自分の気づいてない長所を見つける/長所を伸ばす

最近ポジティブ心理学ってのが流行っていて私もいろいろ注目しております。最近も(訳し直しだけど)新しい本が出ましたね。

ポジティブ心理学入門: 「よい生き方」を科学的に考える方法
クリストファーピーターソン
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このクリストファー・ピーターソン先生のはアカデミックな教科書で、非常に多くのアカデミックな情報とともにプラクティカルなアドバイス満載です。翻訳ではカットされちゃっている部分が多くてちょっと残念です*1が、一読の価値はあります。

ポジティブ心理学っていうと「なんでもポジティブに考えよう」っていうポジティブ・シンキングとか、「とりあえずハッピーになっちゃったやつが勝ち」みたいなんと誤解されやすいですが*2、もともとはまじめなもんです。あと「美徳」とか「長所/強み」みたいのに注目しているのも倫理学研究者モドキとしては興味があるところです。

自分の長所・強みを知るってことは自尊感情を高めることにもなるし、うまく生きる方法やライフスタイルを選択する助けにもなるのでおすすめ。

ピーターソン先生やその師匠のセリグマン先生たちが作ってるページがあって、そこでweb上で心理テストをして何が強みなのか知ることができます。やってみてください。

http://www.authentichappiness.sas.upenn.edu/Default.aspx

このページを見て、右上の「Select Language」で日本語にします。左上の「登録」ってところからメアドとか記入して開始。今一番上にある 「VIA・強みに関する調査票 (VIA-IS)」ってのをやってみてください。240問ぐらいあるのでけっこうたいへんです。

でもやってみると意外な強みに気づくかもしれません。ちなみに私の一番の強みは「向学心」で、まあ大学教員とかやってるのはそれなりに合っているのだろうか、ぜんぜんだめでもないかもしれない、みたいな安心感を得ることができます。

自分の強みがわかったら、

http://www.authentichappiness.sas.upenn.edu/books.aspx?id=1466

から「とっておきの強みを新しい方法で使ってみよう 」を読んでみましょう。登録やテスト受けなくても見ることができるので、興味ない人もぱっと見てみてください。意外におもしろい生活のヒントみたいなのを知ることができる。自分の「強み」と関係なくても試してみる価値のあるものがけっこうあるように思います。こいうのをちょっと意識してやってみるだけで、自分の意外な得意分野に気づくかもしれないし、実際やってみると生活の質や自尊心がずいぶん向上するんじゃないかとおもうので、まあとりあえず一目見てみてください。

実はこれは上の『ポジティブ心理学入門』の一部なんで、ぜひ本にも載せといて欲しかったんですけどね。

自分の長所を見つけるってのでは も見てみてください。

 

あと生活のヒントってのでは、

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こんなのも読んでて楽しい。まあどうでもいいっちゃーどうでもいいような細かいお説教の話なわけだけど、少しでも生活が楽しくなったり楽になったりすればまあ苦しい人生を生きているのもそんな悪くないのではないかと思えるようになったりするかもしれんです。

VIA

 

セリグマン先生やピーターソン先生がやってるVIA(Values in Action)調査ってのはまあなんか世界的に見て「よい性格」「長所」「(道徳的)美徳」とかみなされてるものをリストアップして、リストのなかから文化間で共通に賞賛されてるやつを選択してさらにグループ分けしてみよう、みたいな感じ。どれくらいまともな研究になるのかはまだこれからって感じだわね。どうも説教臭い感じはあるし、どの程度実証的になれるのかわからん。なんかまあ主観的にハッピーになることだけ考えててもだめだね、みたいな反省とかもあるんだろう。

リストアップした基準はいろいろあるんだけ、、文化に依存しない普遍的なものとか、当人に充実感を与えるとか、それを体現している模範的人物がいるとか、まあいろいろ。上の本めくってみてください。基本的には「親が子供にそれを身につけてほしいと思う性格」とかを集めてる。

で、セリグマン先生たちによると、そういう文化共通の長所・強み・美徳はだいたい六つぐらいに分けることができる。「知恵」「勇気」「人間味」「正義」「節度」「超越」ぐらい(訳語はもっとよいのあるかも)。

ちょっとだけ解説してみよう。どれも実は訳語が難しくて、そんなに「普遍的」なんかいな、って言いたくなるんだけど。

知恵 wisdom / knowledge

まあ頭がいいってのはだいたい褒められるけど、難しい大学入試問題とかパズルとか解けなくても視野が広くて賢いって賞賛される人はいますね。

  • 創造性。なんか新しいものを作る。
  • 好奇心。知らないことをおももしろいと思う。
  • 勉強好き/向学心。なにか学ぶのが好き。好奇心との違いは、わりと体系的にきっちりやることだと思う。
  • 心の広さ/柔軟性。基本的に自分と違う考え方に対してポジティブっていうか、「へえ、そういう考え方もあるのかー」みたいな。
  • 視野の広さ/大局観。こう、「君らが争っていることは、もっと将来を見通すとこうだよ」みたいな。
勇気

