キリスト教とセックス (1) おそらくぜんぶパウロさんが悪い

キリスト教についてもあんまりよく知らんのですが、ちょっとだけ。

ask.fmでコメントもらいましたが、カント先生の性的禁欲主義や結婚観はまったくキリスト教です。まあ宗教はどれも性的なことがらについての教えや禁止を含んでいるとはいえ、キリスト教はほんとうにセックスにこだわる宗教ですね。

あんまりモテない雰囲気

あのカント先生のセックスと結婚に対する考え方は、イエスさん自身というよりはキリスト教の教義の確立に貢献したパウロさんのものだと思います。っていうかキリスト教ってのはイエスさんが作ったわけじゃないです。「俺は神だ」とか言ってない。むしろ当時のユダヤ教の伝統のなかの改革者というか過激派というかそういう人だったはず。イエスさんは実は神さまで、自分はなにも悪いことしてないけど我々のいろんな罪を賠償するために十字架にかかったのであーる、みたいな中心的教義を開発したのがおそらくパウロさんです。新約聖書にはイエスさんの伝記みたいなの(福音書)の他に、弟子たちの手紙みたいなのも収録されてるんですが、それがイエスさんとその教えをどう解釈するかってのの手引きになってる。

パウロさんはイエスさんと直接会ったことがない。おそらくヤバい人だったイエスさんを理想化した姿やそのお説教を伝え聞くだけだったので、いろいろ過激な主張ができるようになる。

パウロさんは偉かったので、あっちこっちの集会所から「〜についてはキリスト教徒としてはどうしたらいいですか」とか問いあわせが来るんですね。んでそのなかには実は悩み相談も多い。「セックスのことを考えて夜も寝られないんですがどうしましょう」とかそういうのもあったと思います。そういうこまごましたことに答えてる手紙の一節。

男は女に触れない方がよい。しかし、みだらな行いを避けるために、男はめいめい自分の妻を持ち、また、女はめいめい自分の夫を持ちなさい。夫は妻に、その務めを果たし、同様に妻も夫にその務めを果たしなさい。妻は自分の体を意のままにする権利を持たず、夫がそれを持っています。同じように、夫も自分の体を意のままにする権利を持たず、妻がそれを持っているのです。互いに相手を拒んではいけません。ただ、納得しあったうえで、専ら祈りに時を過ごすためにしばらく別れ、また一緒になるというなら話は別です。あなたがたが自分を抑制する力がないのに乗じて、サタンが誘惑しないともかぎらないからです。もっとも、わたしは、そうしても差し支えないと言うのであって、そうしなさい、と命じるつもりはありません。わたしとしては、皆がわたしのように独りでいてほしい。しかし、人はそれぞれ神から賜物をいただいているのですから、人によって生き方が違います。未婚者とやもめに言いますが、皆わたしのように独りでいるのがよいでしょう。しかし、自分を抑制できなければ結婚しなさい。情欲に身を焦がすよりは、結婚した方がましだからです。(コリントの信徒への手紙7章1〜9節)

基本的にセックスはしない方がいい。でも我慢できないんだったら結婚して一対一でやりなさい。でも本当は禁欲した方がいいです。

まあこれがセックス自体が悪いものであるからかどうかというのは微妙なところで、別のところではこんなことを言ってます。

思い煩わないでほしい。独身の男は、どうすれば主に喜ばれるかと、主のことに心を遣いますが、結婚している男は、どうすれば妻に喜ばれるかと、世の事に心を遣い、心が二つに分かれてしまいます。独身の女や未婚の女は、体も霊も聖なる者になろうとして、主のことに心を遣いますが、結婚している女は、どうすれば夫に喜ばれるかと、世の事に心を遣います。このようにわたしが言うのは、あなたがたのためを思ってのことで、決してあなたがたを束縛するためではなく、品位のある生活をさせて、ひたすら主に仕えさせるためなのです。

独身の男が神様のこととか考えるかどうか怪しい気がしますねえ。独身の哲学研究者は哲学に身も心も捧げるかどうか。でもまあ「独身の本気で神様を信じている男は」ってことでしょうね。

しかしこの「(世俗的なことに)思い患うな」というのはキリスト教の中心メッセージです。まあパウロさんのころには、イエスさんの予言した世界の終りはすぐ近くに迫っていると本気で考えてたみたいなので、それまでエッチなことなんかしているヒマなんかないだろう、救われるために神様のことだけ考えなさい、ぐらいの意味かもしれません。やっぱり目の前の女体とどこにいるかわからない神様を比べたら、女体を優先するでしょうからね。

キリスト教のセックス・結婚観についてはここらへんからはじめるとよいと思うです。

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