちゃんとした学術論文まで読めるようになりましょう。
  • 学問上の「方法論」を知ってるか?
  • 使用する専門用語はわかってるか?
  • パソコンを論文書くために使えるか?
  • 明確で簡潔な文章を書けるか?
  • 論文作成に役立つメーリングリスト、ウェブサイト、学会などを知っているか?

教員とどういう関係か把握しているか?

学部生も教員から指導を受ける権利があります。ゼミの時間だけでなく、オフィスアワーなどを使って十分な指導を受けましょう。大学教員というものは自分の利益しか考えてないので、学部生の指導に積極的でないことがあります。でも個人的に指導してもらうのは学生の権利なので十分有効に行使しましょう。

論文執筆情況を教員に伝えるチェックポイントがあるか?

  • 卒論課題の決定
  • データ集計、分析の開始、終了
  • 目次の提出

定期的に指導教員に会って報告し指導してもらってているか?

今熊野女子大、じゃなかった京都女子大学の売りの一つは少人数教育です。ゼミの人数もできるかぎり抑えています。これは学生一人一人に細かい指導を行なうためです。個人指導を有効に利用しましょう。

早めに書く

私も書きはじめるのがいつも遅いので苦労しています。でも書きはじめてしまえば自分がなにも知らないこと、調べるべきことが多いこと、そしてそういう学習と進歩と成長がとても楽しいことに気づきます。この楽しみを知らないのは、人生の楽しみの何分の一かを失なうことになります。

教員が何をやっているのか観察しろ

上の「かわらばん」では、「学会やジャーナルの論文を共同執筆しましょう」といったことが書いてますが、大学院生はともかく、さすがに学部学生と共同執筆するわけにはいかないのが本音です。でも、教員が研究者としてどういうことをしているのかを観察するのは勉強になるはずです。彼/彼女は、一本の論文を書くためにどれくらい文献を集めたりしているのか、アイディアから論文に仕上げるためにどんなことをしているのか、授業内容と論文はどういう関係にあるのか、そういうことを観察するだけで勉強になるはずです。大学の中には、実は、「見て盗め」という徒弟制度なところがあるのです。

教員から情報をもらっているか?

大学教員は学部生の数十倍、数百倍の知識があります。っていうかそれだけが誇りです。尋ねれば答えますのでなんでも質問すべし。答えられないのは恥ずかしいので教員も勉強します。

原稿を読んでもらってるか?

よい文章、よい論文を書く最大の秘訣は信用をおける人に読んでもらうことです。無理矢理にでも教員に読ませましょう。

私は卒論に何を求めるか

  • 真理、というより、「本当のこと」を知ろうとする意欲。
  • 憶見や通念を疑う力。批判力。卒論はそれまで自分が信じていたことがひっくりかえることによって完成する。
  • 資料に当たる執念。
  • 各種マネジメント能力。構成力。
  • そこそこの文章力。きれいでなくてもよいのでわかりやすい論理的な文章を書こう。

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