基本的には抵抗や障害や反対があってもがんばる、って美徳。

  • 誠実さ/本物。authenticityって語が当てられてるけど、これ日本語では難しいねえ。まあ基本的に上っつらのものではない、って感じ。
  • 勇敢。まあ「勇気」の基本的な意味な気がしますね。敵や困難や脅威にぶつかってもがんばる感じ。
  • 忍耐。我慢してじっくりやる。
  • 熱意 enthusiasm。なんていうか、エネルギーって訳がいい気がするんだけど。一生懸命な感じ。
人間味

humanity。人間らしさとか人間性とか。わりと狭い範囲での人間関係にかかわる美徳。

  • 親切心。「やさしさ」とか訳したいね。まあ他人を幸せにしようとする。
  • 愛情。love。 ある程度限られた人に対する愛のことを言ってるのではないかと思う。
  • 社会的知性。他の人がなにを感じてるかちゃんと察することができる、ってことね。
正義

セリグマン先生たちは正義 justice って呼んでるけど、基本的な堅い社会的・グループ的な美徳というかなんというか。

  • 公平さ。ひいきしない、同じものは同じに扱う。自分の悪いところはちゃんと認める、みたいな。
  • リーダーシップ。まあ他人をリードできる人はどの文化でも尊重されます。
  • チームワーク。誰でもリーダーになれるわけはないけど、チームプレーヤーにはなれる。こっちも大事だと思う。
節度

temperanceで宇野カオリ先生は「節制」って訳してる。過剰にならない、って徳。

  • 寛容/慈悲。怒っててもやりすぎない。
  • 慎み/謙虚。自慢しすぎない。自分を大きく見すぎない。日本人は得意な美徳。ははは。
  • 思慮。フロネーシス。自分の将来のこともちゃんと考える、って徳。危険を避ける。
  • 自己規制。自分を律する。感情とか欲望を抑える。
超越

「超越」ってわけわからんけど、小さい自分を越えた大きなものにかかわる、ってことだと思う。

  • 美と卓越の鑑賞。自分ではやったり作ったりできなくても、美しいものを美しいと思い、優れた人を優れていると思えるのは大事。
  • 感謝。皆さまのおかげて生きております、みたいな。
  • 希望。まあなんかがんばってれば将来よくなるさ、みたいに思えるのは大事ね。
  • ユーモア。笑顔は大事です。
  • 宗教性。なんかまあチマい俗世間のことだけ考えてんのはあれですよね。

この分類がうまい分類なのかどうかもわからんし、セリグマン先生たちが主張しているほど普遍的なものかどうかもわからん。まだこれからの話。

あとまあ前の「長所を見つけよう」エントリでも書いたけど、これくらいたくさんあると一つぐらいは得意なことあるだろうから自信もっていきましょう。

ちなみに全部身につけるのは無理だと思う。たとえば「正義」と「人間味」はけっこう背反しちゃうことがあるはず。とりあえず自分のいいところ一個見つけてみて、それを伸ばせばいいのだろうと考えることにしましょう。

 

追記

実際にVIAテストやった人は、なんか違うなーって思ったんじゃないかと思います。実際に私もなんか違うと思った。ポイントは、ネガティブというか自己評価が低い人は、ああいうテストでさえ自分の強みとか長所をそういうものとして見ることができなくなっていることなんじゃないかとおもうです。おそらくそういう人はほかの幸福度テストとかしてもひどい結果が出るんじゃないかと思う。私はすごい結果でした。ははは。

まあそれでもある程度のデコボコはあるんで、自分のデコってる部分をすこし肯定的に見てあげる感じが大事なのではないかとか思ったり。

おそらくそういうひとは、VIAテスト受けたあとにあの「長所を伸ばす」を見たときに、「あれ、こんなことなの?」って思ったんじゃないですかね。ちょっと立ちどまってみたり、本読んだり美術館行ったりするのが自分の長所を伸ばすだなんてね。信じられん。ちゃんとしている人ってのはそういうんじゃなくてもっとすごい、とか言いたくなる。でも実は美徳とか長所とかってのはそういう細かいことなんのかもしれず、そういうことからなにかがはじまるんよね。おそらく。まだ私はなにも美徳を身につけられてないけど、不幸でいるのに飽き飽きしたからなんかするのです。

*1:訳出されているのは原書の半分ぐらいじゃないかなあ。ちと翻訳も改善できそうな気がするので あたりで気づいたところをメモってます。

*2:まあ実際「ポジティブ心理学」の名前を使ったヤバい本もけっこう出てるようです。大石先生、島井先生あたりは偉い。


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