ジャズ入門(27) マイルス先生ロックに接近する

Nefertitiあたりの音は本当に美しいんだけど、どうも売れなかったらしいです。なんか高級すぎて頭いい人たちのための音楽になっちゃってるんですよね。現代音楽みたいになっちゃってる。やっぱりジャズとかってのはポピュラー音楽だから楽しくて踊れないと。あとウェインショーター先生が強力すぎて、ショーター五重奏団みたいになっちゃってるし、そこらへんもおもしろくなかったかもしれない。

マイルス先生は市場調査ちゃんとしているのでそういうのの対策に出るわけですわ。んで、もうパクりまくる。っていうかマイルスはずっとパクってるわけですけどね。そういうのはピカソとかストラヴィンスキーとかバルトークとかと同じ。偉大な芸術家は模倣し、天才は盗むのです。

まず目をつけたのは、昔子分だったキャノンボールアダレーがヒットさせたマーシー・マーシー・マシーのエレキピアノ。ジョーザヴィヌル先生が弾いてるんですが、この音がとてもいいので使おう、と。

あとなんといってもリズムですわね。モードぽいのやってるときにはもうベースが4拍ずんずんやるのは捨てて自由にロンカーターにやってもらってたわけですが、4ビートはもうだめだ、これからはロックの8分音符のフィーリングだぜ、みたいな。ドラムのトニーウィリアムスもビートルズとか好きだったみたいなのでここらへんはうまくいきます。ベースもロンカーターからデイブホラントにとっかえて、ピアノもハービーハンコックが遅刻魔だからクビにしてチックコリアを雇う。チック先生はスタンゲッツとかとすばらしい演奏してたんですね。

んでこんな音楽をやる。「キリマンジャロの娘」のころのセッション。実際には「ウォーターベイビー」ってあとで発売されたアルバムに入ってるけどかっこいい。マイルス先生が完全に全体をコノトロールしてる。なんかここらへんから「Directions in music by Miles Davis」ってアルバムに入れはじめたらしいんですが、それはその前までディレクターはショーターだったってことでもあるかもしれんです。

Miles Davis, Dual Mr. Anthony Tillmon WIlliams

マイルスは一生を通じてファンキーなフィーリングはほとんど出さないんですが、この曲は全体としてファンキーになってますよね。ショーターはファンキーにやってる。んでチックコリアのエレピがキレまくってる。チックのはただの黒人ファンキーじゃなくてなんか人工的なファンキーさなんすね。デイブホラント先生も、アコースティックベースでこういう強力なノリを出せるのはこの人しかいなかったんじゃないですかね。イギリス白人なのに。すばらしすぎる。なんでこの曲1967年のタイミングでリリースしなかったんでしょうね(Splashって曲もこの曲とほぼ同じ曲)。10年ぐらい前に出た「コンプリート・イン・サイレントウェイ・セッションズ」ってのはマイルスのここらへんの過渡期をばっちり収録してるのでおすすめですわ。

ザ・コンプリート・イン・ア・サイレント・ウェイ・セッションズ
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