ミュージシャンによるミュージシャンの歌詞の解釈

まあ歌詞や楽曲を解釈するってことがどういうことなのか、っていうのはやっぱり実例で見るのが一番わかりやすいです。

次の曲を聞いてみましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=CvlhzdgVQvY&feature=youtu.be

PUFFYかわいくていいですね。元気で楽しい。コンサートのラストにぴったりの演出に聞こえる。

これはカバーで、原曲はPUFFYのプロデュースしていた奥田民夫先生がユニコーンってバンドにいたときの曲です。これもどうぞ。

PUFFYのより苦い感じが出てますね。まあ解散することになったときに作った曲だとかそういう情報は置いといても、なんか実は元気一杯の曲ではないことがわかります*1

歌詞は http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=37874 にあります。

これを矢野顕子先生が解釈するとこうなる。この驚きの一曲を聞け!(カルテットでやってるやつが好きだったのですが、消えたのでソロのを)

https://youtu.be/Ss1KpYix0ps

おどろくべきことに、これ民夫先生の原曲の歌詞通りなんですわ。コード進行やメロディー、拍子さえもバラバラに解体されてしまってるけど、かろうじて骨組だけはとどめている*2。原曲やPUFFYの演奏では意図的に覆い隠されていたもとの歌詞のもっていたパワーが暴かれ、フルに引きだれてしまってます。もうなんともいえん。

これが超一流のミュージシャンによる歌詞と曲を(おそらくそれ以上に)超一流のミュージシャンが解釈した結果。もうこれ1回聞いちゃうともとのPUFFYやユニコーンをそのまんまには聞けなくなってしまう。おそろしいものです。

他にもThe Boomの「中央線」や槙原敬之の「雷が鳴る前に」をアッコ先生がカバーしたのがyoutubeにあると思うので探してみてください。原曲も聞いて、歌詞カードもよく読んでみてほしい。歌詞のパワーとか、歌詞と楽曲の関係とかいろいろ考えるきっかけになるはずです。

追記

まあいろいろあって途中になっちゃってまあいろいろ反省してたり。

まあアッコちゃんの「すばらしい日々」を聴いてからPUFFYを聞きなおしてみると、いろんなことがわかるようになってしまってるんじゃないかと思います。PUFFY(と民夫先生)はこの曲をツアーかなんかのラストの曲に使ってたんだろうけど、なぜこの曲を選択したのかとか。「なつかしい歌も/笑い顔も/すべてを捨ててぼくは生きてる」のところでなぜ風船が降ってくるのかもわかるはず。なにげなく見てるエンタテイメントの一場面を作っている人々が、みんなすごく「わかって」やってることがわかる。ぼーっと聴いてたりするだけではなかなかそういうの気づきにくい。いったんわかってしまえば、なんかいやなこととかあっても「すべてをすてて僕は生きてる~」とか歌っちゃうわね(なぜかPUFFYバージョンで)。

こういうふうになっちゃうともう民夫先生がどういうつもりでこの曲を作ったのか、とか実はどうでもよくなってしまう。歌詞が多くの人によって解釈されたりカバーされたりするうちに、みんなの共有財産になっていくっていうか、逆にYよく聞かれ歌われた歌が人々を作っていくっていうかなんていうか。

まあ音楽や歌詞の楽しみ方や批評なんてのがいろいろあるのは当然のことで、まあそれぞれ楽しく聞いたり読んだりすりゃいいわけだけど、なんか基本とかコツとかもあるような気もするです。先日の石原先生の本なんかよく書けているというか先生自身がノっている*3記事はすごく勉強になる。

ジャズとかクラシックとかそっち系だと批評雑誌とかあって、そういうの馬鹿らしいといえば馬鹿らしいけど、よく書けているやつを読むのは楽しいし、音楽を含む芸術ってのはそういう言葉によっていろいろ支えられている気がします。

みなさんもばんばんいろいろ解釈書いてみたりしてほしいですね。なんかそういうアートを味わうよいきっかけになるし。学校の読書感想文とか鑑賞文とか苦痛でしょうがなかった人が多いでしょうが、自分の好きなものについてあちこち書き散らかしてみるのは楽しい。私自身もブログとかですごくよい紹介文や解釈や批評読んで楽しい。「へえ、そう聞くものか」とか「あれ、そこの歌詞はそういう意味だったのか」みたいな発見があるし、そういうのは人生をちょっとだけ豊かにする気がします。

*1:数日後追記。この文章を読んだ人から、「あのユニコーンについての文章は、リアルタイムで聴いてた人間からするとちょっと違うね、あの曲はユニコーンの曲のなかでも特に奇妙な曲で云々、というコメントをもらいました。そう、私はこの曲をリアルタイムでは聴いてないのです。まあそういう話いろいろするのが楽しい。

*2:ここらへんの表現は前)にtwitterで遊んでたときに私が書いたのかツイ友(!)が書いたのか今となってははっきりしません。

*3:まあおそらく先生自身が好きな曲ってこと。

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ミュージシャンによるミュージシャンの歌詞の解釈」への2件のフィードバック

  1. やし

    ほんとに人や物事に順位をつけるのが好きだねぇ!

  2. やし

    ていうか、先の石原さんとのやりとりに対して「ぼく正しいんだモン!」って言いたいだけの記事に見える…

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